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2025年度入試には変更点があり、ICU(国際基督教大学)の「3教科型」に加えて、「英語外部試験利用」または「日英バイリンガル面接利用」のいずれかを併願することが可能になりました。

本記事では以下の内容を説明しています。

1. 3教科型入試に加えて、面接型試験を併願を利用すべき理由
2. 英語スコアがある場合は英語外部試験利用を選ぶべき理由
3. 英語スコアがない場合も日英バイリンガル面接利用を併願すべき理由

面接型試験を併願すべき理由

ICU一般選抜では、3教科型入試に加えて、面接方式試験を併願可能です。文系の受験生の場合、一般選抜の受験には主に以下の3パターンがあります。

1.人文・社会科学選択のみ
2.人文・社会科学選択 + 英語外部試験利用
3.人文・社会科学選択 + 日英バイリンガル面接利用

以下においては「3教科型」に加えて「面接型」を併願するメリットを説明します。

<合格チャンスの最大化とリスク分散>
併願をすることで複数の合格機会が得られ、受験におけるリスクを分散できます。3教科型の試験で万が一失敗しても、面接での評価が補完してくれる可能性があります。また、試験当日の体調不良や苦手分野の出題といった予測不能な要因の影響も軽減できます。このように、併願は合格可能性を広げながら、受験に伴うリスクも抑えられる、受験生にとって非常に効果的な選択といえるでしょう。

<追加の負担の少なさ>
3教科型を受験している場合は、「人文・社会科学(and/or自然科学)」「総合教養(ATLAS)」「英語」の会場試験を受験します。「総合教養(ATLAS)」などの科目は面接型入試にもそもまま適用されるので、併願しても試験会場で受ける科目は同じです。よって一般選抜を受けるならば、面接型の試験も併願はしておいた方が得です。

<コストパフォーマンスの良さ>
ICUの併願費用は1方式30,000円、2方式併願でも40,000円と、追加10,000円で合格の可能性を倍増できます。他大学の併願に比べて出願料が抑えられる点も魅力です。2025年度から受験料が大幅値下げされた点からもICUが併願を推奨している方向性が伺えます。

スコアがあるなら英語外部試験利用を選択すべき

1.人文・社会科学選択 + 英語外部試験利用
2.人文・社会科学選択 + 日英バイリンガル面接利用

英語外部試験利用と日英バイリンガル面接利用はいずれかを選択する必要があります。

結論として、英語外部試験で出願可能なスコアを持っている場合は英語外部試験利用を受験すべきでしょう。

<英語外部試験利用の最大のメリット:「事前に英語スコアを確保できる」>

英語外部試験利用の最大のメリットは、「事前に英語スコアを確保できる」点にあります。TOEFLやIELTSなどの試験を出願期間までに複数回受験することで、最もよいスコアを提出できます。

また、通常のICU入試当日に「3教科型」の英語試験で失敗しても、「外部試験利用」の合否判定には提出済みの英語のスコアが使用されるという点では、リスク分散や保険としてすぐれています。

<二次面接が日本語のみ>

もう一つのメリットは、「二次面接は日本語のみ」という点です。日英バイリンガル面接利用では面接での英語力も評価の一部となりえます。しかし、英語外部試験スコアを提出している場合は、英語力はすでに証明済みなと言えます。面接では、英語で即答するプレッシャーがなく、 志望理由や学問への関心といった重要な部分に専念できます。

スコアがない場合でも日英バイリンガル面接利用を併願するメリット

英語スコアがない場合でも「日英バイリンガル面接利用」を「3教科型」と併願することで、次のようなメリットが得られます。

・3教科型を受験との併願で、会場試験での追加の科目はない。
・英語外部試験スコアが不要なので、スコアがなくても挑戦できる。
・一次選考の合格発表後から面接まで8日間はある。発表を聞いてから英語面接の練習は可能。
・「日英」であるから、日本語でも面接は行われる。英語でうまく言えなかった内容を日本語でカバーできる可能性もある。

ちなみに、「日英バイリンガル面接利用」と書いてありますが、面接を日英2言語でやりますよという意味であって、バイリンガル専用の試験という訳ではないです。

その他、募集人員や二次面接辞退者について

<募集人員の違い>

英語外部試験利用の募集人員は10名です。日英バイリンガル面接利用の20名より少ないですが、これは高いスコアを保有している受験生が限られることを想定しているためです。募集人員の違いは難度の違いではないのでその点で選ぶ必要はありません。一例として今年度より総合型選抜の募集人員は増員されましたが、実際の合格者はさほど増えませんでした。

<二次面接辞退者の存在>

過去のICU入試では、旧B方式(現「英語外部試験利用」)の受験生は、3教科型の一般入試で先に合格し、英語外部試験利用の二次試験を辞退するケースが少なからずありました。高い英語スコアを持つ受験生は、一般選抜でも高得点を取る傾向があるためです。恐らくこの傾向は変わらないので、引き続き「3教科型」と「英語外部試験利用」もしくは「日英バイリンガル面接利用」を併願したの中には、「3教科型」で合格をして二次面接を辞退する人は一定数出てくるものと思われます。当然辞退者がいるということはその分は実質の倍率は下がっているわけで、その意味でも、これらの併願は保険として機能しやすい傾向があると考えられます。

<入試制度を補完>

ICUは私大には珍しく、入学試験で補欠合格を一切出していません。その意味では、これらの面接試験はある意味では入学者を補完する機能する可能性があるとも解釈できます。

実際に、「面接型」の合格発表は、「3教科型」の入学手続き締め切りより後です。つまり「3教科型」の入学手続き状況が確定してから、「面接型」の合格発表が行われるため、仮に入学手続きが例年より少ないなどすれば、「面接型」の合格者数が若干増やすなど調整も不可能ではないでしょう。さらに「面接型」は試験日程が遅く、志望動機等を問われる試験でもあるので、ICUの志望順位が高い人が受験する傾向もあると考えられます。合格者がICUに入学する確率は3教科型より高く、入学者数を補完する役割が期待できます。

