私立中高一貫校を高1の冬に中退し、その年のうちに高卒認定試験を取得。自分で生活の軸をつくりながら、オンレクを活用してICU一般選抜に挑んだKさん。後編では、中退のきっかけから高卒認定の取得、中退後の生活、オンレクの活用、そして入試本番について伺いました。

高校中退と高卒認定
――高校中退の時期と、そうした決断に至ったきっかけから聞かせてください。
高校を中退したのは高1の冬です。その頃は朝起きられなくなることが多くなっていて、朝に体が動かないのがかなりきつかったです。
人間関係の面でも、学校には馴染めていなかったというより、むしろ馴染みすぎていた感じがありました。調子のいい日は周りを笑わせたりしていたのですが、そのぶん自分に向けられる期待のようなものも大きくなっていって、一人になりたいときにも人が集まってきてしまうのが、かえってしんどかったです。
学習面でも、教科書通りの正解を身につけていくような授業に、少し窮屈さを感じていました。学校を休んで、一人でカフェで勉強したりもしていました。その頃にはもうICUのことを知って志望校になっていて、過去問を試してみたら人文・社会や総合教養に手応えがあって、「英語さえできれば可能性があるかもしれない」と感じたのを覚えています。
結局、退学届を出したのが高1の12月で、1月に退学になりました。踏み切れたのは、以前からお世話になっていたカウンセラーの方に高卒認定試験の存在を教えてもらっていたことも大きかったです。「苦しみながら高校に通い続けなくても別の道がある」とわかって、選択肢として見えてきました。母や先生とも話しましたが、自分の中では「もう辞める以外に選択肢がない」という感覚で突っ切れました。
――高卒認定はどのように取得しましたか。
中退した年の8月の試験で一発合格できました。合格ラインも科目の中身も、思っていたより現実的でした。公民や地理はその場で文章を読んで判断する問題が中心で、知識はほとんど要らなかったですし、数学は苦手ではなかったので問題なく取れました。早い段階で取れたことで、その後の時間をICU受験やいろいろな活動に使えたのは大きかったです。
――中退という経験を振り返ると?
自分にとっては、結果的には良かったです。ただ、正直なところ「運がよかった」という部分が大きいと思っています。職場にも友達の紹介で入れたし、勉強場所や職場でいい人たちに恵まれた。ICUにもつながれた。「堕落しないだろう」という自分への信頼は多少ありましたが、再現性があるかといわれると難しいです。ただ、いざという時には高認という選択肢があることは、知ってもらえたらと思います。
中退後の生活
――中退後の生活はどうでしたか。
引きこもりになるんじゃないかと母には心配されましたが、そうならないように意識して外に出るようにしていました。まず、会員制の自習室に通うようになりました。デイタイムプランで月額1万円くらいで、コーヒーやお茶も飲み放題で、周りが勉強しているから自分も勉強できる、という場所でした。
家では勉強しにくいタイプだったので、「ここに行けば勉強する」という場所を持てたことが大きかったです。平日は毎日通っていて、そのルーティンが生活リズムの土台になりました。
その自習室には、緩い交流会のような場もありました。毎月開かれる「月記会(げっきかい)」では、その月にあったことや不安、課題などをノートに書き出す時間がありました。内容は人に見せないルールがあって、自分の状態を素直に整理できたのがよかったです。月単位で振り返るからこそ、俯瞰できる感覚がありました。
――アルバイトもされていたのですね?
