ICU学生新聞入試特別号 2018年度ICU一般入試受験者数及び傾向と対策

ICU学生新聞入試特別号 2018年度ICU一般入試受験者数及び傾向と対策

ICU学生新聞The Weekly GIANTS 2018年度入試特別号掲載記事(2018年2月2日発行号)

BUCHO.NETが執筆し、ICU学生新聞の入試特別号に掲載された、
2018年度の入試の志願者数の分析および入試対策法に関する記事です。

 

2018年度ICU一般入試志願者数及び傾向と対策

<志願者数>

2018年度のICUの一般入試(A方式)志願者数は、1,451人(2018年1月26日現在)で、昨年度の志願者数1,571人から減少した。A方式の志願者数が減った背景には、ICUの入試制度の多様化と、他大学入試との日程重複という要因があると考えられる。ICUの入試では、2018年度から「ユニヴァーサル・アドミッションズ4月入学書類選考」が新たに追加されており、64名が出願している。これは従来は外国の高校出身の9月入学者を対象に行われていた書類選考による入試であるが、今年度から4月入学でも利用可能になった上に、日本国内の高校出身の学生なども出願できるようになった。これにより、従来は一般入試を受験していたような一部の受験生が、新しい入試制度を選択している可能性がある。さらに、今年度は比較的ICUとの併願者が多いと思われる上智大学のTEAP利用型入試と日程が重複しており、当該入試には延べ6,543人(*同時に複数学科への出願が可能であるため延べ人数。2017年度は延べ4,460人)が出願している。これは外部英語試験を利用した、上智大学の学部統一型の入試であるが、昨年度も2月3日に実施されていた。近年ICUは2月の第一週の土曜日に入試を実施しているが、昨年度は入試日が2月4日であったので、上智大学のTEAP利用型入試とは日程が重複していなかった。

<合格最低点>

ICUが2015年度から公表している合格最低点(補正後)は、概ね55%前後で推移している。

*合格最低点は中央値補正による換算後の点数

<科目別の傾向と対策>

  1. 英語 ?リーディングの出題形式が変更

・英語リーディングの単語数(words)*

*単語数は問題文(本文)の単語数の合計で、設問や選択肢の単語数は含まない(以下他の教科も同じ)

・英語リーディングの問題数

また、長文の内容に関して、読解問題が3題になったことで、ATLAS(総合教養)と同様に、3つの英文がそれぞれ人文・社会・自然科学に関連した内容から出題されている。よって、問題を解く際は、解きやすい分野の長文から解いた方がよいだろう。特に自然科学分野の長文が1題出題されると予想されるので、この点を踏まえて、解答の順番をよく考えて受験したい。その一方で、問題数は全体で40問から36問に変更されている。よって、長い英文の全てを精読するというよりは、問題で問われている箇所を重点的に読むなど、設問を意識しながら英文を読むことが重要である。2017年度入試から英語リーディングの出題形式が変更され、長文読解のPart 1にText 3が追加された。また、問題数は40問から36問に変更されている。全体に英文が長文化しており、合計で2,600 wordsを超える英文が出題された。比較的長い英文が出される事で知られる慶應大学総合政策学部の2017年度の英語長文の単語数が合計で約2,700 wordsであったが、同学部の外国語の試験時間が120分であることを考えると、試験時間が60分であるICUの英語リーディングでは、相当な解答スピードが求められる。

空所補充問題であるPart IIに関しては、設問が20問から12問に削減されたので、従来の問題よりは文中の空欄が減り、文意が理解しやすくなった。このパートを素早く解いて、Part Iの長文読解に時間を確保するようにしたい。

・英語リスニングの単語数(words)と放送時間

*放送時間には試験の指示や解答時間が含まれる

英語リスニングの単語数は全体で2,500 wordsを超えている。特に、講義の聞き取りのPart IIIが長文化している。2017年度の出題では、Part IIIの3つのうち2つの講義は500 wordsを超えており、英語リーディングの長文に匹敵する分量が、英語リスニングで出題されている。例年英語は入試の最後の時間帯に実施されるので、一度しか放送されない英語リスニングを含め、最後まで集中して試験に臨むことが求められている。英語リスニングの放送時間は試験の指示や解答時間を含めて30分程度である。なお、英語リーディングの解答時間は、上記の英語リスニングの放送時間の長さとは関係がなく、60分である。

 

  1. 総合教養(ATLAS ?読解資料の文字数が増加

・総合教養の各Partの論文の文字数と放送時間

総合教養(ATLAS)は4つのPartに分かれており、Part Iでは放送講義に直結した問題、Part IIからIVはそれぞれ講義に関連した人文科学、社会科学、自然科学の論文を読んで答える問題が出題される。試験前に配布される問題冊子はシールで閉じられており、講義の放送終了までは問題冊子の内容を見るはできないが、別途メモ用の冊子が配られるのでメモを取ることは可能である。講義は一度しか放送されないので、問題を解く際に講義の内容を思い出せるよう、メモを取る必要がある。試験時間は80分であるが、昨年度の場合、講義の放送時間は約15分であったので、実質的な解答時間は約65分であった。

最近の出題では、Part II以降で掲載される論文の文字数が大幅に増加している。2017年度の問題では、各論文がいずれも3,500文字以上あり、3つのパートの文字数を合計すると約10,900文字にも達する。2015年度は7,700文字程度であったことを考えると、大幅に文字数が増えている。よって、人文・社会科学に匹敵するほどの分量の論文を、短時間で読むことが求められていることを念頭において、時間配分には十分に注意したい。

総合教養は出題範囲が人文、社会、自然科学と広範囲に及ぶので、すべての問題に答えるのは困難である。文系であれば人文科学や社会科学、理系であれば自然科学のパートを重点的に解くなど、自分の専攻範囲に合わせて、取捨選択を意識することが重要である。

 

3A.人文・社会科学 ?10,000文字以上の出題が定着

・人文・社会科学の論文の文字数と問題数

人文・社会科学の出題では、論文が約10,000文字、問題数40問の出題が定着している。論文の内容は大学の概論(入門)レベルのものが多く、また、他大学の入試ではみられない文章量であるので、まずはこの長い学術的論文を時間内に読みこなすことが重要である。設問も40問と多いため、スピーディに解いていく必要がある。解答に時間がかかる問題は後回しにして、短時間で解ける問題を優先的に解くようにしたい。近年の出題では論文の内容の順に設問が出されることが多いので、論文を読み進めながら順次設問を解くようにすると効率がよいだろう。

3B.自然科学  筆記問題が増加傾向

自然科学では他の教科にはない筆記問題が導入されているが、2017年度では物理で4問、化学で3問、生物で5問の筆記問題が出題され、従来の出題よりも増加傾向にある。数学のみ筆記問題はなかったが、計算結果を答える数値選択問題が多数あるため、他教科と比較して解答に時間がかかることが予想される。自然科学では4つの教科が一つの冊子に印刷され、試験時間中この内の2教科を選択する形式であるため、実際に各教科の問題を見てから解答する教科を決めることができる。よって、国立大学併願者などで、3つ以上の自然科学の科目を勉強している場合は、問題をみてから科目を選択するようにしたい。

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