大学院,ICU合格者インタビュー

5プロ履修生Iさんインタビュー2

*ICU大学院の施設があるERB

(・大学院の授業は4年1学期から、学部の授業と並行して始まる? 学部の授業と重複しない?)

並行して始まるのですが、重複はあまり起こらなかったです!残り単位数が応募資格に含まれていることもあって、多くの5プロ候補生は卒業に必要な単位数を一定以上満たしている事が条件であるため、4年次の履修にはかなりゆとりがあるイメージです。

(・実際にICU大学院の授業にICU学部生として参加してみての感想は?)

内容のレベルが上がるのはもちろんですが、個人的には院生の先輩とのつながりができるのがありがたかったです!研究の相談やキャリアプランなどなど、メジャー内でのタテのつながりがやや薄い(?)とも言われるICUで、直属の先輩にたくさん相談させていただけたのは、大学院の授業がきっかけかもしれません!

(・5プロを取っている人はどれくらいいる? どのような専攻分野の人が多い?)

正確な数までは分かりませんが、今年の4月に5プロ生としてICU大学院入学した人数は15~20人くらいいたような気がします。私自身が驚いたことでもあるのですが、専攻・専修は意外とばらつきがありました。ただ理系よりは文系の学生の方が多めですね。

(・「ICUトーチリレー大学院新入生奨学金」は大学院の入学金と1学期の授業料が免除されるが、5プロの人はどれくらい採用される? 或いはこの奨学金は5プロ向けの奨学金?)

5プロの学生向けというわけではなく、ICU大学院新入生全体向けの奨学金です!ただ大学院の新入生のうち、5プロでICUの大学院に入学する学生が多いので、採用される人も5プロ生が多くなりそうですよね。採用率までは分かりませんが、割とみなさん活用している印象です。

(・就職活動はどのタイミングで行う? )

私の場合は少し特殊で、就職活動は4年次の2月(学部卒論執筆直後)の1カ月で集中的に終えました!

他の5プロ生だと、一般企業に就職する場合は5年目の春学期に就活していますね。授業前後に三鷹から都心まで移動して面接に行ったり、研究の合間にエントリーシートを書いたり、とけっこう忙しそうです…。

また、5プロ生には教員志望の学生もいるので、その場合は違ったスケジュールになるようです!

(・無事に就活を終えて大手コンサルティング会社に就活されると伺いましたが、5プロで来年には修士課程を修了する予定であるというのは、就活上有利?人事担当者の反応は?)

あくまで主観ですが、就職活動でのアピールポイントの一つにはなると思います。他の人が6年でやることを5年で、というのは優秀さを伝えるのに非常に分かりやすい気がしています。ただ何よりも「ICUの5プロとは何か」を相手に説明するスキルや論理性が大切です!

(・ICU学部の卒業式、ICU大学院の入学式はそれぞれある?)

学部の卒業式、大学院の入学式、どちらも出席します!卒業式の一週間後に入学式、という不思議な状況が発生します…。

(・ICUの寮には5年間住める?)

5年間住んでいる5プロ生、けっこういます!寮やフロアの変更はあるかもしれないですが、住めなくなることはないようです。

(・ICUで5プロをやってみて良かったこと、大変だったことは?)

よかったことは、専門性が身についたことです!ICUはリベラルアーツを掲げていて幅広い分野の学びに触れられるぶん、メジャーの学びが薄くなってしまうことが弱みとして気になっていたポイントでした。5プロをやったおかげで、学部のときに比べて専攻の知識にも自信がついたと思います。

大変だった(というよりは今大変だと感じている)のは、大学院の授業と並行して修士論文を1年で書くことですかね…。2年間で卒業する場合は、1年目に授業をとって、2年目に研究、というスケジュールが一般的だと思いますが、同時並行しなくてはいけないので、スピード感がありますね。だからこそ、卒論と修論をどのように関連させるか、が大切な気がしています。

(・ICUで5プロを検討している人にアドバイスやメッセージをお願いします)

私個人の意見ですが、下級生の段階からできることは「成績をキープする」「はやめに授業を履修しておく」の2つだと思います!専攻の授業を3年次までにある程度取っておくと、知識も深まって研究計画書も書きやすくなると思います!