事実、旧B方式(現「英語外部試験利用」)で受かった方にインタビューすると「A方式はダメだったけどB方式で救われてよかった!」という言い方をする方がとても多かったので、やはり面接型の試験の併願は、入試を補完する制度として機能している部分はあると思います。

まとめ

2025年度以降のICUの入試では、3教科型に加えて「英語外部試験利用」または「日英バイリンガル面接利用」のいずれかを併願することができます。追加費用1万円で合格のチャンスを広げられるため、どちらかを併願することを強くおすすめします。英語外部試験で基準を満たすスコアがある場合は「英語外部試験利用」、スコアがない場合は「日英バイリンガル面接利用」を選択しましょう。

実際のところ1万円の追加負担でで合格可能性を高められるのは、受験のコストパフォーマンスとして非常に優れています。3教科型だけで受験するより、面接型を併願することで保険にもなり、合格のチャンスが広がります。

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2025年度入試のICU入試の一般選抜では、各教科の時間が以下のように変更されます。ICU入試対策として時間変更の確認と、問題構成の予想をしていきたいと思います。

1.なぜ変更されるのか

ずばり、1日で4教科実施する時間割に戻すためです。元々ICU入試は2014年度まで4限まである時間割で実施していましたが2015年からしばらく3限までの時間割で実施されていました。

2025年度は選択科目が併願可能になるので、4限の時間割が復活することになります。4限に納めるために、各教科の試験時間を80分から70分に戻す調整が行われます。

(2025年度は4限まである時間割に戻るため、各教科の試験時間が調整される)

2.人文社会、自然科学、総合教養

2014年度までは各試験が70分で実施されていた実績を踏まえて、問題形式は変わらず、そのまま10分短縮されると思われます。2015年度に80分延長されていたのが元の70分に戻るイメージだと思います。ただし総合教養は冒頭で資料を読む時間が設けられ、Part分けがなくなるという変更があります(別の記事で紹介)。

ICU入試対策としては2015年度以降の過去問は、80分という指示があっても、70分で解く演習をしておくとよいでしょう。

3.英語

英語は全体で20分短縮され、30分から25分に、リーディングは60分から45分に変更されます。配点も90点から80点になり、試験時間(70分)と配点(80点)を他の教科とそろえた形です。

3-1 英語リスニング

英語リスニングは試験時間が約30分から約25分へ変更されます。仮に現在のリスニングのフォーマットのままで、放送時間が5分短縮される場合は、Part IIIの講義が3つから2つになるのではないかと予想します。実際に2008年度まではリスニングでは、講義文は2題で出題されてました。

ただしリスニングは今までも年度によって長さが結構違っていて、特にここ2年ほど、Part IIIの講義の長文化などによって、過去2年で放送時間が5分ぐらい伸びていました。そう考えると従来の出題でも5分短縮は実現できるので、その場合は出題形式は変わらないかもしれません。

英語の放送時間。冒頭に英語の試験全体の指示が入っているので、リスニングのみの放送時間ではない。

4.英語リーディング

英語リーディングは60分から45分へ変更されるため、一番影響が大きい科目です。こちらは15分短縮しなくてはいけないので、大問が1つ無くなるでしょう。こちらも過去の入試問題を参考にすると、2016年度まではPart 1で読解が2題、Part2の空所補充が1題で構成されており、以前は長くその形式が続いていました。その点を踏まえると2024年度の過去問からPart I text3を無くした形になるのではないかと予想します。全く違う形式になる可能性もあるかもしれません。

試験時間が短くなることで更なる読解のスピードが求められる可能性があります。ICU入試対策としては、英文をスピーディに問題を読み、素早く設問に答えていく演習をしてくことが大切でしょう。

まとめ

以上をまとめると以下のような予想になります。時間以外はあくまでも予想なので、実際の出題がどうなるかは分かりません。ICU入試対策としては問題形式が変わる可能性を踏まえつつ、実際の試験では臨機応変に対応できるようにしておきたいところです。

1.人文社会と自然科学は80分から70分に変更。問題形式は恐らく変わらない。
2.総合教養は80分から70分に変更。40問であることは恐らく変わらない。Part分けがなくなり、試験冒頭で資料を読む時間が設けられる(変更内容は別の記事を参照)。
3.英語リスニングは30分から25分に変更。出題形式が変わる可能性もあるが、変わらないかもしれない。
4.英語リーディングは60分から45分に変更。15分短くなるので、出題形式が変わる。

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他大学在籍中に塾講師のアルバイトをしながら、ICUに編入で合格した湘南太郎さんインタビュー2

今回はICU入試対策として、大学生としてどのような英語学習をしていたかを伺いました。

ICU入試リスニング対策

(英語に関して教えてください。英語講師に応募されるとういことは、英語には自信を持っていたのですか?)

元々英語は好きだったのですが、大学1年生の時は仮面浪人で集中的に英語の勉強したので、英語力はその段階でかなり高まったと思います。

(海外経験はあるのですか?)

旅行で台湾に行ったことはあるのですが、英語圏には1度も行ったことはありません。いわゆる準ジャパですね。

(リスニング対策としてはどのような勉強をしましたか?)

