ICU入試国際基督教大学入試合格体験記2008(34)-Ping-BISONさんの場合-

1. お名前、プロフィール

<お名前>

Ping-BISON

<プロフィール>

高校入るも二ヶ月で登校拒否
いわゆる勉強は全くせずに、ひたすら現実逃避と自省
一応、高校卒業程度認定試験は受け、合格しておく
2007年入る頃(高3の冬に値する時期)に、ICU発見。
腑抜けたテスト形式に眼福
二ヶ月半程の勉強でICU一本受験するも不合格
その後、宅浪
予備校は夏期講習を少々

2. 受験形態

一般入試(センター無し)

3.予想得点

一般能力得点 = 80%
人文科学得点 = 75%
社会科学得点 = 85%
英語リスニング得点 = 70%
英語リーディング得点 = 85%

(センター)
英語=188
国語(現代文)=93
倫理=73
世界史B=74

4.併願校

慶應大学総合政策学部       合格
慶應大学法学部政治学科      不合格
中央大学総合政策学部政策科学科  合格

5. ICUに入るまでのいきさつ(どうやってICUを知ったか? なぜICUを選んだか ? など)

あれは2006年12月24日のことだった。その日は、私がこの世に誕生してから丁度18年目にあたる。私はいつものように、前述の状況から抜け出さんと足掻いていた。その一環として、大学に進学することを考え、現が抜けた大学を探していた時のことだ。
初めに見たのは、おそらく一般能力の設問である。気に入った。恋に落ちた。そしてその日私は、彼女を知った。そう回想しよう。
おそらく彼女は知っていたのだろう。惹きつけられて離された日には私が燃えることを。
今ではもう、夢からは抜け出している。それでも、彼女との出逢いが能産的自然からの私に対する贈物だと思いたいのである。どうして、そうでないことがありえようか。

6.ICUに期待するところ

ICUに何かを期待すると言うよりも、まず自分がそこで生き抜いていく自信が全く無い。
とはいえ、そこを打破した暁のことも考えねばならぬであろう。
第一に、私が英語を習得するに向けての舵取りになって頂きたいと思う。第二に、どのmajorを修めるにせよ、教員比の高さを利用して、能動的に絡んでいこうと思う。

7.受験対策

a.願書

*願書全般について
メタ的な信念を積極的に描こうともしたが、少なくともその時点での私にその力は無いという結論に至った。よって、当たり障りの無いことを忌避せずに、むしろ生きるために肯定せんとした。ただし、connotationとして私の存在を浮き立たせることを意図し、あるいは、そう感じていただければ本願とするところである。
以下転載。

<1.ICUを志望した動機または理由を述べてください。>

私がこれから生きる時代は、史上最も社会変動が急速な時代になるだろう。資源枯渇、気候変動、web世界の発達などの変数が多く、予測の難しい世界である。故に、一つの専門分野の知識だけというよりは、事実を正確に把握し、未知のものに対処し、新しい発想を生み出していくという根本的な力を私は身につけたい。この力の醸成に、liberal arts による幅広い学問知識やcritical thinkingは大いに力になると考え、貴校を志望した。

<2.ICUで何を学びたいか、また将来の志望を述べてください。>

私はITを利用して、民間の人々の善意を組織化して社会に還元し、より効率良く社会が機能するようにしたい。そのためにはまず、現在の社会の動きを理解する必要があるので、情報科学だけでなく、経済学や法学なども学びたい。その学びの過程で得た知識をその都度活用し、何を学べばよいのか、どうすればその目標を達成できるのか、を漸次考えていくつもりである。

<3.学内外を問わず、技能、諸活動など自分の最も得意とすること、好んで行なって いることを述べてください。>

私はランニングを好んで行っている。散歩といってもよい。体を鍛えることだけを目的にしているわけではないからだ。弾む鼓動や地面を蹴る感覚と同時に、通り過ぎる木枯らし、陽光の温もり、雨上がりの静けさ、木々の呼吸といった移ろい行く外部世界を味わうのだ。

b. 一般能力考査

考査の中で私が一番気に入っているものである。
出題傾向として、物量が多いことが挙げられる。そのため、自分の力を弁えずに力ずくで行くことはお勧めしない。少し考えればわかる問題でもチェックを入れて、二周目であたることが肝要である。理解するには造作も無いことだろうが、実践慣れが必要かと。
技術的なことを述べたが、内容について言えば、自分のできる範囲は落とさないことが必要。私は一般能力対策としてではなく勉強したことで対応し、例えば、百人一首だとか枕詞、日本史などは実質捨てた。数学分野に悩まされる方は少なくないと思うが、わかる者には基本中の基本と思われるものなので、できるように努力する価値はある。無理であるなら、捨てても差し支えは無いと思う。というか、…うん

c. 人文科学考査

オンレクでの統計から言うと、私の中では最も安定感の無い考査である。
内容はハムレットだかオムレツだかの出現傾向が高い。いや、それが定かかどうかすら思い出せないが、シェイクスピアとか古代ギリシアの話が多かったような。まぁ、内容は措いておくにしても、基本的な読解力が必要あるいは必要十分である。自分にその力があることは疑うが、英語の参考書で論理展開などは学習したつもりでいる。