5年間で修士まで取れることは、社会に出るときのアピールポイントにもなると感じているので(実際就活ではかなり食いついてもらえました笑)、もし少しでも関心があったら選択肢の一つに入れてみてほしいです!

(ありがとうございました)

大学院,ICU合格者インタビュー

ICU(国際基督教大学)では、通常は6年かかる修士の取得を5年で取得できるプログラム(5プロ)が用意されています。

イメージとしては4年1学期から大学院の授業を先行して受講し、5年目の4月から大学院入学、1年間で残りの大学院の課程を修了すれば、計5年で修士が取得できるというものです。

国際機関や研究機関等では、大学院以上の学歴が要件となっている所も少なくなく、大学卒業後の進路を広げる意味でも、5年間で修士が取得できれば、卒業後の大きなアドバンテージになり得ます。

ただし、プログラムに参加するには、成績および単位の要件を満たした上で、3年3学期に審査を受けて、プログラム候補生として選抜される必要があります。

 

今回取材にご協力下さったIさんは、現在ICUの大学院に在学中で、5年プログラムを利用して、来年3月に修士課程を修了予定です(5年プログラムの5年目)。

(・5プロに申請しようと思ったきっかけは? どの学年から5プロを意識していた?)

入学時から5プロの存在は認識していました。本格的に考え始めたのは3年の夏から秋にかけてです。このまま就職するよりもう少し知識を身につけたい、単純にまだ働くイメージが湧かないという部分がありました。また、教職課程も取っていたので、教職に就くことも考えたのですが、学生時代の最後を教採の準備と対策に費やすよりは、ICUの制度を利用して自分の関心分野の研究を進めて、もう1年在学する事で修士を得た方がよいと考えました。

(・3年3学期(12月頃)に書類審査を受けるが、これ以前に5プロ候補生として必須の活動などはある?)

必須の活動は特にないです!機会としては、学内で5プロの説明会があるので参加が可能です。

(・3年3学期までの授業は自由に取って良い? 5プロに向けて必ず取らないといけない単位などはある?)

必修科目などメジャーや卒業の要件を満たしながら、5プロの成績基準と、残り単位数が卒業論文を含めて25単位以下(見込み)という要件を満たせば、それ以外は自由に単位を履修してOKです!

<・書類審査について>
(・5プロ申請に際して、説明会はどのタイミングで実施される? ICU学内に5プロの申請や相談窓口はある? 5プロの条件を満たしているかなどの確認はICU学内のどこかでできる?)

5プロの説明会は(具体的な時期は忘れてしまいましたが)毎年何回か実施されているので、エイプリル・セプテンどちらでも参加しやすいはずです。5プロに関する相談・申請などはすべて大学院事務グループの職員さんが担当してくださっています。かなり親身に相談に乗ってくださるので、5プロ関連で迷っていることがあればまずは大学院事務室に行ってみることをお勧めします!

(・GPAはどれくらいで出した?)

少し記憶が曖昧ですが、3年2学期までのGPAは3.6か3.7くらいだったと思います。

(・応募条件として、3年3学期終了時点で残り25単位以下である必要があるが、実際はどれくらいの単位が残っていた?)

実際には卒業論文の9単位以外はすべて履修し終えていました。
ただ、教職課程を履修している関係で4年次に履修しなければならない授業もいくつかあったので、4年次は、卒論+教職の授業+5プロの授業、といった時間割でした。

(・応募用紙にはどのような事を記入する必要がある?)

応募用紙はプロフィールと簡潔な志望動機を書く程度だったと思います。正直あまり印象に残っていないので、そんなにハードではなかったはずです。応募用紙よりも研究計画書がメインだと思ってよいのでは!

(・研究計画はどのようにして書いた? 誰かに添削してもらった?)

