ICU入試国際基督教大学入試合格体験記2012 〜KUROMANさんの場合〜

1. お名前、プロフィール

<お名前>

KUROMAN

<プロフィール>

出身高校:都内中高一貫校
出身大学:横浜市立◯学
予備校:オンレクのみ
趣味:FPS
部活:ラグビーフットボール
特技:低燃費少女ハイジのおじいさんの声マネ

2. 受験形態

一般入試(センター無し)

3.予想得点

リベラル得点 = 5割〜6割
人文科学得点 = 8〜9割
社会科学OR自然科学得点 = 7〜8割
英語リスニング得点 = 6割5分〜(完全に失敗した)
英語リーディング得点 = 8割〜

4.併願校

併願校:なし

5. ICUに入るまでのいきさつ(どうやってICUを知ったか? なぜICUを選んだか ? など)

現役時代からICUに興味があって過去問を見るものの、一瞬で不可能だと理解して他大学に進学。しかし、ICU生の友人からICUのディベート部の活躍を聞いて自分もディベートをやりたくなり、進学を決意。大学2年の後期から休学して受験勉強を開始しました。特に一度大学に進学したものの、「何か違うのでは・・・」といった思いがくすぶっていたので覚悟を決めて再受験へと進みました。

余談
大学でミクロ経済学を教えていらっしゃった先生がICU出身の方でした。あと開発経済学を担当していらっしゃった外部講師の方もICU出身でした。お二方とも優秀な女性の方でした。

6.ICUに期待するところ

やはり、実質的に日本で唯一のリベラルアーツ教育を行っている点に大きな関心を抱いています。自分自身はマクロ経済学に関心があると同時に、哲学や政治学など人間社会の発展に多大な貢献をした学問領域にも関心があるので、ICUでの学習で自身の研究対象を学部横断的に考える機会を得たいと考えています。特に岩井克人先生の著作が好きなので、彼の経済学の講義をとりたいです。

7.受験対策

a.願書

<1.ICUを志望した動機または理由を述べてください。>

ICUは実質的に日本で唯一のリベラルアーツの理念のものに教育を施す大学であり、学際的環境に大きな関心を寄せるので志望した。

といった内容を書いたと思います。

<2.ICUで何を学んでみたいですか。あなた自身の希望をその理由も含め述べてださい。>

あまり覚えていませんが、哲学を学びたいとか学部横断的な学習をしたいとか書いたと思います。

<3.学内外を問わず、技能、諸活動など自分の最も得意とすること、好んで行なって いることを述べてください。>

普段から問題のメカニズムを意識して考えているとか、運動が好きだとか書いたと思います。

b. リベラルアーツ学習適性

私が受験した年は、一番最後のページに歌川広重の浮世絵とゴッホの模写を見分ける問題があったのを強く覚えています。傾向としては近年のリベラルアーツらしく、純粋な知識を問う問題は少なく、計算問題や論理テストなどで論理的思考力や情報を処理する力を問うてるような気がしました。数学の問題は、根号を含む式の計算や三角比、円の問題などが出題されていました。基本的な計算の精度が低く、また速度も遅い人は不利だと思いました。

対策としましては、数1A分野の総復習を中心に行いました。毎年コンスタントに数学から出題されていますので、計算力を補うことができれば大きな得点源になると考えました。計算の仕方さえわかっていれば、基本的に正答にたどり着けるのですから。また、もはや常識でもある「いろは歌」や十二支の知識、三段論法や対偶などの頻出事項も一通り抑えました。過去問で誤答した部分は細かい知識問題でない限り、その問題で問われた論理や計算の手法などを繰り返し確認しましたが、正直言って気休め程度の効果しかなかったようにも感じます。

やはり実際の試験では予想もしなかった問題が出題されたり、時間がとにかく足りなかったりと思い通りにならず、勘で解答することが多くなってしまいました。普段から計算力を養うことと、時間感覚を身に付けて実際の試験で焦らないようにすると良いと思います。端的にいって満点を取る科目ではないと思うので、やはりより多くの問題に解答することが大事だと思います。

c. 人文科学

私が好きな分野からの出題で、仏式庭園から英式庭園への変遷、またハイドンの「天地創造」を通して近代社会への変遷、芸術を考えるという感じでした。個人的には本文中に登場したサブライムの概念や英式仏式各庭園の背景知識、また音楽に関する教養程度の知識もありましたので若干有利に解けたと思います。問いに関してはハイドンの作品を選ばせるものや、短調や長調に関する知識を問うものなどトリッキーなものはありましたが、基本的には本文から得られる情報で正当にたどり着けるものが多かったと思います。実際に短調か長調かを問う問題も本文中にヒントがちりばめられていた気がします。

