| 専攻科目3科目
2007 Spring Term ICL202 MEDIA AND MULTICULTURAL SOCIETY メディアと多文化社会
田中 東子
目的 (Course Description) 「グローバリゼーション」や「ネオリベラリズム」など、昨今、頻繁に耳にする言葉の背景には、近代以降、自明のものであるとみなされてきた「国民国家」や「ナショナリティ」といった諸概念の揺らぎと、「多文化」・「多民族」・「多言語」状況の顕在化といった動きがある。メディア表現やポピュラー文化をひとつの手がかりにしながら、現代社会のこのような揺らぎと動きが出現してきた歴史的プロセス、背景などに鋭く迫っていくことが、この授業の目的である。また、メディア表現やポピュラー文化は、グローバリゼーションやネオリベラリズムの支配の中で、その支配的な価値や資本流通の重要な資源になると同時に、そうした支配を打ち砕いたり、反らしたり、変形させたりしながら、被支配的な立場にいる人々のサバイバルの重要な手段になっているのだという点を、確認していくことにする。 目標 (Course Learning Goals) 文献を読む、資料を集める、社会の出来事を観察・分析する……といった基礎的な能力と、それを踏まえた上での批判的な思考力の養成をこの授業の目標としています。批判的に思考するというのは、いま身の回りで起きている出来事の限界と可能性の両面をしっかりと見極めるということであり、それを次の行動へと結び付けていくための力を獲得することではないかと考えています。 内容 (Contents) 【「多文化」社会について考えるためのポリティカル・エコノミー的視座】 グローバル化する社会と「多文化」状況の出現 「ポスト」コロニアル:ルート(経路)とルーツ(起源)の政治学 ネオリベラリズムとマルチチュード 【メディアと表象】 他者」の表象:テレビニュースの中の「他者」 ポピュラー文化(音楽・スポーツ・アニメ等)の現状 【グローバル文化の限界と可能性】 デジタルネットワークと新しい共同性 ★あくまでも予定ですので、登録人数や学生からの希望に応じて多少の変更も可能です。
成績とグレーディングポリシー (Evaluation and Grading Policy) 授業への参加(出席&ディスカッションへの参加)、授業中のミニレポート、 学期末レポート、グループプロジェクト発表などから総合的に判断する。
参考文献 (Reference Books) 上野俊哉/毛利嘉孝(2000)『カルチュラル・スタディーズ入門』ちくま新書. 伊豫谷登士翁(2002)『グローバリゼーションとは何か:液状化する世界を読み解く』平凡社新書. 吉見俊哉(2004)『メディア文化論』有斐閣. ジェームズ・プロクター(2006)『スチュアート・ホール』小笠原博毅訳、青土社. アルジャン・アパデュライ(2004)『さまよえる近代:グローバル化の文化研究』門田健一訳、平凡社. ドミニク・ストリナチ(2003)『ポピュラー文化論を学ぶ人のために』渡辺潤・伊藤明己訳、世界思想社. ★ここで指定しているものはすべて基本書籍です。授業ではさらに、毎回テーマに沿った文献を指定・配布しますので、予習・復習に生かしてください。
注意事項 (Note) メディアに関する諸問題や現代社会の動きに関心を持ち、それらの問題と積極的に関わっていきたいと考えている学生の受講を希望しています。 コーススケジュール (Course Schedule) 5/TU 6/TU
2007 Autumn Term ICL203 MEDIA AND CULTURAL STUDIES メディア文化研究
田仲 康博
目的 (Course Description) このクラスでは、私たちの日常意識を編成し、個人や集団の社会的布置(座標)に影響を与えるメディア文化の力――ときにそれは暴力となってあらわれる――を批判的に考察する。社会学、メディア論、カルチュラル・スタディーズやその他の領域の最新の成果を学び、さらに学生はグループごとに分かれて共同研究をし、発表する。グループ討議や、クラス全体のディスカッションを通して、自らの研究態度や文章表現を批判的に考察する技術も同時に学んでいく。今学期は、大枠のテーマを沖縄社会&文化にしぼって考察を深める。キーワード: 権力、階級、ナショナリズム、記憶、風景、身体、監視など。 目標 (Course Learning Goals) 受講生はさまざまなテーマに沿って以下のことを学ぶ: ①身の回りの事象を批判的に観察/研究する方法 ◇主眼は自分にとってのテーマを見つける技術の習得にある ②観察者/研究者としての自分の立ち位置を批判的に見る方法 ◇それは優れて身体技法に関わることでもある 内容 (Contents) 1.なぜ「日常」が問題なのか:カルチュラル・スタディーズの考え方 2.メディア文化と権力: イデオロギー and/or ヘゲモニー 3.文化本質主義の語り: 自己と他者の表象をめぐって 4.空間の再編成: 「公共空間」と「私的空間」 5.商品としてのライフスタイル: 「私」の前景化 6.オーディエンスの位置: 「私」と「私たち」の間… 7.メディア、監視、自由: 沖縄を事例に…