研究計画書は、卒論アドバイザー(のちに修論アドバイザーにもなる)の先生に添削してもらいました。先生と相談しながら研究テーマに関する論文を有名な学術誌から探して、細かい実験の方法や内容を一緒に考えました。このあたりも分野によるのかもしれません…。

(・推薦状は卒論アドバイザー?もしくはアドバイザー? 3年3学期までに卒論アドバイザーは決まっている?)

私は卒論アドバイザーの先生にお願いしました!留学に行かない場合は卒論アドバイザーの申請が3年の2学期(決定は3学期)にあるので、そのときに5プロに参加したい旨をお伝えする流れになると思います。5プロの場合、大抵の学生は卒論と修論を同じ先生にお願いするので、卒論アドバイザーの先生が大学院の指導も可能なのかは要確認です!

(・3年12月に応募して、その後どのタイミングで候補生に合格したことが知らされる?)

3年の3月末(4年生になる直前)に自宅に封筒が届いて、候補生に合格したことが通知されました。

-次回に続きます

大学院,ICU合格者インタビュー

ICU生SHIBATAKOさんの東大大学院受験対策(2/2)

(3)学習計画書 :学習計画書(研究計画とも)とは、大学院でどういう研究をするつもりであるということを記述する文章です(ただ先日GrasPPオフィスの職員さんと話したところ、進学後に学習の内容が変わることはよくあるみたいです)。前述の通りこれは口述試験で参照されるので大切です。ですが、試験でボロが出てしまわないよう、背伸びしないことも重要です。すなわち、今の自分の問題状況が何にあるか、この問題意識を持ちながらGraSPPで何をしたいか、GraSPPでの学びを終えたらどんなことをしたいかといったことを書くことができればいいかと思います。私は内容を誰かに見てもらうことはありませんでしたが、誰かに見てもらえるならそれに越したことはないと思います。私も、覚えている範囲では、これ以上のことを書いてはいないように思います。

ICUは学部の一般試験でも志望動機やICUで学びたい事を願書に記入しますので、この点においてICUは大学院の試験を先取りしている所があるかもしれません。

(4)面接試験:学習計画書がきちんとかけており、その内容を覚えていれば、面接は特に問題はないと思います。というのも、それさえ覚えていれば質問に関しても流ちょうに答えることができるからです。また、知らないことがあったときに面接官に聞き返しても大丈夫です。私は面接中に知らない人が書いた本のことを聞かれたのですが、「浅学で申し訳ないですが……それってなんですか……?」と聞いても合格することができました。ですので、リラックスして自分が進学して何をしたいかということを伝えることができれば問題ないのではと思います。
服装ですが、私はこの日のためにリクルートスーツを買いました。かばんは買わなかったので黒を基調とした小さめの肩掛け鞄で試験に臨みました。周囲はきちんとしたリクルートスーツとセットで買うような鞄を使っていましたが、合否とは関係ないと思われます。

(5)その他(成績証明書(GPA)、推薦状)
TOEFL以外の提出する成績の書類としては上記のように大学の成績証明書がありますが、私の場合はGPA(Grade Point Average、大学の評定平均で4.0が最高)が3.4くらいでした。また、大学院入試では指導教員等の推薦状などが必要な所もありますが、GrasPPの院試では推薦状は必要ありませんでした。

また、何よりも重要なのが時間の使い方だと思います。私の場合は入試対策を時系列順に説明すると以下の通りです。

3年生/夏休み前:入試を受験することを決める。入試の過去問を取り寄せる(これは受験を決めたらASAPでしてください。パラパラとめくって合格までの距離感を測りましょう)。
3年生/12月まで:TOEFL対策を行う。TOEFL92点が取れたのは12月のはじめくらい
4年生/7月まで:筆記試験の対策を行う。
4年生/8月:実際に過去問を解いてみる。私はしませんでしたが、頼れる先生がいるならば添削してもらうのがベストです
4年生/8月下旬:余裕があると思ったので試験に関係がありそうな本を読んだ。読んだのは『官のシステム』『内閣制度』を覚えている。いずれも東京大学出版会の「行政学叢書」シリーズ
4年生/9月:入試を受ける。面接までの時間は卒論に充てました。

