ICU入試国際基督教大学入試合格体験記2023(09) ちみさん

2月 23, 2023

1.お名前、プロフィール

<お名前>

ちみ

<プロフィール>

愛知県の田舎者です。
趣味はお菓子づくりと音楽鑑賞です。
先日焼いたりんごパイは美味しくできました。
好きな動物はゾウとナマケモノです。

2.受験形態

総合型選抜

5.ICUに入るまでのいきさつ(どうやってICUを知ったか? なぜICUを選んだか ? など)

英語の教科担当の先生がICUの卒業生でした。
授業の合間合間に大学時代に研究されていたことを小話でしてくださり、
その方自身もユーモアと人情に溢れた素敵な方だったので、
大学への興味深さとその方への憧れから志願することを決めました。

6.ICUに期待するところ

多様性溢れる学び場だと思うので、講義ごとに出会う異なる意見や、
普段の生活でも個人一人ひとりがもつ特色を感じるのがとても楽しみです。
また、日本独特の空気を読む文化について重点的に掘り下げて学びたいなと思っています。

7.受験対策

願書-1<1.ICUに入学することを強く希望する理由を述べて下さい。>

私が貴学を志望した理由は、多岐に渡る学問について対話を中心として学びを深める理念に大いに魅力を感じたからである。私の望みは、日本の全ての子供達がありのままに成長できる教育環境を実現させることだ。成長過程にある子供にとって、教育の場は主に家庭と学校となるが、私はここに地域社会を加えたい。家庭、学校、地域社会が一体となった教育環境を確立させるためには、家庭や学校で補い切れない要素を明確にし、地域社会が担うべき役割を発揮できる仕組みが必要だ…..(以下略)

願書-2<2.ICUで何を学びたいかを簡単に述べ、また将来の志望とその理由を述べてください。>

私の人生観には、自身のバックグラウンドが強く影響している。日本人の母親とニュージーランド人の父親を持ち、祖父母との二世帯住宅で生活する中で、個々が持つ違いの多さ故にぶつかる大人達の姿を私は幼少期から見てきた。私を取り巻く小さな世界では、個々の経験や価値観、文化的な差異が存在感を強烈に放っていた。家族が絶えず喧嘩する姿を見ながら、私は萎縮し、姉と一緒に怖がることも多かった。しかしその家庭環境から、自分の感情を爆発させる周囲の人たちを客観的に観察し、他者を受容する大切さや対話の必要性を認識した…..(以下略)

願書-3<3.あなたを学生として受け入れることがICUにとって重要であると思われる理由を述べて下さい。>

私は、貴学の対話の精神や、個人を尊重するキリスト教の理念に則り、学内で身につけた教養を社会で実践したいという思いが強くある。私は日本の子供達の自己受容の程度が低いと感じている。青年期に形成される自己受容の基盤の不安定さは将来的に他者への無関心や過度な敵対心にも繋がるのではないだろうか。また、これは国際社会の中で求められる異文化理解能力に相反するものになりかねない。私は将来的に家庭、学校、地域社会を連携させ、日本の全ての子どもの個性が守られながら成長できる環境を創りたい。個性を尊重する多角的な支援の場があれば、子ども達は互いの価値観に触れることができ、自己への理解も深まるはずだ。その結果、互いを認め合う関係のもと活発なコミュニケーションがとれるようになると考える。私は学生のうちから地域の学童などに足を運ぶ事で子ども達と直に触れ合う機会を設け、第三者の立場から子ども達の人間性を育てる働きかけをしたい…..(以下略)

b.小論文

(3)のテーマ(あなたの物の見方・考え方に大きな影響を与えた経験)を選びました。

私の特長は、父と母の両方の国を大切にしたいという気持ちから育まれた、逆境に屈することなく困難を乗り越える精神力だ。
 私の母は日本人で、父はニュージーランド人だ。日本で生まれた私は、英語を話す機会が少ない中で育ったため、父やニュージーランドに住む祖父母とは十分に会話できなかった。ビデオ通話を祖父母と繋いだ時も、私が自ら話した記憶はあまりない。少しでも英語で会話したいと思って努力する一方で、日本語で伸びていく思考力と英語の運用能力の差は歳を重ねるごとに広がっていった。
(中略)
私の「半分」を構成する父の喪失は、私に自分自身の存在について再び考えることを強いた。私は両親の間に生まれた娘であるだけでなく、言語や文化、価値観の異なる二人の人間の間に生まれてきた。日々異なる二つの文化を感じながら生きていたが、私は父の祖国のことをあまりにも知らないと気が付いた。目を背けてきた「私は二つの国のバックグラウンドを持つ者として不完全なのではないか」という自分の気持ちと向き合わざるを得なくなったのだ。この時に、父の祖国について学びたい、もっと大切にしたいと改めて強く思い、私は一年間のニュージーランド留学を決意した。
(中略)
ありのままを尊重する現地の人々の存在は、「あるべき姿」に囚われていた私に大切なことを気付かせてくれた。それは、私は私として、両親から与えられたものを生涯大切にしていけばいいということだ。
二つのバックグラウンドを持って生まれたが故の葛藤は幾度となくあり、それを乗り越えてきた私だからこそ、感じられるものや見つけられるものがきっとあると感じている。私は両親の国をどちらも大切にする気持ちを原動力とし、自分と向き合い続けた経験を通して、逆境に屈することなく困難を乗り越える強靭な精神力を培った。