ICU対策としては基本的にオンレクをやっていました。

その他にTOEFLや英検も受験したので、資格試験に向けた勉強は結果的に役立ちました。

リスニングでは英文を書き取るディクテーションも効果的だと思います。

ディクテーションはCNN English Expressという雑誌を使って2年生の12月ぐらいまでやっていました。

(CNN EEは大学の書店などでよくみかけるCNNの放送を題材とした月刊の英語学習誌ですね)

はい、CNN EEはリスニング用にはとてもよい内容で、大学生にはとてもおすすめの教材ですね。
ディクテーションをするならディクテーション用の教材を使った方がよいです。

なぜかというと例えばリスニングの試験用の英文の全部を、放送を聞きながら書き取るというのは大変ですし、時間がかかりすぎます。

CNN EEはディクテーション用にあらかじめディクテーション用の音声と記入欄も用意されているので、効率的に練習ができます。

(CNN EEは大学生向けというところもありますかね?)

ニュースの英語が中心なので、時事的な英語も多く含まれていて、高校生向けというよりは、大学生や社会人向けではありますね。就活などにも役立ちそうですね。

CNN English Expressは月刊の英語学習誌。CNNのニュースを題材にしているが、中身は全面的に英語学習に特化したコンテンツである。

(リスニングというとPart IIIの講義パートが難しいという受験生が少なくないですが、講義パートの対策はどうしましたか?)

まずはオンレクで過去問の形式と内容に慣れておくことが大事ですね。
実際の試験ではどのタイミングでページをめくるかなど指示もあるので、
その場での対応が求められるリスニングは慣れている方が有利です。

また、前の大学で受けていた講義が結構役立ちましたね。

ICUのリスニングのPart IIIは大学の講義を再現しているので、

大学で講義を受けていた経験から講義の内容を類推できたり、展開を予想できる場面もありました。

学部は経済学部で講義は日本語だったのですが、それでもICU入試の英語の講義を理解する上で役立ちましたね。

ICU入試リーディング対策

(引き続きリーディングに関して教えて下さい)

基本的にはリスニングの勉強と同じようにやっていました。

リーディングも音読を重視してやりました。

リーディングの場合、リスニングとは違って音源はない場合もあります。

1つの英文を10回は読むつもりで思ってやっていました。

10回音読するやり方としては、英文は書き込みする用と読む用に問題を分けて使っていて、

最初は書き込みをしながら読みます。構文や難しい語彙などもこのときにチェックします。

2回目以降は何も書いていない方の英文でさらに5回音読します。

それでも意味が入ってこない単語があったら最初の資料に書き込んだ構文や語彙の内容を確認します。

(なぜ書き込んだ英文と何も書いていない英文を分ける必要があるのですか?)

単純に本番ではまっさらな英文を読むから、書き込んだものを見た後は、何も書いていない英文に戻ることにしていました。

最終的にはまっさらな英文をスムーズに読むことが目的ですので。

また、書き込み用も別にあることで、精読にもなっているとも考えていました。

(英語対策で音読を重視していたのはなぜですか?)

リスニング対策の参考書をやっている時に、音読をするとリスニング力が上がるというアドバイスが書いてあって、それに従ったら効果が感じられたというのが一つのきっかけだったと思います。

実際に音読をしてリスニング力が付いてきたと思いますし、スムーズに英文を読めると言うことはリーディングでも有利です。語学学習として音読は理にかなっていると思います。

(編入を考えている大学生に勧めるテキストなどはありますか?)

英語に関して言えば大学生ならTOEFLの参考書をやるのは有効だと思います!
なんと行ってもICUの英語はTOEFLに形式や内容、語彙なんかも似ていますし、
大学生が大学受験向けのテキストを大学の図書館でやるのは周りの目もあって抵抗があると思うのですが、TOEFLの勉強なら普通にやっている人もいますからね。
自分も語彙のテキストはTOEFLのものを愛用していました。

湘南太郎さんの使っていた 『TOEFLテスト英単語3800』(旺文社)

(英検も受験されたそうですが、ICU対策として英検の内容はどうですか?)

英検は形式面、語彙面でICU入試の内容からは遠いのですね。
やるならTOEFLの方がよいです。
英検の良いところは関連の参考書が充実しているところでしょうか。
単語帳だけでも何種類もありますし、自分にあったテキストは選びやすいと思います。

逆にTOEFLは試験の内容はいいのですが、参考書があまり出ていなくて、語彙のテキストなどは選択肢が少ないです。

リーディング時間配分

(リーディングの時間配分を教えて下さい)

オンレクで過去問をやって、以下のようなイメージで試験に臨みました。

Part IIが8分-10分、Part I はテキスト1つあたり15分から17分

実際の試験では

part 2 10分, part1-1 17分,1-2 15分 1-3 15分 見直しが4-5分という感じでした。

Part2は文法問題などをミスなく解きたいと思っていたので、集中力が切れないうちに解こうと思って先に解いていました。

英語は他の教科よりは時間は少なめなので、予定の時間がきたら潔く次ぎの問題に行くことが大事だと思います。悩んだ問題はたいてい間違えていたりするので、長考してもしょうがない場合が多いです。

また、Part 1はtextごとに読みやすさ違っていて、Text 1が難しい年が多いので、今年もそうだったので
最初の問題が難しくても焦らないことが大事ですね。

塾講師の経験を踏まえた感想

(講師として生徒さんに高校受験の英語を教えながら、ご自身は大学受験の英語の勉強もされた形ですが、高校受験と大学受験の英語の違いはどのような所ですか?)

高校受験の英語は基本的には文法が中心で、文法が固まっていれば高得点が期待できるという内容でした。長文読解はそこまで問われていなくて、速読が求められているということもないです。

大学受験の英語の場合は、長文読解が中心で、速読力が問われていると思います。
その反面、大学受験は高校受験ほど文法ばかりという感じではないですね。
ICUでもPart IIで文法は一部でますが、高校のような「文法のための問題」はほとんど出されていないですね。

また、僕の教えていた塾は公立高校対策をやっていたので、英語はあくまでも5教科の内の一つという位置づけで、各教科をバランスよく勉強するのが大切だと塾でも言っていました。それと比較すると私立大学の入試では英語のウェイトがとにかく大きいですね!