時系列に並べると以上のようになります。重要なのは入試の過去問をなるべく早く取り寄せて、合格までに必要なモノを理解することです。そして、それを理解した上で予定を立てて、実行することです。他のGraSPP合格体験記では日々徹夜した、だとか、寝ても覚めても勉強したとかありますが、私の場合はバイトもしていましたし、試験とは全く関係ない(であろう)卒論の勉強もしていました。なにより重要なのは、入試に向けて何が足りてないかということと必要な水準を理解して、そこに到達するまでの予定を組み、対策をすることです。これさえできれば、入試直前に慌てる心配もなく合格することができると思います。

さて、私は「こういう進路でいきたい」と教授にお話しした時、必ず同じ言葉を返されました。「僕の知ってる学生はみんな合格してるし大丈夫だよ」といわれるのです。確かに大丈夫でしたが……。ですので、ICU生にとってGraSPPに関する限りでは東大院への進学は難しくないのではと思います。私は結局大学院に進学したOB/OGの訪問などはしませんでしたが、無事入試には合格できました。ですので、肩ひじ張らずにTake it Easyの精神で焦らず、当初に立てた計画を実行できれば恐れるべきものはないと思います。
また、ICU生にとって東大院への進学は珍しくなく、私の同じゼミ生でも何人かいいます。大学院を目指すICU生にとって、東大院への進学はよくある選択だと実感しています。

大学院,ICU合格者インタビュー

ICU生SHIBATAKOさんの東大大学院受験対策(1/2)

今回はICU(国際基督教大学)学内新聞サークルの後輩のSHIBATAKOさんに東大大学院受験の様子をご寄稿いただきました。

大学院入試はICU入試に通じる所があり、また、東大大学院はICU生の進学先でも最も人数が多い所の一つであるため、ぜひICU入試受験生の皆様も参考にして下さい。

***

こんにちは、ICU4年で、来年度より東京大学公共政策大学院(以下GraSPP)
へ進学予定のSHIBATAKOと申します。メジャーは政治学と公共政策のダブルメジャーで、卒論は政治学の教授のもとで書きました。

この記事では、私がICU生としてGraSPPの入学試験に合格するまでの経緯をお伝えしていきます。

まず、GraSPPへ進学しようと考えた経緯ですが、具体的に進路を決めたのは3年生の時の夏でした。ICUへ入学した際は就職を考えていましたが、ICUで学ぶうちに、自分が学術的な場で思ったよりも良くできることに気づき、その可能性を伸ばしてみたいと思い、大学院への進学を決めました。

数ある大学院の中でGraSPPを選んだ理由は、私の興味関心の方向性 と一致していたことがまず挙げられます。私は政策を通して社会にポジティブな影響を与えることに参画したいと思っていましたし、政治学・公共政策学を生涯の生業にしていけたいと考えていたのです。その点で政治学や公共政策の研究ができる大学院を目指すことにしました。

ここからが本題なのですが、以下ではGraSPPの入試の概要と私が行った試験対策についてお伝えします。

入試システムについてはGraSPPの公式サイトの入学案内のところに詳しく書かれていますが、概要は以下の通りです。

<一次試験>
1)学習計画書、出身大学の成績証明書などの提出書類の審査
2) TOEFLのスコア
3) 専門科目試験(筆記試験)

<二次試験>
口述試験(面接)

この内、一次試験の筆記試験は試験区分が5つ(法律・行政・政治・国際関係・経済学)あり、その中から1つの試験科目を選ぶことになります。募集要項に詳しく書かれていますが、必要な書類として注意が必要なものはTOEFL成績表と学習計画書になります。前者は準備までに試験を受けねばならず、早めの対応が必要でしょう。また、後者の学習計画書に関しては、二次試験の面接でそれをもとに面接官が質問してくるので、それを踏まえながら書くことが必要になるでしょう。その他、教務課にお願いしないと用意してもらえない書類(成績証明書・卒業(見込)証明書 )があります(GPAは提出時で3.4くらい)。教務課が閉室している時期と出願期限がかぶる可能性もあるので、これらも早めに用意することが望ましいです。教授からの推薦書にあたるものは必要ありません。