c. 学校内外における自己活動歴と自己分析

 私は自身の問題意識を基盤としたイベントを自ら企画し、議論が活発化する環境づくりを行ったことで、自身の自主性、指導力、創造性を遺憾なく発揮した。私は「空気を読むことは悪いことか」についてオンラインイベントを開催した。1ヶ月半の準備期間を経て、8月6日に中学生から社会人までの総勢約30名が参加した。イベントを企画するにあたり、目的や対象の設定、広告作成やディスカッションのテーマ決め、プレゼンテーション制作などに自ら挑戦し、ゼロからイベントを創り上げた。
(中略)
経験を通して深化させた自主性、指導力および創造性を大学での学びや将来の子ども教育の発展にも役立てていきたい。

d. 推薦状2通

担任の先生と、オンラインイベントを開催した際にお世話になったNPO団体の代表の方にそれぞれ書いて頂きました。

e. 成績書類

英検準一級のスコア(2506)を提出しました。

評定平均 = 4.3

f.一次試験(書類審査)のポイント

とにかく自己分析をしました。
私はよく考えるほうですが、自分が持つ様々な考えの中でも何を伝えるべきなのかを慎重に選びました。
特に小論文では、第一案として座右の銘について書くことがありました。
しかし、書き進めていくにつれ、「これより伝えたいことがあるはず」という思いが育ち、
一から文章を書き直した記憶があります。結果的にそれで正解だったと思います。

g.面接 (二次試験)

私を担当してくださった面接官はM先生とC先生のお二人でした。
どちらの教授も質問をして下さいました。
一方が聞いている時には、もう一方は記録をしていました。
内容としては、志望動機、ICUでやりたいことなどは聞かれましたが、思ってたのと違う…!と思った部分もあります。

まず、C先生厳しかった…
曖昧な、抽象的な表現をしていた箇所で
「対話を中心とした学び」って何ですか?
と聞かれたり、
「あなたの『意見』っていうのはどんなもの?」
と聞かれたり…
考えや意見交換もいいけど、やっぱり知識が無いと続きませんよねぇ…
というコメントまで頂きました。
厳しく突っつかれました。
でも、2世帯住宅に住んでいたことはC先生と共通点でお揃いでした。
少し親近感。

面接は大きく3つのセクションに別れていました。
どのように別れていたのかは記憶がないです。
思い出せる限り聞かれたり質問を書いてみます。

●他大学とどのようにICUは違うのか、その上での志望動機
●ICUでどんな学問をどのように学び、それは私の将来とどのように繋がっているのか
●ICUでは何を成し遂げたいと思っているか
●(質問の内容は忘れてしまいましたが、家族の衝突が世代、文化的背景、個々の価値観による違いによって起こっていて、それを1歩引いて見ていたという私の発言を受けて)ぶつかり合いが生じた時には私も参加をしたのか、どのような立ち振る舞いをしたのか

3つ目のセクションの内容がICUの色が全面に出ていて、教授がする主張に対して反対か賛成かを明らかにした上で、理由も述べてください。というものでした。
1つ目は『利益や名声を求めることは、社会貢献とは相反するものだ』
2つ目は『多角的に物事を考えることで考えが浅くなる』でした。
この主張はC先生がなさって、先生が多角的が『たがくてき』と発音されていたのと、音質も少し悪かったため『かがくてき』と聞こえました。不安だったのできちんと聞き返して良かったです。

あと、気になる時事ニュースはあるかと聞かれました。きちんと調べておいて本当によかったです。
教育系の話題に関心があったので、義務教育の方向性の見直しを本格的に進めているという中央教育審議会の討議について話しました。

二次試験ポイント

ICUで成し遂げたいこと、気になる時事ニュースについて聞かれたり際に感じたのですが、質問の仕方で回答の内容にかなりふるいにかけていました。
と言うのも、3年生の時には10ヶ月の留学だってできるし、リベラルアーツで色んなこと学べるし、あれもこれもできるけど、あなたは何がしたい?という聞き口でしたし、時事ニュースについては、多くの人がロシアやウクライナに関する回答をするのですが…と、予想されるありがちな回答を排除して聞いてくださいました。さすがだなと思いました。

8.最後に一言

この大学を志望する人はきっと面白い人に違いありません。
自分の考えをしっかり持っていて、それを他者と共有するのに長けている人が多いのではないでしょうか。
私はオープンキャンパスに足を運んだ際にそれを志願者、現役生からひしひしと感じました。
ICUを志望するすべての人が、その人にとって一番いい方向に導かれますように。

<追加の質問>

1.面接が3パートに分かれていたというのは、面接時に面接官から「3つのパートがある」という風に言われたのでしょうか?

記憶によると、面接官が「この面接は3つのパートに分かれています」と、実際の面接時間外に説明をして下さいました。面接の流れを説明し終えてから始めるという感じでした。

2.面接は20分程度で行うものにしては大変に濃い内容であると思われるのですが、各質問、あるいは面接時間全体に時間制限のようなものはあったのでしょうか?

各質問には制限時間は特に設けられていなかったように思えます。そこまで焦って記憶もありません。もしかすると、セクション3で自分の意見を表明する際に「一分程度で」という言葉があったかもしれません。もう少し話せたらよかったのになぁという記憶があるので、時間いっぱいまで話せなかったのだと思います。