はい。中退して4か月ほどで、友達の紹介でそば居酒屋のバイトも始めました。いわば中卒の状態でバイトを探すのは少し怖かったのですが、運よくいい職場に入ることができました。
基本的には昼シフトで3時間くらい働いて、昼ご飯を食べて、そのあと勉強する、という流れが自然にできました。お金を稼げること以上に、生活のペースメーカーになっていたのが大きかったです。
忙しい時期は週5、6日入ることもありましたが、勉強一本で家にこもるよりは、短時間でも外に出て働く方が合っていた気がします。バイト代が入ることで、美術館に行ったり、ボランティアに参加したりもしやすくなりました。母がNPOに関わっていたこともあって、障害のある子どもたちと交流するボランティアにも参加しましたし、深夜バスで地方を訪ねたりもしました。
そば居酒屋のバイトは1年半ほど続けました。去年の10月にお店が閉店してしまったのですが、ちょうど入試前でバイトを減らしていく時期でもあったので、タイミングとしてはよかったです。
英語の強化
――英語の学習はいつごろから本格化しましたか。
受験前年の10月に英検準一級を受けたんですが、ギリギリで落ちてしまって。その頃は、リーディングはある程度できても、ライティングは型に合わせて埋めるだけみたいになっていて、ICUの問題も3割くらいしか取れていませんでした。
本格的にICU対策を始めたのは受験の年の4月ごろです。まずはBUCHOさんのオンレクに申し込んで過去問を一通り解いていきました。ICU一本で受けるつもりだったので、外部英語試験利用も視野に入れて、5月からIELTS対策に対応している英語スクールに通い始めました。社会人の方なども多いスクールでした。
IELTS対策を集中的にやったことで、英語を「型に流し込む」感じではなく、英語の構造を感覚的に理解して、いわば英語の回路で解いていく力がついたと思います。RとWは6.5まで伸びたんですが、スピーキングが4.0台で止まってしまって、10月に外部英語試験利用は断念しました。ただ、その期間の学習が英語力全体の底上げになったのは確かですね。結果的には10月以降、オンレクだけに絞る形になりました。
メンタルの維持
――中退して一人で勉強していたとなると、メンタルの維持も大事ですよね。
そうですね。実際、最後の1年くらいは、本来なら高3として過ごしている時期だと思うんですが、僕の場合はすでに高認を取ってしまっていたので、いわば宅浪みたいな生活でした。なので、メンタルの部分はかなり大きかったと思います。
正直、不安になることは多かったです。周りに同じような形でICUを受ける人がほとんどいなかったので、「このままで本当に大丈夫なのかな」と思うことはずっとありました。
だから、勉強を家の中だけで完結させないようにしていました。アルバイトに行ったり、勉強カフェに通ったりして、「これをきっかけに外に出る」「ここに行けば勉強する」という場所を持てていたのは、勉強の面でもメンタルの面でも大きかったです。
外に出ることは意識していて、すぐ出かけられるように、新宿駅までのJRのオフピーク定期を一時期持っていたくらいです。
――ICUは単願受験だったんですよね?
はい、結果的にはICUを単願で受けてしまいましたが、振り返ると併願はしたほうがよかったと思います。勉強環境や気持ちのバックアップという意味では、併願には意味はあると思います。
オンレクの活用
――オンレクはどのように活用していましたか。
オンレクは、独学でICUを目指すうえでの土台になっていました。周りに同じ形でICUを受ける人がほとんどいなかったので、自分の位置を感覚ではなく数字で確認できるのは大きかったですし、それだけでもかなり支えになっていました。
特によかったのは、過去問を解いたあとに「なぜその答えになるのか」を納得しながら復習できたことです。独学だと、解答を見ても「本当にこれでいいのか」と迷ってしまうことがあるんですが、オンレクは根拠がはっきりしていて、復習の軸を持ちやすかったです。
ICUの入試は、問題の特殊さもあって、ただ知識を増やすだけでは対応しきれない部分があると思います。だからこそ、過去問を通してICUらしい読み方や考え方に慣れていけたことは、自分にとってかなり大きかったです。
入試当日
――試験当日を振り返っていただけますか。
人文・社会は比較的落ち着いて解けました。悩む問題は飛ばして全部に触れてから戻る流れが合っていましたし、文章自体が面白くて、楽しみながら解いていました。
ATLASは最初の資料に対数が出てきて、そこでも少し焦りました。ただ、文章を読んで考える力で食らいつけるようにも作られていると感じました。資料は15分で全部読もうとしたんですが、11ページ分あって3つ目の途中でタイムアップでした。それでも問題は最後まで解きました。迷ったらすぐ飛ばして最後に戻る。深追いするといくらでも時間を使ってしまうので、とにかく全体に触れることを優先しました。
英語はかなりやらかした感覚がありました。合格発表までの一週間はずっと引きずっていて、入試後の数日はかなり落ち込みました。
英語リーディングは、見た瞬間に「これはやばい」と思いました。例年より文章量が多く感じられて、難しい単語や選択肢が並んでいて、「誰も解けないんじゃないか、合格点は5割くらいじゃないか」と思いながら解いていました。
もともとは全文を一気に読むやり方をしていたんですが、当日はそれでは時間が足りなくて、パラグラフごとに拾いにいく読み方に途中で切り替えました。信念を曲げた感じはありましたが、崩れきらずに取れるところを取りにいったことが、結果的には大きかったと思います。
受験生へのアドバイスなど
――これからICU入試を受ける人へのアドバイスをお願いします。
大学入試は当日受けてみるまで分からない部分があります。自分が難しいと感じた問題は、周りにとっても難しいはずです。
ICUの入試は、「選別するテスト」というより、「人材を見つけだす試験」だと思うんです。だから、すべてを完璧に解く必要はない。
試験日は「審判を受ける日」ではなく、「ICUと対話する日」なんだと思って、落ち着いて試験に臨んでほしいです。
――ありがとうございました!


