試験の大まかな流れですが、以下のようになります。まず、5月ごろに説明会があります。ここで試験に必要な出願書類などがもらえるので参加できるに越したことはありません。説明会では入退室は自由だと思われます。試験は専門試験科目(筆記試験)が九月の上旬(私の時は9/5)に行われ、口述試験が九月の下旬(私の時は9/21)に行われます。合格者発表は一週間後です。以上が試験の概要になります。

皆さんが受験するICUの教養学部の一般入試は他の私立大学と同じようにでは2月に入試があります。しかし、ほとんどの大学院は、学部より早いタイミングで試験が行われますので、早めに準備することが大切です。このあたりはICU入試で言うAOや推薦入試と一般入試の時期に似ているかもしれません。

ここからは、試験対策として行ったことを(1)英語対策(2)筆記試験対策(3)学習計画書(4)面接試験に分けてお伝えします。

(1)英語対策:英語はICU生にとってアドバンテージとすることが最も容易な科目です。というのも、ICUにはELAという必修の英語科目があるだけでなく、ELA修了後も多彩なE開講の授業により英語能力を伸ばしていける環境があるからです。また、英語はTOEFLスコアの提出のため他の試験と違いやり直しが何度でもできます。ICU入試の受験生にとっても、ICU入試はTOEFLに似ているため、ICU入試を突破してきた人にはとても有利だと思います。
私が行ったTOEFLへの対策としては以下のものが挙げられます。(1)E開講の授業を積極的に受講する。(2)ELAのTOEFL対策を受講する。(3)リスニング・スピーキングの練習をする。
TOEFL iBTにはリーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4つのセクションがあり、これらのうちリーディングとリスニングはICUの日々の目まぐるしいアカデミックライフの中で磨くことができます。すなわち、E開講の授業を積極的に受講することで磨かれます。E開講でなくとも、授業で出される大量のReading課題をこなしていけば自然とリーディングセクション準備ができます。また、ライティングに関しても、学期末のレポートをELAで教わったことを忘れずに書くことを続ければ及第点には到達するでしょう。
また、ELAの授業にあるTOEFL対策を受講することも有効です。この授業ではTOEFLに対する基礎的な予備知識を得ることができます。この授業を終えた後にリスニングとライティングを自宅で練習すれば効果が上がると思います。この点に関しては根気強く継続して練習することが最も重要だと思われます。

私が提出したTOEFL iBTのスコアは「Reading 27/Listening 23/ Speaking 17/ Writing 25/ Total 92」でした。リーディングとライティングの点数で会話スキルの低さを埋め合わせた結果です。それでも最終合格者のTOEFL平均点 (公式サイトによると、「最終合格者のTOEFLスコア平均点 IBT 88.7点」)よりは高いので、私のような「会話系そこそこ、読み書き重点的に」という戦略で問題ないと思います。
最後に、TOEFLは早め早めに済ませた方が有利です。というのも、早めに終わらせると、それだけ専門科目への対策を早めに取り掛かることができるようになるからです。TOEFLは出願時には既にスコアが出た状態である必要があることに加えて、一次試験では高度な英語能力が求められる試験はありません。そのため、英語は早めに済ませた方が良いでしょう。