(英語学習の秘訣はありますか?)

秘訣というほどの事は無いのですが、元々英語が好きでしたし、語学としての英語の能力を高めたいという方向で勉強をしていました。特に音読をやったことで実力が付いたと感じていて、語学だから音読をやるのは当然だという感覚で続けていたのはよかったと思います。

(次回に続きます)

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前回に引き続き、4月末にICU入試公式サイトで追加発表された2025年度以降のICU入試制度に関する続報です。2025年度入試からは試験時間と配点も変更されます。ICU入試受験生はICU入試対策として内容変更を抑えておきましょう。

試験時間と配点が変更される

ICU公式サイト資料「2025年度以降の入学者選抜の変更点について」より

この変更点では、全教科で試験時間が短くなり、また英語の配点が10点下がっています。以下の表はそれらの変更点をまとめたものです。

表で示したように、2025年度以降は各科目が試験時間70分、配点80点で実施されます。すでに公表されているように、2025年度以降は人文社会科学と自然科学を別方式で受けて併願できるようになります。人文社会科学と自然科学を別の時間帯で実施するためには、1日4科目の試験を実施する必要があり、そのために各教科の試験時間を短縮して1科目分の試験時間を確保した形です。実際に2014年度までICU入試は4科目型で1日4教科実施されていたので、試験時間が元に戻ったという感じがします。2014年度までの人文科学、社会科学、自然科学は40問70分で行われていたので、この形に戻ると考えられます。よって2025以降の英語以外の科目は40問70分で実施されると予想します。つまり英語以外の科目は試験時間が10分短縮されますが、問題構成は40問のまま大きく変わらないと思います。

英語は変更の影響が大きい

今回の変更で影響が大きいのは英語です。英語は90分(リスニング約30分を含む)、配点90点で行われていましたが今回の変更で英語の試験時間は70分(リスニング約25分を含む)、配点80点になります。実際の試験でこの通りに変更されるのであれば、英語の試験時間は20分短縮されることになります。点数も90点から80点に減ることから、出題形式に変更がありそうです。

今回の変更でリスニングが約25分であることが示されていますので、この通りに実施されるのであれば、現在60分のリーディングの時間は45分に短縮されることになります。

仮にリーディングが45分であるとすると、60分で実施されている現在の問題構成では無理が出てくるため、恐らくリーディングPart Iの英文数が3つから2つに削減される等の変更があると思われます。実際に2017年度まではリーディングPart Iの英文数は2つだったので。

ICU入試対策としては、試験時間の短縮で速読の重要性が引き続き重要になりそうです。

配点が変更され、各教科均等になる

さらに、今回の変更で英語の配点が90点から80点に変更され、他の科目は80点で据え置かれているため、若干ではありますが、試験全体に占める英語のウェイトが低下しています。

併願の対応+各教科の時間配点均等化でICU入試を受けやすくする狙いか

今回の変更の狙いは時間割を変更することで、従来同じ時間に行われていた「人文・社会科学」と「自然科学」を別の時限に実施し、併願を可能にすることです。各試験時間を短縮して4時限目を確保した形ですね。特に国立型の勉強をしてきた学生や、文理を問わず勉強を進めてきた学生にとって、「人文・社会科学」と「自然科学」をそれぞれ別方式として併願できるのは大きなメリットになりますし、ICUにとっても併願者を増やすことで受験者数を確保するという利点がありそうです。

さらに、英語に関しては試験時間を20分短縮して、配点も減らしています。ICU入試の英語は相当難しいというイメージを持つ受験生も少なくない中で、英語の試験を短縮することで、英語だけでは決まらないというICU入試の方向性をアピールする狙いがありそうです。

現状でも英語は配点の36%であるため、他の英語重視の難関大と比較して英語のウェイトは高くはなかったものの、ICU入試の中で英語は配点の高い科目ではありました。

英語を他教科と全く同じ配点にして、さらに英語の問題数と試験時間を従来よりは減らすことで、すべての教科をフラットにし、特定の教科に依拠せず総合的に合否を判定するという、ICU入試の特性をより明確にする狙いがあるのかもしれません。

いずれにしても英語に関しては問題構成等の変更もありそうなので、ICU入試対策として2025年度以降の受験生は引き続き最新の情報を得ていくことが重要ですね。

英語対策,一般選抜

ICU(国際基督教大学)入試対策において、重要なのが英語リーディングです。文章量が多く試験時間が60分と短いため、タイムマネージメントをしっかりとする必要があります。

60分で解くべきかという事に関しては過去の記事でも何度かご紹介いたしました。しかしそもそもそれ以前に、英語のリーディングの60分の試験は何時に始まって何時に始まるのか。60分をどう測ったらよいのかという疑問を持つ受験生もいるでしょう。

まずはICU入試の英語リスニングとリーディングを併せた英語の試験の大体の流れを把握しておくと英語の試験対策になると思います。

ICU入試要項の時間割

ICU入試一般選抜の入試要項の時間割は以下のように記載されています。

2022年度入試要項より

上記のように英語はリスニングを含めて正味約90分と記載されています。しかし実際の時間割では、英語の時間は14:35-16:25まで110分が確保されています。

この110分の枠の中でどのように英語の試験がどのように進行したかを示したのが以下の表です。

昨年度合格者による再現(実際の試験進行時間とは異なる場合があります)

英語の試験進行の再現

昨年度ICU入試合格者に取材した結果、概ね以下のような流れで英語の試験は進行していたと考えられます。

ICU入試の英語の試験ではまず開始10分で問題冊子と解答用紙の配布が行われ、この時に放送のチェックも行われるようです。

開始から約10分後、放送が開始されます。以後、ICU入試の英語の試験はすべて放送の指示に従う形で進行していきます。

放送では冒頭に指示が読まれた後、リスニングの試験がPart1→Part2→Part3と進行していきます。

リスニングの放送が終わると、一旦、鉛筆を置くように指示されます。その後、リーディングに関する約2分間の指示が放送で流され、その後、リーディングの試験が60分で行われます。

リスニングの終了後に短いインターバル(=リーディングに関する指示、放送約2分)があり、その間は解答用紙に記入できないことはICU入試対策として覚えておくとよいでしょう。

実際に英語リーディングの試験が始まるのは何時何分なのか?