成績とグレーディングポリシー (Evaluation and Grading Policy) 以下の点を考慮して総合的に判断する: 出席(10%)、書評(20%)、共同研究(中間発表+最終発表)(40%)、ファイナルレポート(30%) 参考文献 (Reference Books) 1.岩渕功一・多田治・田仲康博編『沖縄に立ちすくむ』せりか書房 ★必読文献★ 2.吉見俊哉『カルチュラル・ターン、文化の政治学へ』人文書院 3.伊藤守編『メディア文化と権力作用』せりか書房 4.阿部潔・成実弘至編『空間管理社会--監視と自由のパラドックス』新曜社 5.Suart Hall, Representation: Culture of Representations and Signifying Practices, Sage Publications 6.David Lyon, Surveillance Society, Open University Press 7.Roger Silverstone, Why Study the Media?, Sage Publications 8.岡本恵徳『「沖縄」に生きる思想』未来社 9.新城郁夫『沖縄文学という企て』インパクト出版会 ☆その他の文献については、授業で配布する文献リストを参照のこと。
注意事項 (Note) 履修要件: 春学期の「メディアと多文化社会」を既習していない学生は、原則として本コースを履修できないので注意すること。自ら問題を発見するつもりでクラスに臨むこと。そのためには、幅広く読むこと、そして様々なジャンルに向けて常に好奇心のアンテナを広げておくことが求められる。グループ研究を進めていくなかで、個々の学生にとっての作業量が非常に多くなることに注意をうながしておく。 コーススケジュール (Course Schedule) *2/TU *2/TH
2006 Winter Term ICL303 MEDIA GLOBALIZATION メディアグローバライゼーション研究
田仲 康博
目的 (Course Description) グローバライゼーションが時代のキーワードになって久しい。情報、イメージ、資本、そして人々が国境を越えて自由に移動し、従来の国民国家に加えて今や国際企業や民間団体なども国際舞台における主要なアクターになっている。さらに、電子メディアが〈距離〉を埋め、コミュニケーションの密度や速度が加速度的に増大したことから、私たちの経験に幅と奥行きが生まれた。しかし、グローバル化が進行するなかで階層化が進み、貧困や不平等な関係が拡大したことも事実である。このクラスでは、グローバライゼーションがひき起こす様々な問題を文化の側面から学際的に考察していく。
目標 (Course Learning Goals) メディアと多文化社会、メディア文化研究などで学んだカルチュラル・スタディーズの理論や方法論を、文化が構築される現場に応用してみることが、このクラスの狙い。観察・研究にとどまるのではなく、その〈場〉に実践的に関わっていく方策を探ることも視野に入れたい。授業は学生の発表・討論を主体としたゼミ形式で行う。 内容 (Contents) 1.「グローバライゼーション」と「アメリカナイゼーション」 2.文化帝国主義とメディアの再編成 3.グローバル化とローカル化 4.ナショナル・アイデンティティーの変遷 5.ハイブリディティー、ディアスポラ 6.文化の混淆化と均質化 7.マンガ&アニメの表象 8.帝国とマルチチュード 成績とグレーディングポリシー (Evaluation and Grading Policy) 出席、討論への参加度、クラス発表、リサーチレポートなどから総合的に判断する 参考文献 (Reference Books) 岩渕功一『トランスナショナル・ジャパン:アジアをつなぐポピュラー文化』岩波書店 ――――(編著)『グローバル・プリズム』平凡社 姜尚中『オリエンタリズムの彼方へ』岩波書店 Bhabha, Homi K. The Location of Culture Routledge Hardt, Michael and Antonio Negri Empire Harvard University Press Heelas, Paul et al. (eds.) Detraditionalization Blackwell Spivak, Gayatri C. In Other Worlds: Essays in Cultural Politics Taylor & Francis, Inc. Strinati, Dominic An Introduction to Theories of Popular Culture Routledge Tomlinson, John Globalization and Culture Polity Press 注意事項 (Note) ★秋学期の「メディア文化研究」を履修していないものの本コースへの登録は認められない★ コーススケジュール (Course Schedule) *5/TU *5/F
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