(2)筆記試験対策:これはICU生の間でも難易度が分かれるかもしれません。というのも、私のようなダブルメジャーで公共政策系の科目を取り続けた人と、いろんな科目を受講することで放浪している人の間には大きな差があるからです。ですが、取れば試験が有利になる科目や授業外で何をしたかという情報が、両者にとって価値あるものとなるでしょうから、これらについてお話します。
私は筆記試験を「行政」で受験しました。行政の科目は「政治・行政学」と「行政法」になります。「政治・行政学」に関係があるのは、もちろん政治メジャーと公共政策メジャーの授業です。この中で国内政治を扱うものが「政治・行政学」の試験科目と結びついていると思われます。「行政法」の試験科目については、ICUでは「行政法Ⅰ・Ⅱ」が開講されているのでこれらをとることが有効です。私はⅠ・Ⅱの両方を受講しました。
自習で便利な本は基本的な教科書です。私は「政治・行政学」ではNew Liberal Artsの『政治学』と西尾勝先生の『行政学』を中心に試験準備を行いました。読んだ分量としては、それぞれ3回以上読んだ記憶があります。これらを読む中で気を付けたのは以下の点です。まず、重要な用語について説明できるようになること。次に、現在争点となっていることがらと結びつけて説明できるようになることの二つです。
「行政法」では授業の教科書だった高橋滋先生の『行政法』と、神橋一彦先生の『行政救済法』ジュリストの『行政法判例百選』を用いました。これらは、「行政法Ⅰ・Ⅱ」で教科書として使ったものです。読んだ分量としては、こちらも3回くらいです。行政法は出題傾向が分かり易いので、出題されそうなところを重点的に。
また、問題の出され方には一定の傾向があります。これがわかるようになるには十分に勉強することが必要なのですが、それがわかるようになるまで勉強すれば、その傾向に従って学べば大丈夫でしょう。また、時事問題もよく提出される傾向にあるので、試験科目と関連があると思われるニュースには目を光らせておいてください。かといって、私は新聞を毎日読むようなことはできませんでした。SNSで見ていたくらいです。

また、これらの領域はICU入試では内容としては社会科学(人文・社会科学)の科目で出題されている領域に属するものが多く、ICU入試受験の段階でICU過去問の演習をしている人は、大学の入門レベルの知識は身についているかもしれません。

(次回に続きます)

大学院

(引き続きICU出身の大学院生の方々にインタビューをさせていただきます。最近は国際教養系の他大学の学部も増えて、学部でリベラルアーツ教育を受けるメリットも認知されてきたという印象があります。特に文系では「専門性が云々…」という声は最近ほとんど聴かなくなりました。理系の場合でもICUのように広く学ぶという大学はオススメでしょうか?)

北:学部の時は幅広く学んで、院に入ってから専門をしっかりやった方がよいということをおっしゃる先生方は多いですね。理系のエンジニアなどは院に進学するのが当たり前ですし、院のレベルにまで行くと英語もできて当然という雰囲気もあるので、どの分野にせよ、学部の時にICUで学んでおくというのは大いにメリットがあると思います。高校生の段階ではこの先生でこの勉強をしたいとか、もちろんあってもいいと思いますが、理系のごく特定の分野に関して、あまりにピンポイントで「この研究をやるんだ」と意気込んで大学に入っても、そういった期待通りの研究が学部からできるとは限らず、むしろ学部の段階では幅を持たせることも大事だと思います。

I:学部は所詮学部というところはありますね。数学など、きっちりステップを踏むような学問では、学部の段階で学ぶような内容はどの分野の数学の先生でもまずカバーできる。むしろ数学以外のその他の学問の先生から学ぶところも大きかったように思います。

(入学してから専攻分野を決められるというICUの制度も、院進学には有利に働いている部分はありますか?)

北:それはあると思います。僕の場合今は数学専攻で数学漬けの毎日ですが、実はICUの入試では数学を使いませんでした(笑)。当時から数学には関心があったのですが、高校生の段階では別の科目を得意としていましたし、得意=好きな科目、ぐらいにしか考えていませんでした。そういう意味ではICUに入ってなければ今のような希望する大学院への進学はできなかったと思います。

高校生の時は物理と化学の受験勉強をしていました。現代文とか好きで、哲学もやりたいと思っていました。実際ICUに入ってみると入ってみたら哲学文学系統にいい先生がいらっしゃって、大いに学ぶところがありました。

I:そういう意味でICUは理転というか、文系の入試を受けて、理科系の専攻をすることも可能ですね。大学入試的にも文化系から来やすい。ICUは少人数制で、理系の場合特に先生の受け持ちが少ないので、途中で専攻が決まった場合でも、先生は見捨てないし、そういう意味ではサポートが手厚いですね。

(理系の専攻の人とって、文系の人がいるというのはメリット?)