ICU入試では英語リーディグの開始時間は年度によって異なります。

リスニングの放送の長さは年度よって微妙に異なる上に、リスニングから連続する形でリーディングが行われるため、リーディングの開始時間は実際に試験を受けるまで分かりません。

開始時間が分からないと言うことは、当たり前ですが、終了時間も事前には分かりません。

よって、リスニングが終わって、リーディングの指示が終わり、リーディングの回答開始の指示が出されたら、その時刻を問題冊子の余白にメモしておくとよいでしょう。また、開始時間の60分後が終了時間なので、終了時刻も書いておくとわかりやすいです。

ICU入試対策のPoint

例 15:25にリーディング回答開始の指示
メモ→15:25-16:25

英語リーディングの60分をどう計るか?

英語リーディングでは分単位のタイムマネージメントが必要ではあるのですが、上記で見たように、開始時間と終了時間が事前には分からないため、残り時間も各自で把握する必要があります。

ICU入試要項では使用できる時計は以下のように規定されています。

一口に腕時計といっても多種多様で、「機能」の規定に関しては各大学で微妙に異なります。

経験上、ほとんどの大学入試において、各大学の試験監督は時計の種類には寛容で、スマートウィッチ等のウェアラブル端末以外であれば、概ねどの時計でも大丈夫です。普段使っている腕時計があるならそれを持って行けばほとんどの場合問題ありません。

しかしながらどの大学の入試でも使える、最も無難な腕時計は、針で時間を示すアナログ腕時計です。

また、残り時間と経過時間を把握する上で、回転ベゼルが付いた腕時計があると便利です。もしこれから試験用の腕時計を購入するというのであるならば、ダイバーズウォッチのような回転ベゼルが着いたアナログ時計も選択肢に入れるとよいと思います。

回転ベゼル付きアナログ時計の例

回転ベゼル付きの腕時計とは、写真のようにアナログ時計の外周に60分刻みの経過時間を示す回転ベゼルがついたモデルで、元は海に潜るダイバーが潜水中に経過時間を把握するためにベゼルがつけられたものです。

リーズナブルなモデルもあり、写真左のカシオの腕時計は2,000円以下で買えます(カシオ LRW-200H-1BJF)。写真右のSEIKOのモデルは約8,000円ですが、電波ソーラーモデルで、自動で時刻合わせができます(SEIKO Q&Q HG14-305)

回転ベゼルの使い方

回転ベゼルの使い方は簡単で、試験開始の瞬間に、ベゼルの目印を長針の指し示すところまで回転させるだけです。時間経過後、長針がベゼルを指す位置により、何分経過したかが分かります。英語はちょうど60分なので時間経過がわかりやすいですね。

下図の例では10分経過したことが分かります。

細かな点ですが、本物のダイバーズウォッチは反時計回りにしかベゼルが回りません。水中で珊瑚や岩など障害物などに時計がぶつかり、ベゼルが動いてしまった場合でも、経過時間が過小に表示されないための安全上の仕様です(逆回転防止ベゼル)。
しかしながら、大学入試では時計を珊瑚や岩にぶつける可能性は限りなくゼロに近いので、どっち方向にも回るカジュアルな回転ベゼルの方がセッティングはしやすいです笑
ちなみに上記のモデルでも安いカシオ(写真左)のベゼルは両方向に回りますが、SEIKOのモデルのベゼルは反時計回りにしか回せません。
電波時計の機能は欲しいところなのですが、電波時計モデルで回転ベゼルが着いているモデルは、ほとんどの場合、ベゼルに逆回転防止機能が付いています。
回転ベゼル付き腕時計=ダイバーズウォッチ=ベゼルは反時計回りのみ、であることが多いので、この辺りは妥協が必要ですね。

(一般的なダイバーズウォッチのベゼルは反時計回りにしか回らない構造になっている)

長針0分合わせ

アナログ時計の場合、長針を0分に合わせるという手もあります。英語リーディングは午後3時台に始まるので、時計を3時0分に合わせてから英語リーディングの試験をスタートすれば、半端な時間から始めるよりも60分の制限時間を視認しやすいかもしれません。

特に英語リーディングは最後の試験なので、他の試験時間のように休憩時間や集合時間を把握する必要はないため、試験開始時点で長針を0分に合わせてしまうのも一つの手段です。

アナログ時計の場合は長針を0分に合わせることも可能

腕時計は忘れずに持って行くこと

意外なポイントですが、ICUの入試には腕時計が入試要項の「持参するもの」のリストに入っていません。

ICU入試要項2020年より

しかしながらICU入試では腕時計が必須です。大学入試の会場には時計がない場合が多く、間違った時刻を指し示すことを避けるため、わざわざ時計を撤去している大学すらあります。要項には書いてありませんが、必ず腕時計を持っていくようにしましょう。スマホを時計代わりに使うことはできないので絶対に時計は忘れないようにしたいところです。

まとめ

すでに普段使い慣れている腕時計があるなら新たに購入する必要はありません。試験前の期間はICU入試で使う予定の時計を日常生活で使ってみるなど、時計になれておくと良いと思います。また、ICU入試対策として、ICU入試本番で使う予定の腕時計で制限時間を測りながら過去問の演習をしておくとよいでしょう。

