ICU(国際基督教大学)への単位編入と、ICU編入試験対策(2)

オンレクOBのICU(国際基督教大学)編入対策記事(shiroさん 2/2)

 

【ICU入試科目別対策】

<人文・社会科学対策>

ICUの人文・社会科学は主に現代文への対策がそのまま役に立ちました。私が参考にしていたのは、『現代文ゴロゴ解法公式集』です。ここにある方法を自分なりにアレンジし、センター現代文やICUの過去問演習の際に徹底して取り組みました。ただし文章のすべてにマークすると時間がかかるので、設問に関係するところや、文意のわかりにくいところを中心にマークしていました。この参考書と、『現代文講義の実況中継』を合わせて使うと効果的だと思います。

また過去問演習と並行して、政治経済と倫理のセンター試験向けの参考書を読みました。加えて高校では日本史選択で、世界史の知識がなかったので、高1のときに使っていた世界史Aの教科書を探し出して読みました。過去問に関しては、10年分は解きました。だいたい7割以上は取れていたように思います。

特殊だといわれるICUの人文・社会科学ですが、現代文の力があれば、そんなに難しいものではありません。たしかに本文そのものは難しそうに見えますが、設問は比較的平易です。また知識問題に関しては、少なくとも世界史、日本史、倫理、政治経済の各分野から幅広く出題されますが、どれも基本的なものばかりです。まず何よりも現代文の力を身につけることが肝心です。

<総合教養(ATLAS)>

総合教養(ATLAS)も現代文への対策が役立ちました。ATLASの過去問は一部しか公開されてないので、主にオンレクの問題を解いていました。計算問題に関して言うと、じっくり時間をかければ解ける問題も多いので、先に計算以外の問題を解いて時間を稼ぎ、余った時間で解くようにしていました。全体ではだいたい6〜7割は取れていました。

<英語リスニング>

ICUの英語リスニング対策ですが、実を言うと、今回はほぼICUの過去問演習しかしていません。具体的には、オンレクの音声を毎日聞き、スクリプトに目を通すという作業を繰り返していました。ICUのリスニングにはある種の傾向があり、特に会話問題は毎年似たような問題が出題されるため、慣れれば慣れるほど点数が伸びていきます。また講義問題に関しては、いきなり問題を解き始めるのでなく、講義の流れを把握してから解くようにしていました。ただしこれらはあくまでも対処的なものなので、時間のある限り、基礎からリスニング力を身につけるべきだと考えます。最終的に過去問は5〜6割ほど取れていました。

<英語リーディング>

英文法と英文解釈に関しては、オンライン予備校のスタディサプリで学びました。時間的にも予算的にも、普通の予備校に通う余裕がなかったからですが、結果的には役立ちました。それと並行して、『Next Stage』という文法・語法問題集と、『東大英単語熟語 鉄壁』という単語帳をやりました。この単語帳は東大に限らず、難関大学を志望する方におすすめしますが、大変分厚い本なので、初学者は『DUO 3.0』や『システム英単語』から入ると良いと思います。そうして文法・単語・英文解釈の知識を身につけた上で、過去問演習に取り組み、長文読解力を身につけていきました。時間のある人は、過去問演習の前に『やっておきたいシリーズ』等の長文問題集をやっておくと良いでしょう。過去問はだいたい7割ほど取れていました。
リーディングに関しては、どの予備校や参考書であっても扱う内容はほぼ一緒です。なので、評判の良いところであれば、どれを利用しても構わないと思います。もちろん過去問演習は必須ですが、ICUだからと言って、なにも特殊な対策をする必要はなく、難関私大向けの勉強をごく当たり前にすれば充分だと考えます。

【ICUの編入入試について-その他】

○高校の調査書は、ICU入試の合否にはあまり影響しないと思います。私の高校時代の評定平均は3.1でしたが(他の高校だったらもっと低かったでしょう)、それでも合格することができました。ただし評定や願書等の資料が、ボーダー上にいる人を選別する際に使用される可能性はあるかもしれません。

○ICUを編入で受験する場合、大学の成績証明書または在学証明書を提出します。私は成績証明書を提出しましたが、前の大学の成績証明書も、あまりICU入試の合否とは関係がないと思います。私が出願の際に出した前の大学の成績証明書は、その半数以上がBとC(ICUでいうCとD)で、全く良いとは言えない成績でした。さらに留年したことがあるので、入学年度と現在の学年が一致していなかったのですが、そこも大目に見てくれたようでした。もし成績が不安な人は在学証明書の方を提出しましょう。

○実際に受験してみて、ICUの編入試験の難易度は、一般入試とまったく変わらないと感じました。たしかにICUのホームページによると、その倍率はかなり高いように見えます。しかしこれは編入のものだけを抜き出した数字であり、実際には一般入試と同じ基準で合否が決まります。おそらく、十分な対策をして、本気で編入を受験する人が少ないがために、あれだけ倍率が高くなるのだと思われます。私も、ICUを一般入試と編入のどちらを受験するべきか最後まで悩みましたが、結果的には杞憂でした。

○ちなみに、試験の座席について説明しますと、ICUでは「人文・社会科学」を選択した人の多くはICU本館のタブレット型の椅子で、「自然科学」を選択した人は(隣のICU高校にて)普通の机を使って受験します。自然科学は計算でスペースを広く使うからでしょうか。ちなみにタブレット型の椅子は右利き用ですが、試験の際に申し出れば左利き用に取り替えてくれます。

皆さんのお役に立てたら幸いです。一人でも多くの方がICUに合格することを願っています。