東:ICUのシステム上、文系理系を問わずいろんな人と絡むことになります。バックグラウンドがいろんなところからディスカッションが出きますし。そもそも高校生段階では何をしたいかとか分からないですからね。いろいろな専攻に興味関心を持った人との対話を通して、専攻が見えてきたという人も多かったと思います。

(なるほど。やはり院に進むとなると英語というのは大事でしょうか?)

北:理系だと英語の教材を使わせることが多いです。英語で論文書く機会も多いですね。ほぼ一般向けに書くのでも英語のケースもあります。Officialなものは英語という雰囲気です。研究者では英語は必須条件のようにも思えます。

I:就活をした学部生の話では、就活してて理系で英語ができるというのは非常に有利みたいです。やはり英語は文系にできる人が多いので。

東:自分の場合も今いる研究室でICU出身で英語ができるという部分を期待されています。

ICUは絶対数が少ない割には海外の院も多いですし、海外進学の可能性が広がるのも大きいです。英語をみっちりやっていたおかげで海外でも活躍できたというICUのOB,OGの研究者も多いですしね。

(なるほど。お話を伺っていると理系のICUというのは意外に大いにありのように思えてきました。)

北:確かに国立の院に進学した実感として、ICUよりは、研究機関としての環境は整っています。例えば、北大だと数学専用の図書室があるくらいですし。ただ、例え環境があってもアクセスできなければ意味が無いわけで、学部の時点の専攻などの食い違いで将来が限定されるというのはもったいないような気もします。

ICUの学部→国立院というのは、それぞれ学部と院のいいとこ取りという感じで、相性が良いよいようにも思いますね。

東:自分の専攻している情報の分野も、研究内容によっては大規模な設備が必要なものがあり、そのような意味で国立の院というのは充実しています。そのような意味で、ICUの学部では諸分野を幅広くしっかり学んで、英語を習得し、高度な設備にアクセス可能になる大学院の段階で、設備の整った院に行くというのは自分にとってはよい選択肢でした。

(ICUの院の方はいかがですか?)

I:ICUの大学院は、理系の場合特に超少人数制なので、第一線との研究者の指導を密に受けられ、ある意味で贅沢ですね。お目当ての先生がいればこんなにいい環境はないです。確かに研究分野によっては他大学の設備等で外研をする必要が出てきたりしますが、そもそも、最近の学問は国内だけで済むような研究ばかりではないですからね。ICUの院だと海外に研究に出る人も多い。そういう意味では大いに強みがあると思います。

(ありがとうございました。)

大学院

ICU(国際基督教大学)からの大学院進学を考える

(写真)各大学院の学生証(上から北海道大学、東京大学、ICU)

今回はICUを卒業して大学院に進学された3人の大学院生にお集まりいただき、
お話を伺いました。お三方とも数学(情報)専攻です。オンラインレクチャーの理系解説の作成にもご協力いただいています。

1.SさんICU大学院(以下I)
2.Fさん東大大学院(以下東)
3.Kさん北大大学院(以下北)

参考2011年度 ICU進学先上位大学院(ICUWebサイトより)

大学名
人数 大学名 人数
東京大学大学院 28 一橋大学大学院 13
国際基督教大学大学院 9 京都大学大学院 5
名古屋大学大学院 5 早稲田大学大学院 4
慶応義塾大学大学院 3 北海道大学大学院 3
上智大学大学院 2 筑波大学大学院 2
東京学芸大学大学院 2 オックスフォード大学 2
ブリストル大学 2

(ICUは就職の実績もよいですが、大学院の進学実績も非常によいですね。2011年のデータでは、東大28、一橋13人など、ICUの学生数を考えると非常に多くの学生が国内の著名な研究機関に進学している様子が伺えます。このようにICUから大学院の進学実績がよい理由はどのあたりにありそうでしょうか? 特に東大はかなりの人数が行っていて、人数上は最も多い進路になってしますね。)

東:東大に関してはそもそも院の人数がとても多いです。東大の大学院は博士課程を含め4000人以上いて、学部より入学者数はずっと多いです。試験という意味では倍率も低いですね。

(ご自身の進学された情報関連の研究室だとどれくらいですか?)