今回のまとめです。

まとめ

・英語リーディングは開始時間と終了時間が事前には分からないので、試験中に、リーディングの回答開始指示が出された時刻と、その60分後の終了時刻をメモしておくとよい
・腕時計は必ず持って行く
・ICU入試で使う予定の腕時計で、残り時間を測りながらICU入試の過去問の演習をすると効果的

英語対策,一般選抜

今回はICU入試対策として、英語リーディングの各パートを、どのような時間配分で、どの順番で解くべきかを考えていきたい。

<リーディングの時間配分例1>

まず、ICU入試英語対策の過去のエントリーで論じたように、ICU入試は制限時間60分で4つ大問を解かなければならない。

すべての大問を15分で解けば、15×4でちょうど60分となる(パターンA1)。ただしPart Iの読解はPart IIより時間がかかる。そこで、Part IのText1-3を17分でとけば、Part IIを9分残すことができる(パターンC1)。Part IのText1-3の読解に20分ずつかけていまうとPart IIを解く時間がなくなってしまう(パターンF1)。

<リーディングの時間配分例2>

先の例ではすべての問題を解くことを前提に時間配分をしていたが、今度はより現実的に、過去問の傾向からある程度解く箇所を絞り込み、重点的に解く時間配分を研究したい。

まず、前回のICU入試対策のエントリーで検討したように、Part I Text 3は近年自然科学の出題が続いている。今後も3つのテキストの内、一つは理系の文章が出題される事が予想される。ここ最近のICU入試の英語リーディングは、Part IのText 3がText 1,2と比較すると難度が高く、特に受験に理系科目を用いない学生には難しい内容である。よって、上記のパターンでは、Text 1,2にじっくりと時間を使い、Text 3には時間を使わないようにしている。

上記のパターンA2はText1,2の読解にそれぞれ20分、Part IIの空所補充に12分、Text 3に残りの8分という時間配分である。文系分野の出題が定着しているText1,2を確実に解きつつ、空所補充にも人文に時間を使い、残った時間でText3を部分的に解く事を想定している。

B2は空所補充を10分で解いているので、Text 3に10分の時間を使える。C2はText1を19分で解くので、同じくText 3は10分残る。D2はこれらを組み合わせたもので、最終的にtext 3に12分の時間を確保している。もちろん12分ではText3のすべての問題を解くことは困難であるから、特定の段落だけを読んで、時間内になるべく多く答える事を目指す形になる。

ICU入試の英語では制限時間内にすべての問題が解けない場合もある。その事を念頭に置いた上で、入試対策の基本であるが、難しい問題は後回しにして、解きやすい問題を優先する事が重要である。

 

英語対策,一般選抜

ICU入試対策として、今回は英語リーディングのパート別語彙レベルを検証した。

今回の検証の目的はICU入試英語リーディングのどのパートのどのテキストから解き始めるのがよいかという事を考えることにある。

<ICU入試英語リーディングパート別の語彙レベル、文字数、出題分野の分析>

まず始めに、従前の回と同様に、ICU入試の英語リーディング過去4年分をすべてデータ化し、Word Level Checker(SVL12000)で解析をした。パート別の解析結果は上図の通りである。

折れ線グラフが示す全体的な語彙レベルは年度ごとにあまり変化していない。パート別に見ると、text1(Part I)は他のtextよりも語彙レベルが若干高い年度が多い。また、2番目のtext2は他の英文よりも語彙レベルがやや低いケースが多いようだ。

ただし実際に英文を読んで語彙のレベル差を感じるような事はほどんどない。英文がどの分野から出題され、どのような背景知識が要求されていて、その英文の内容に親しみがあるかどうかという事の方が大きい。

<ICU入試英語リーディングパート別文字数>

次に、パートごとに文字数を確認する。近年の出題で、Part Iの各テキストはおよそ800wordsであり、テキストごとに文字数の差はほとんどない。空所補充問題であるパート2は400-600words程度であるので、Part Iの各テキストよりは短い。なお昨年度は例年よりも全体的に文字数が多かった点には注意したい。

<ICU入試英語リーディングパート別出題分野>

ICU入試英語リーディングの各パートとテキストの出題分野を確認する。

近年ではPart 1のText1が人文科学、text 2が社会科学、text 3が自然科学という出題が定着しつつある。Part IIは人文・社会科学分野の出題で、自然科学からは出題されていない。

Part 1 Text 3で理系の出題が定着しつつあることは認識しておきたい。

以上を踏まえた上で、どのような順番で英語リーディングを解くか、いかに素早く問題を解いていくかを次回のICU入試対策エントリーで検証したい。

 

英語対策,一般選抜

ICU入試対策のための英語リーディングの語彙研究シリーズ第3回。今回は語彙レベルと文字数の関係性をグラフにまとめてみた。解析方法は第1回を参照。

<語彙レベルと文字数>

過去3年分のICU入試英語リーディング、センター(問3以降)、SFC総合政策の英語をデータを元に、語彙レベルと文字数をグラフ化した。

横軸は過去3年分の英語リーディング本文の1年度あたりの平均総words数、縦軸はWord Level Checker(SVL12000)で分析した語彙レベルの平均を示している。

横軸からICU入試の英語は総words数が多く、出題される英文が長い事が分かる。ただし、上記のデータではセンター試験は問3の英文本文のみがカウントされ、問1(発音アクセント問題)、問2(文法問題)が含まれていない。よって難度はまったく異なるものの、実質的なボリュームはセンターと大差がない。また、後述のようにICU入試英語は設問の数が少ないため、実際に試験問題を解いてもSFCなどと比較して英文を長くは感じないかもしれない。

