| なっちさん、こんにちは。 ICUで西洋美術を専攻している4年生のMurphyといいます。 ICUの美術はどんな感じか、質問にはありませんでしたが、将来的なことを踏まえて色々考えていることを書かせていただきます。 ICUの美術関係にはいくつか将来的に不利なことがあります。 まず1つ目は美術でICU専任の先生がウィルソン先生と伊藤先生しかいないということです。 同じ人文学科のたとえば宗教関係に比べるとこれは全然少ないです。 私は院に行く予定で就職活動をしているわけではありませんので、 はっきりとは言えないのですが、学芸員として就職するのでしたら、最低修士レベルで得意な専門分野(たとえば14世紀イタリアなど)がないといけないようです。 学部レベルでしたら先生が専門と違っても全然問題はないと思いますが、 将来的に大学院に進むのでしたら、もちろん自分の専門分野に詳しい先生のいる大学に最初から行く方がいいのは間違いありません。 常識的に考えて、他大から受験するより、内部の方が試験問題を作っている教授を知っているわけですので、絶対お得です。 これはコネとは関係なく、先生の出題傾向とかもその先生の授業受けてればわかりやすい、とかその大学の大学院に進学する先輩が多いので情報量が多い、とかそういう面での話です。 私の友達で05の人はICUの授業に出ながら他大の授業を一年聴講して、その大学の大学院に行きました。 そういう努力が内部生なら少なくても良くなります。 もちろん専門分野にしたい分野は今はまだ決まっていないかもしれませんが、 先生が二人ということは、先生が多い大学に比べて選択肢はぐっと狭まります。 また、ICUの大学院では人文関係の専攻は比較文化であって、美術史を専攻するわけではありません。 美術史を勉強するのであったら、実際に授業を受けたことはありませんが、 たとえば早稲田のように独自の美術史学会などを持つ大学に比べ 教養学部であり英語に割く時間の多いICUでは専門が薄くなりがちであることは 容易に推測できるかと思います。 この足りない分は自分で勉強することになるわけです。
また、ICUで学芸員課程が始まったのが去年からというのも考えるべき点かもしれません。 就職はすべてコネ、と言う訳ではありませんが、OB訪問などという文化もあることですし、志望分野に自分の大学とリンクが多くあるのは就職の際に有利です。 学芸員課程が最近始まった、ということは純粋なICU卒で学芸員の方はほとんどいないということです。 実際私の知る限りで、ICU卒で学芸員になった方は皆さん他大の大学院に行かれています。 就職というのは基本的には本人の努力と才能と運の問題だとは思いますが(博物館学のH先生はやる気と体力さえあれば、とおっしゃっていました)、 最初から不利だと思われる大学に無理に行くことはないですよね。
でもだからと言って、ICUは美術関係にまったく駄目な大学だから他大を受けた方がいいよ、ということはできません。 私はICUで4年間教養の重要さを洗脳(笑)されてきたので、 一気に専門を決定してそれにまっしぐら、という他大の勉強スタイルは最終的には人生には不利な気がします。 私はもともと心理専攻を希望して教育学科から人文学科に転科しましたが、 美術と両方勉強できたことをとても嬉しく思っています。 実際生きていく上で立ち向かわなければならない問題は、学科別に出てくるわけではありませんから、他のジャンルの知識が役立つこともあるでしょう。 それが人間の幅を広げる、っていうことではないのかな、と思ったりします。 また、ICUの国際性も、将来的に有利に働くと思います。 ICUではやはり他大に比べれば、外国人と触れ合う機会、留学のチャンスなどが多いと思います。 美術関係の専攻では、英語だけではなく複数の言語ができるのは当たり前ですし、 学芸員になってもそれは変わりません。 また言語だけでなく国際性も必要でしょう。 西洋関係だったら研究をだけでなく海外の博物館からのレンタル交渉などもありますし、 日本関係の博物館だって他所の国の外交官の方がいらっしゃったりしますから(むしろ日本関係の方が外国のお客さんが多いと思います)。 このような事態を乗り切っていく力を身につけるには、 アメリカ人のウィルソン先生を初め多くの外国人の先生から 日本について学んだりする経験などが役に立つことはいうまでもありません。
長くなりましたが、最終的にはどこの大学を受けるのかは、 要するになっちさん次第、って言うことになってしまいます。 ICUはまあこんな感じですが、他大についても調べて一番好きなところ、 合いそうなところにするしかないですよね。 大変だとは思いますが、受験がんばってください。
あ、最後で恐縮ですが、美術関係の授業はどの先生も面白いですよー でも結構どれもハードかも。伊藤先生と福野先生は熱心だし、ウィルソン先生は英語だし。 でも大学でハードじゃないと就職や院試の時、自分で勉強しなきゃいけなくなるだけなんで、ハードなのはいいことだと思います^-^;
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