2025年度ICU総合型選抜入試要項公開、小論文課題など変更

6月 25, 2024

ICU(国際基督教大学)の入試関連の公式サイトが更新され、2025年度総合型選抜の要項が公開されています。

スケジュール

スケジュールなどは昨年から大きな変化はありません。夏休み明けに出願で、10月に1次合格発表と二次面接、11月1日に合格発表です。

2025年度ICU総合型選抜スケジュール:英語外部試験利用の場合
Web出願期間:2024年9月2日(月)10:00 ~ 9月10日(火)23:59(日本時間)
出願書類提出期限:2024年9月11日(水)当日消印有効
第一次選考(書類選考)結果通知:2024年10月11日(金)
第二次選考(オンライン個人面接):2024年10月19日(土)
合格発表:2024年11月1日(金)【入学手続締切:2024年11月11日(月)】

必要書類

ICUの総合型選抜で応募者が作成し、選考の重要な要素となるのが以下の2つの書類で、文字数等は例年通りです。

1.小論文(1500文字)
2.学校内外における自己活動歴と自己分析(800文字)

また、要項を確認して、以下の書類などをそろえる必要があります(外部英語試験利用の場合、詳しくは入試要項を参照)

入学願書、推薦状2通、高等学校調査書、英語の能力を証明する書類、その他要項が定めるもの

小論文の課題が一部変更される

総合型選抜の英語外部試験利用では小論文のトピック(3)が探求型学習に関する内容に変更されています。

ちなみに2023年度以前のICUの小論文は応募者の経験を問う出題でした。2024年度から応募者の見解を強調した内容となり、2025年度はさらにそこに探求型学習が加わった形です。

<2025年度>
以下からトピックを 1 つ選び、1,500 字以内の小論文を書いてください。
小論文の冒頭にはタイトルを付け、自分自身の見解と具体的な事例を含めてください。
(1)社会的または国際的に関心が高まっている時事問題
(2)あなたが感銘を受けた芸術作品(絵画、文学、音楽など)、歴史的エピソード、科学的業績など
(3)古典探究、日本史探究、世界史探究、理数探究基礎、あるいは総合的な探究の時間などの探究型
学習で取り組んだ課題とその成果の要約

<2024年度(参考)> 
以下からトピックを1 つ選び、1,500 字以内の小論文を書いてください。
小論文の冒頭にはタイトルを付け、自分自身の見解と具体的な事例を含めてください。
(1)社会的または国際的に関心が高まっている時事問題
(2)あなたが感銘を受けた芸術作品(絵画、文学、音楽など)、歴史的エピソード、科学的業績など
(3)あなたがこれまでに直面し、克服した困難な課題
<2023年度まで(参考)>
以下の課題について1,500 字以内で書いてください。
課題:初対面の人(複数)に、自分の特長を深く、かつ正確に知ってもらおうとする時、あなたは自分の経験を、どのように伝えますか。以下からテーマを一つ選んで書いてください。選んだテーマにチェック
をしてください。
(1)あなたに深い感動を与えた人物との出会い
(2)あなたの人生の転機となった経験
(3)あなたの物の見方・考え方に大きな影響を与えた経験
「経験」は、体験、人との対話、芸術との出会い、その他広く考えて構いません。

2025年度ICU総合型選抜 小論文より

トピックの方向性の変化

2023年度から2025年度までの小論文のトピックの変化をみると、以前は応募者の経験を問う「エッセイ」の要素が強かったのですが、現在は応募者の見解を問う「小論文」へとシフトしているように見えます。

トピックを変更した事で、いわば一般的な「小論文」の内容に近づけて入学試験としての整合性を図り、さらに最新のカリキュラムにも対応しているように見えます。

その上で、実際的な目的として、トピックを書きやすくして応募者を増やすという狙いがありそうです。

2023年度までのICUの総合型選抜の小論文は、高校時代に顕著な経験・活動をしてきた学生であれば充実した内容が書けるが、そうでない人は書く事がほとんどないという「経験」を重視したものでした。現在のICUの総合型選抜の小論文は、とりあえず「見解」を書かせる事で、提出書類は書くだけなら誰でも書けるものにして、より多くの受験生を確保したいという意図もあるのかもしれません。

2025年度入試からICU総合型選抜の募集人員が増員されているので、大学としては一人でも多くの受験生を確保する事が重要であることは確かでしょう。

「探求型学習」が加わった理由は?

日本の高校では「総合的な探究の時間」は2023年度から必修となり、2025年度の大学入試を受ける現高3生は1年生の時から探求型学習に取り組んでいます。そして2025年度のICU総合型選抜から小論文で選択可能なトピックに「探求型学習」が含まれるようになりました。この変化は2025年度の文科省の「大学入学者選抜実施要項」の変更点に対応するためのものと考えられます。

文部科学省 令和7年度大学入学者選抜実施要項について(通知)第6-5より

また、ICUはアカデミックな意識が高い大学ですので、高校での研究成果という視点からも学生を評価したいという意図もありそうです。実際にIB認定校対象の総合型選抜では、以前から課題論文(Extended Essay、卒業論文に近い形式で独自に行う課題研究)の内容と成果の要約を提出させていました。

同時に、すでに述べたように、小論文のトピックを書きやすくして、より多くの高校生に総合型選抜を受験をして欲しいという意図があるのかもしれません。「探求型学習」は「必修」であるのですから、日本の高校生なら全員が経験しています。そのような意味では誰でも書けるトピックと言えます。

一方で、この「探求型学習」のトピックを選択した場合に、応募者は、全員が経験している必修の授業に事に関して書く事になるので、よほど充実した内容でなければ、平凡な内容になってしまうかもしれません。

「学校内外における自己活動歴と自己分析」は変化なし

「学校内外における自己活動歴と自己分析(800字)」は従来と変わらず提出が求められています。他大学の総合型選抜で提出が求められている「活動報告書」に相当するものです。

2025年度ICU総合型選抜 学校内外における自己活動歴と自己分析より

他大学の総合型選抜では、指定された項目の枠の中に入賞歴などを記載するケースが多いのですが、ICUの総合型選抜の場合は、全て文章で記載する必要があります。実際には800字以内で全ての活動実績を述べることは困難なので、多くの受験生は小論文の中でも活動実績を書いていく事になります。

入試要項

入試要項は下記URLから確認できますので、総合型選抜を受験する予定の方は早めにチェックしておきましょう。

https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/exam/special/