縦軸を見るとICUは語彙のレベルが高く算出されている。やはりセンターは高校の学習範囲から出題されるよう慎重に語彙のレベルが設定されており、手間暇をかけて編集をしている。SFCも独特の穴埋めと読解が並立した出題方式であるため、原文から語彙を調整しており、その点で語彙レベルが整っている。一方、ICU入試の英文は特にパート1の3つの英文で、3分野(人文、社会、自然科学)の各種学術用語、専門用語が出題される事があり、結果的に平均値が上がっているものと考えられる。もっとも、出題される専門用語はほどんどの場合、英文の文脈の中で説明されている。

<問題数と制限時間>

ICU入試の英語リーディングは全体で36問、制限時間は60分であり、問題数が少なく、制限時間が短い。センター試験が54問80分、SFCが90問120分であることを考えると、ICUはいかに短い時間で比較的少ない問題を確実に答えて行くかという技術が問われている。

<出題英文量と問題数、制限時間>

先に検討したように、ICU入試の英文は一定のボリュームがあるのに対して、問題数は少ない。よって、入試対策として、じっくりと英文全体を読むというよりは、効率的に英文から設問で問われている箇所をピンポイントで答えられるかと能力が問われている。

ICU入試の英語リーディングでは、設問を先に読みつつ、設問で問われている箇所は丁寧に、それ以外の箇所は素早く読むということを心がけて問題演習を行っていきたい。また、Part Iの読解問題では、設問は英文の流れに沿って出題される。一気に英文を読むというよりは、設問の要求に応えながら英文を読むというトレーニングを積みたい。

Part Iはすべての問題が読解、Part IIはすべての問題が空所補充であるため、出題内容には一定の偏りがある。制限時間を考えると、過去問演習を十分にこなし、ICUが頻繁に出題する学術分野の論文を読みこなし、的確に英文から設問の問いを導き出すという演習が有効である。

また、制限時間が短いので、Part 1のText1,2,3及びPart IIをどの順番解くかということも重要である。その意味でも過去問演習を通して、どの順番で解くと最も効率的であるかを十分に考え、なるべく計画通りに問題を解いていく事が求められている。

次回以降のエントリーでは、ICU入試英語リーディングで出題される英文の分野のパートごとの傾向や、語彙レベル及び文字数の違いなどを検証する。

 

英語対策,一般選抜

今回はICU入試対策として、前回の語彙レベルの分析を元に、具体的にICU(国際基督教大学)の入試英語のリーディングを受験するに際して、どのような語彙学習をしてくべきかを考えてみたい。

まず前回の解析結果から、3つの結論を述べたい。

1.3000語レベルまでは学習効率が高いので、単語帳などでの語彙学習は有効。基礎的な単語帳1冊はぜひやっておくべき。

2.6000語レベルを習得できればICU入試対策として、相当に得点できるレベルになる。ただし3000語-6000語レベルは3000語レベルまでと比較すると、暗記学習の効率は大きく下がるので、単語帳などでの学習にこだわる必要はない。英文を学びながら語彙を習得するのが理想。

3.7000語レベル以降は暗記に対する得点のリターンが大きく低減するのでするので、単語帳などの機械的暗記は推奨されない。ただし6000語レベル以降を全く学ばなくてはよいという訳ではもちろんない。学術的論文からの出題が多いというICU入試特有の出題傾向もあるので、語彙のレベルは後述の方法で見極めながら、英文を学びながら実践的な語彙を習得する。

以上の結論から、単語帳および過去問での語彙の具体的習得法を考えたい。

<その1 単語帳の活用法>

[単語帳の使い方]

1冊目 1冊目は仕上げた方がよい(3000語/センターレベル)

2冊目 2冊目は必須ではないが、もしやるのであれば、過去問の英文を読みながら平行して覚える(6000語レベル 私大向け語彙・単語帳)。1冊目からは効率が下がる事を認識する。

3冊目 効率が悪いので無理に手を出さない(超上級の単語帳)。語彙ばかりではなくリスニング、読解の技術や背景知識など、単語帳以外の学びを優先してやった方がよい。

 

<その2 入試問題中の語彙の判断の仕方>

入試問題中の個々の語彙を覚えるか覚えないか、この判断が難しいのだが、昨今はネットで語彙レベルが判定できるので活用する。

1.英辞郎

https://eow.alc.co.jp/

ずばり、今回の分析に用いた「標準語彙水準SVL12000」(SVL=Standard Vocabulary List)そのものの判定ができる。英辞郎のレベル1=1000語レベル/レベル12=12000語レベルである。

ICUの入試問題に登場したものに関しては、レベル6以内のものは積極的に覚える。そこから先は判断が難しい。経験上レベル9くらまでは重要だと思えるものはチェックしておく。レベル10-12は難しい語彙なんだと思っておけばよい。レベル判定がないものは捨てて良い。

なお、SVL12000の分類の仕方そのものにも突っ込みどころがあるので、あまり厳密に考えなくてもよい。ただしレベルの低いものは確実に覚える。なお、SVL12000の全リストは『究極の英単語 SVL(アルク)』シリーズに掲載されている(計4冊)。

2.ロングマン英和辞典

https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/english-japanese/

英英辞典でおなじみのロングマンもネットで使えるよい時代になった。
実は英和辞典もなかなか便利で、大学英語教育学会(JACET)の分類によるJACET8000(J1-J8)の判定を見ることができる。6000語(J6)が当面の目標ではあるものの、JACET8000は入試に特化したリストであり、可能であればJ8まで覚える価値は確かにある。逆に、レベル判定がないものは無理に覚えなくて良いという判断ができる。

なお、ロングマン英和辞典で見られるのJACET8000は2003年の分類で、現在は新JACET8000が2016年に発表されている。全リストが欲しい場合は2200円で販売中(『大学英語教育学会基本語リスト 新JACET8000(桐原書店) 』。