d. 社会科学考査

社会科学の話である。
人文と比較した場合、内容が似通ったものが多いため、過去問を解くことがadvantageにつながり易い。08年度のものはbanalすぎて、「あぁ、はいはい、わかりました」という感じであった。
また、同じく比較で言うと、いわゆる知識問題が多い傾向にある。特に、08年度のものは知識問題であることを公言して憚らなかった。知識を手に入れることを目的にすることは、studentを目指すものとしては、手段の自己目的化に他ならない。だが、知識と学問的な運用能力は相関関係があるから(とするなら)、問題の方向性としては強ち間違っていない。

e. 英語学習能力考査

<リスニング>

対策としては、まず発音の練習をした。
その後、listeningしたものを音読するというセットを毎日一時間程、学習に組み込んだ。並行して、純粋なreadingのmaterialも解き終わった後に音読した。私は先に触れたような境遇であったため、あまつさえ、英語を発話している時間が日本語のそれよりも遥かに多いことに、憐憫たる孤独を感じる時間も日々の学習の中に組み込まれた。
入試の一ヶ月くらい前からは、VOA Newsをlisteningして音読という作業を計一時間ほど毎日行うようにした。強いて言えば、他の考査の対策にもなりうる。

<リーディング>

一回目の受験は、実を言えば、何がなんだかわけわからんかった。その後の復興事業について語ろう。
初めに、英単語あるいは熟語が必要であろう。私は一般的なものをやった後、internetからdownloadできるsoftwareや、最終的には受験のためにではなく、native用の単語集に手を出した。単語集と言うよりは、語源について長々と書かれている。その書によれば、語彙を増やすことは使いこなせる概念を増やすことにつながり、思考力を鍛えられるそうである。まだ読み途中ではあるが、「あなたは賢くなる」という雰囲気がいささか洗脳的であることが功を奏したのか、達成感を味わうことができ、気に入っている。
因みに既出のbanalはそこで覚えたもので、あなたを出し抜くために使ったと白状しよう。(だから、「私は知っている」などと言ってはいけない)
もう少し脱線するが、「それなら、日本語も鍛えてやるか」と思い、今は国語辞典を「読む」ことに挑戦している。
話は戻る。次に文法は、私の場合高校生レベルの一からやったが、普通に授業を受けていれば特に言うことは無いのかもしれない。初回受験は分詞構文など知らずに受けたが、そういうのは無謀だとも言える。PART IIとの連関で言うと、文法知識で切り込める問題も多い。
言うまでもないが、語彙も文法もある程度習得したら、実戦で重ね塗りすることをイメージするといいかもしれない。
readingには、時間にすると毎日二時間ほど費やした。結果として、毎日3時間ほど英語に触れることになったが、反省点としては、outputの側面に光が当てられなかったことである。その部分を大学での英語に先延ばししたとも言える。

f.その他受験に関するアドバイス(役立つ参考書、試験中に気をつけること、全般的な勉強法など)

何某かの利害関係に巻き込まれまいと、今まであえて参考書の名には触れないようにしていたのだが、別に問題なさそうなので、改めて名指ししよう。

人文科学対策で触れた英語の参考書→『横山の実況中継series』
筆者の主張を簡潔に導き出す手法とその下支えになる文章の論理構造を明確に論じている。また、背景知識(warrant)の必要性も説き、その内容は豊富である。他の参考書などと比べると、筆者自身のperspectiveの色が強いが、それだけ踏み込んだ興味深い内容であった。
logicについても、warrantについても「英語」と言う教科には収まりきらない。それだけ応用のしがいがある。彼が出している新書にも手を出してしまった。

native用のetymological単語集→『Word Power Made Easy』
余裕がある人やなめた人用に

勉強法ねぇ。
そもそも勉強とは何ぞや。何故あなたは勉強するのだ。
お、何々、偶然しおりにこんなことが書いてある。
「『学ぶ心』 学ぶ心さえあれば、万物全てがこれ我が師である。語らぬ石、流れる雲、つまりはこの広い宇宙、この人間の長い歴史、どんなに小さいことにでも、どんなに古いことにでも、宇宙の摂理、自然の理法がひそかに脈づいているのである。そしてまた、人間の尊い知恵と体験がにじんでいるのである。これらの全てに学びたい。」
だそうです。松下幸之助という、私にはどこの馬のPanasonicかもわからない方はこう仰る。
もしある事象が自分にとって勉強にならないことがありえないとしたら、いわゆる受験勉強という枠は虚構に過ぎないだろう。私はそう思っていた。そこに彼は、「学ぶ心」なるものを持ち出した。その差異か…いや、しかし…。
結局俺にはよくわからん、わかる日が来るまでは。

8. 最後に一言

オンレクは慣れを作ると言う意味で有効性が高い。実際私は、試験を受けている時も、問題に対して非常に親近感がもてたため、古くからの友人のように付き合えた。先に述べた社会科学に加えて、一般能力はある程度pattern化されているので、過去問は有効である。時間感覚を身に付けるのにも使える。

人間的であること

誰もいない部屋で踊ることはできるだろう
さりとて
観察されない私にそれ自体として意味があるのか
それを教えて欲しい
希くは薄明かりの東雲の匂いのように
私の内部世界からその答え叫んで欲しい
うるさくギャーぎゃー喚いて申し訳ない
あなたは私のことを狼と言うが、私とてまた寂しいこともあるのだ
あなかしこ

箱の中の猫より