自分の所は外部(東大出身者以外)の学生で2-3倍、内部進学だとあまり落ちないくらいの感じだと思います。

(なるほど、次に東大の院試の様子を教えていただけますか?)

東:自分の受けた研究室の場合、院試は大きく3つあって、

数学、専門科目(コンピュータ科目)、TOEFL

でした。TOEFL以外は会場試験ですね。時期は8月後半です。

(過去問は大学に行ってもらう形ですか?)

今は東大のページで公開されているので、ネットで見れますよ。

(何年分ぐらいやりましたか?)

5年前に形式が変わったので、5年分やりました。

(どれくらいから受験を意識して勉強しましたか?)

3月ぐらいから意識してやりました。

東大の内部生だと直前にやる人もいたとか。
自分の場合3月から8月はほぼ受験対策をして過ごしたという感じでしょうか。

(推薦状とかは?)

いらないです。

(東大院の場合何が合否に大事?)

基本的にテストの点で決まります。
ただ希望の研究室に入るにはそれなりによい点数を取っておく必要があります。
同じ専攻で合格しても、試験の点数が高い順に希望の研究室に入れる形ですので。

(ICU生だから有利というのはあると思いますか?)

分野によると思いますね。TOEFLの点数は間違いなく有利です。
専門科目に関してICUの数学は非常に充実しているので、その点でもある意味有利と言えるかも知れません。

(基本的な部分の質問で恐縮ですが、院試の場合、出身大学別に有利不利とかはあるのですか? 大学別に採用不採用とかはあり得る?)

北:あまり露骨に大学別で門前払いされるということは院試ではないと思います。例えば自分に進学した北大の自分の研究室で言うと早稲田とか立教とか関東の私大もいますし、地元北海道の私大の方もいますし。

(なるほど。次にICUの大学院の院試の様子を教えていただけますか?)

I:はい、必要な書類は以下のようなものです。

・研究計画書
・推薦状
・英語の成績 TOEFL/TOEIC IELTS
・卒業論文のコピー 英語要約

もちろん面接もあります。これは生徒一人に先生が3人くらいの形で行われます。

(やはりICUの院だとかなりのTOEFLを要求されそうですね?)

専攻によると思います。日本人が多くないコースの場合、
英語のスコアが高くないとというコースもあるが、多くのコースの場合本人のやる気次第というところもあると思います。

(なるほど、ICUの大学院の売りと言いますか、魅力はどの辺りにありそうでしょうか?)
そうですね、とにかく学部にも増して少人数なので、先生を独占できるというところでしょうか。先生一人に学生が一人二人、という状態です。

大人数の大学院ではこうはいかないと言いますか、指導を受ける環境としては非常にいいですね。

またICUには文系のイメージを持つ高校生が多いと思いますが、理系の先生も充実していいて、知る人ぞ知るという所もあると思います。有名なところでは日本物理学会前理事長の北原先生も在籍されておられましたし、全体に指導教官のレベルは高いと思います。

(北大はいかがですか?)

北:北大は書類と面接です。推薦状は必要ありませんでした。

(ICUから北大院は珍しいような気もしますが、ICU関係者はいらっしゃったりするのですか?)

去年は3人行っていますし、全くいないわけではないですよ。むしろ驚いたのですが、自分と近い研究室の教授陣に2人もICU出身の方がいらっしゃいました。アカデミックの方面で活躍しているICU生も多くて、北大に限らず、ICU卒で教授になる方は結構いるみたいですね。

(次回に続きます)