3.ジーニアス英和辞典

受験生なら電子辞書を持っているはずなので、ジーニアス英和辞典の判定を活用する。

ジーニアスでは星3、星2、星1、無印の判定があるので、星2までは確実に覚える。星1の語は4300語-9600語レベルにもまたがるので判断が難しい。星1は他の分類も活用する。多くの場合覚えて損はない。無印の語は捨てて良い。

<具体例>

流れとしては、ジーニアスで意味を調べた後、英辞郎もしくはロングマンでも調べてみる。以下に実際にICU入試に出題されている具体的な語彙を例にあげて使い方を解説する。

例1″reverberate

ジーニアス-無印→覚えなくて良い

英辞郎→レベル11(レベル10-12はかなりハイレベル)

Longman=無印→覚えなくて良い

各種判定から覚える語ではなく、音楽をやっている人ならreverb(リバーブ)から連想できるので、大学受験のレベルでは覚えなくて良い。このレベルまで手を出すのはやめた方がよいという例。

 

例2″indifferent"

ジーニアス-星1、他の判定を併用

英辞郎-レベル6 →覚えた方がよい

ロングマン-レベル7→上記2つも踏まえて覚えた方がよい

“indifferent"はハイレベル語ではなく十分に覚えたよい範囲であることが分かる。また"in"と"different"からは連想できる語ではないので、意味を取り違えやすいし、狙われやすそう。覚えておいた方がベター

 

例3″offspring"

ジーニアス-星1→他の判定を併用

英辞郎-レベル6→覚えた方がよい

Longman-レベル6→覚えた方がよい

各種判定で覚える語。環境問題や歴史などといった分野の論文でもよく出る単語である。さらにoffとspringからも連想しにくい語であるから、これは覚えるべき単語と言える。

 

<まとめ>

各種単語レベルの分類はそれぞれが研究をして頻度をベースに作成しているので、それぞれ収録されている語彙が異なる。複数の指標を使うことで、両方が低レベル語であれば確実に重要語であるとは言える。しかしながら複数の指標を使うと、それぞれに覚えておけという語彙がどんどん増えてしまう点には注意したい。そのような意味でやはり基礎の語彙は単語帳でやって、後は英文を多数読みながらやれる範囲で覚えるということになりそうだ。

なおオンレクの解説の語彙リストでは「大学入試の範囲を超える語」として、一部の語彙には"*"マークを付けているので、それらは大学受験の範囲からは除外してよい。どのレベルの語彙までやればよいということはとても難しいのだが、これは覚えなくてよいという語彙もあり、そちらは大いに参考にはなるはず。

 

英語対策

ICU(国際基督教大学)入試受験対策として、英語の語彙はどれくらいのレベルまで習得したらよいのか。今回はその検証のため、ICU入試英語の過去問から語彙レベルの解析を行った。ICU入試英語リーディングの過去3年分(2018-2020)をすべてテキスト化し、本文を解析した。

解析には元青山学院教授の染谷泰正氏のWord Level Checkerを使用し、ベース辞書にはSVL12000(語学系出版社のアルクによる語彙レベルの分類)を用いた。
http://someya-net.com/wlc/index_J.html

解析結果は以下の通りである。

SVL12000の語彙レベルは1000語ずつ12段階に分かれている。ICUの入試問題ではこの内、3000語レベルまでに全体の約8割、7000語レベルまでに全体の約9割の語が集約されている。ICUの英語は難しいと言われるが、実際に英文を構成している単語をレベル分けすると、ほとんどが「中級」までの語に収まることが分かる。

比較対象として、センター試験英語の過去3年分をすべてデータ化し、同じく解析にかけてみた。

センター試験の場合、全体の約75%が1000語レベルまで、全体の約9割が3000語レベル以内の出題であった。さらに、6000語レベルまでに全体の94.6%が出題されており、ここまで習得すれば本文の内容理解で困ることはない。

ICU入試と他大学との併願を考える上で、慶応SFC総合政策学部の英語も同じようにデータし、解析を行った。

こちらは1000語レベルまで約69%、2000語レベルまでで約77%、3000語レベルまでで約83%が出題されており、1000語-3000語レベルまでで文章を整えている様子が窺える。また、ICUと同様に全体の90%の語彙が7000語レベル以内である。

以上3つの分析をまとめて、learning curveを描いたのが次のグラフである。

いずれの出題でも「中級」とされる7000語レベルで9割以上の語彙を抑えていることになり、学習効率の上でも中級の語彙までが大学入試の出題のほとんど占めるのである。現実的にはICUで約89%、SFCで約90%、センターで約95%の出題が収束する6000語レベルを習得していれば、相当な英文を読みこなせるはずである。ただし単語帳での6000語の習得が効率的かというと、必ずしもそうではない。

Learning curveは上級になればなるほど鈍化し、効率は悪くなる。一定レベル以上になると語彙力習得に対するリターンは極端に低減する。上記の解析でも4000語以降は相当に効率が悪くなる。更に、単語帳で機械的に語彙を暗記をしていると、暗記のメンテナンスも必要になり、語彙の習得だけに際限なく時間がかかってしまう。

逆に3000語レベルくらいまではLearning Curveが急上昇するので、大学入試で初級から中級とされるレベルの単語帳での語彙の習得はリターンが大きく学習効率が高い。よって中級程度までは単語帳等でやるとして、その後は更に上級の単語帳をやるのではなく、実際に英文を読みながら語彙を習得していった方がよい。

概ねICUの英語リーディングの語彙レベルが分かったところで、実際にICUの過去問をやって、個々の単語を覚えるかどうかという判断したらよいのか。それらの実践的内容は、次回以降のエントリーで触れる。

*注:グラフ上のn/aはSVL12000語レベル外のもの。固有名詞や派生語も含まれるため、必ずしも難度が高い語という訳ではない。