対策ですが、私は9月から11月にかけてICUで頻出の人文科学、芸術、神学分野の新書を数冊読み、背景知識を補うことを中心に進めました。あとは過去問を解き、純粋に読解力を問われている部分で誤答した部分を中心に確認しました。最初はICUの読解の量に慣れなくて、明らかに本文中に書いてあることでも落としたりしていましたが、とにかく集中力を切らさないようにして本文中の情報を拾う力を養ったつもりです。私は本文を第一パラグラフまで読んでから問いに目を通して解けるものは解き、それ以後は各パラグラフを読み終える度に解ける問題は解きながら進めました。こうするとかなりの時間が余るので、残った時間で本文を十分に吟味しながら解けます。
しかし、基本は現代文でしっかり点を取れるようになることだと思います。個人的にはセンター現代文は良問だと考えておりますが、センター現代文でも高得点が取れない人は、ICUの読解で高得点を取れるようになるのは難しいと思います。背景知識も重要ですが、あくまでも読解ができてからの話であって、まずは基礎的な読解力を養う必要があります。
基礎的な読解力に自信がある場合は、もうあとは教養を身につけることでしょうか。私は高校では地理を選択していましたが、ICUを受けるにあたって世界史の知識が明らかに不足していたので山川の教科書を購入し、自学で補いました。西洋史の大まかな流れや近代国家成立の背景など、教養として身につけるべき分野をどん欲に吸収したつもりですし、それは実際に試験で大きく報われたと思います。

d. 社会科学

社会科学はケンペルというドイツ人に関するもので、彼の著作「日本誌」や彼の日本までの足跡を通して国際交流や学問を考えるといった内容でした。私は金融危機が大きな問題となっているのでマクロ経済から金融問題を扱った問題が出ること勝手に期待していたのですが、実際の試験では予想から大幅にズレた内容が出題されて勝手にビビりました。問題自体は日本史や世界史の若干の知識を問う問題が所々出題されていましたが、基本的にはICUらしい問題だったと思います。特に簡単なグラフの読み取りが出題されていて、素早くグラフを分析する力なども問われていたように感じました。問題に解答する手法は人文科学と同じ作戦で行きました。

対策は基本的には人文科学と同じ手法で、背景知識を補いながら読解の精度をあげることを目指しました。社会科学分野で地理の知識が問われたことは少ないと考えたので、世界史の確認と政治経済の確認をすると同時に倫理分野の復習も行いました。しかし、社会科学の試験も得点のベースになるのは確固たる読解力であり、本文中の情報を得点に結びつける力が問われていると思います。過去問演習などで読解の精度を上げる訓練と、問われている情報を本文中から素早く探してくる能力を養う必要があると感じます。

e. 英語(リスニングを含む)

<リスニング>

本番では予想以上に音が小さく、また全教室一斉放送で試験が行われるので、自分のペースを終始取り戻すことができず最大の失敗をしました。問題自体は予想よりも遥かに簡単だったのですが、全く集中できていない状態で解くこととなり生きた心地がしませんでした。短い講義を聞くものでは非常に小さな昆虫の話や、最近ホットなスティーブ・ジョブズ氏の話でしたが、あまり内容は覚えていません。集中できなくて焦ってしまい、気が動転してしまいました。また、開始前の注意を聞き逃し、試験中にメモを取っていいのかさえよくわかりませんでした*。一応メモは取ったのですが、音から判断する限り周囲でメモを取っている人はほとんどいなかったと思います。

(*:例年メモを取る時間はほとんどないので注意、というアナウンス)

対策はトフルのリスニングを数回やったのと、2007年からのリスニングを1回ずつやっただけでこれと言った対策は何もしていません。とにかく一発勝負なので、英語ができる人は余計なことを考えずに命をかけて集中するべきです。内容はそこまで難しくなく、読解として出題されたら誰でもわかるようなものです。私は一応普段からPodcastで「Luke’s English Podcast」というものを聞いていました。

<リーディング>

読解はさほど難しくありませんでした。一つ目の読解はパレスチナ問題で、二つ目は実際に手を動かして筆記することと脳の発達みたいな内容だったと思います。パレスチナ問題に関しては、その解決にはイスラエルとパレスチナ側双方が被害者なのだという意識を共有することが問題の解決になるとか定番の話でした。もう片方の内容はあんまり覚えていませんが、たしかexecuteと同じ意味のイディオムを選ばせる問題があったと思います。苦手だった最後の穴埋めは例年よりもトリッキーな選択肢が多いように感じ、あまり自信を持てませんでした。問われた語彙力や英語全般の能力は例年通りだったと思います。

リーディングもこれと言った対策はしていません。文法のテキストはEnglish EXを、単語帳はジーニアス2200と自作のものを使っていました。現役時代は旺文社の基礎英文法精講、DUO3.0を使っていたと思います。ICUの4科目の中で英語は比較的普通と言いますか、特にトリッキーではないので受験勉強で十分に対応できると思います。

f.その他受験に関するアドバイス(役立つ参考書、試験中に気をつけること、全般的な勉強法など)

国立型の勉強をした方が圧倒的に有利です。高校の授業でも無駄なものは少ないと思います、内職などしないで毎日を大切にするべきだと思います。
再受験される方はかなり広範な知識を復習することをお薦めいたします。知っているつもりでは足りないと思いますので、必要と感じたならばどんどんと参考書を買って学習を進めるべきです。

「なぜ?」を考えながら勉強するという、勉強の基本に立ち返ることも大事なのかなと思いました。

8. 最後に一言

膨大な量の過去問のデータは某赤い本では手に入らないのでオンレクを受講してよかったと思います。

半年でしたが濃密な時間を過ごしたと思います。特にキリスト教関連の知識や西洋史の確認ができたことなど、合格以上に自身の教養を深めることができて良かったと思います。

余談ですが、試験監督は有名な森本あんり先生でした。なぜか笑ってしまうあやしいギャグで受験者の緊張を和らげていて素敵な方だと思いました。

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