ICU学生新聞入試特別号 2019年度ICU一般入試受験者数及び傾向と対策

ICU学生新聞入試特別号 2019年度ICU一般入試受験者数及び傾向と対策

ICU学生新聞The Weekly GIANTS 2019年度入試特別号掲載記事(2019年2月1日発行号)

BUCHO.NETが執筆し、ICU学生新聞の入試特別号に掲載された、
2019年度の入試の志願者数の分析および入試対策法に関する記事です。

2019年度ICU一般入試志願者数及び傾向と対策

2019年度のICUの一般入試(A方式)志願者数は、1,254人(2019年1月26日時点)で、昨年度の志願者数1,451人から減少した。志願者数が減った背景には、私立大学定員厳格化により、受験生の安全志向が高まっている事と、一般入試以外の入試制度が積極的に活用されているという要因が考えられる。大手予備校の河合塾が2019年1月に公表した、進路担当の高校教員を対象としたアンケート調査では、大学受験生が難関校を受験する志向は弱まり、AO等を利用する志向が高まっているという調査結果が出ている。一例として、ICUと出願期間の近い慶應義塾大学も、2019年度は一般入試の志願者数が減少している(1月25日時点)。また、ICUでも、A方式以外の多くの方式では受験者数が増加している。更に、2019年度大学入試センター試験の受験者は576,830人で、前年度から5,841人減少し、特に地方の受験生の減少が顕著であった。このような状況下で、主要私立大学は一般入試の受験者数を増やすため、学部統一試験を導入するなど、一般入試の受験方式を増やすと同時に、複数日程での受験に対応している。例えば、2018年度に累計で約12万人の志願者を集めた明治大学の実志願者数は約6万1千人で、そのほとんどが、2方式以上の入試を学内で併願している(週刊朝日 2018年5月4日-11日号)。ICUは創立以来、単一学部制を取っており、現状では単一日程でしか一般入試を受験できない。他の私立大学を参考に、一般入試を複数の日程で受験可能な方式にするなど、柔軟な対応が迫られている。

<志願者数>

・ICU一般入試A方式の志願者数

・入試方式別の志願者数

<科目別の傾向と対策>

1. 英語 リーディングの出題文字数が増加

・英語リーディングの単語数(words)*

*単語数は問題文(本文)の単語数の合計で、設問や選択肢の単語数は含まない(以下他の教科も同じ)

・英語リーディングの問題数

英語リーディングは近年難度が高まっている科目である。出題される長文の文字数が非常に増えており、2018年度の英語リーディングでは合計で2,850 wordsを超える英文が出題された。昨年度から約250 words、一昨年度からは約1,250 wordsも文字数が増えている。2019年度のセンター試験の英語長文パート(第4,5,6問)の合計文字数が約1,750 wordsであることを考えると、ICUの英語リーディングでは、相当な速読力が求められる。

・英語リスニングの単語数(words)と放送時間

*放送時間には試験の指示や解答のための時間が含まれる

ICU入試では、英語リスニングも難度が高い科目である。2018年度の英語リスニングの単語数は全体で約2,680 wordsで、放送時間は約30分であった。英語リーディングに匹敵する分量の英文を聞き取る必要があるため、リスニングの演習は十分に行って試験に臨みたい。2019年度のセンター試験の英語リスニングの単語数は合計で約1,420 words、放送時間は約29分であったことを考えると、非常に長い英文を聞き、理解する能力が求めれている。また、センター試験の英語リスニングでは英文が2回読み上げられるのに対し、ICUの英語リスニングでは英文が1度しか読み上げられない。よって、聞き逃した英文は二度と聞くことができない。たとえ聞き逃した箇所があってもこだわらず、次の問題に進むことが重要である。

2. 総合教養(ATLAS 出題範囲の広い総合科目

・総合教養の各Partの論文の文字数と放送時間

総合教養(ATLAS)は4つのPartに分かれており、Part Iでは放送講義に直結した問題、Part IIからIVはそれぞれ講義に関連した人文科学、社会科学、自然科学の論文を読んで答える問題が出題される。試験前に配布される問題冊子はシールで閉じられており、講義の放送終了までは問題冊子の内容を見るはできないが、別途メモ用の冊子が配られるのでメモを取ることは可能である。講義は一度しか放送されないので、問題を解く際に講義の内容を思い出せるよう、メモを取る必要がある。試験時間は80分であるが、講義の放送時間は約15分なので、実質的な解答時間は約65分である。2018年度の出題では過去の問題と比較すると、若干論文の文字数が減少した。それでも人文・社会科学に匹敵するほどの文字数の論文が出題されているので、時間配分には十分に注意したい。また、総合教養は出題範囲が人文、社会、自然科学と広範囲に及ぶので、全ての問題に正解するのは困難である。文系であれば人文科学や社会科学、理系であれば自然科学のパートを重点的に解くなど、自分の専攻範囲に合わせて、取捨選択を意識することが重要である。

3A.人文・社会科学??問題数を確認

・人文・社会科学の論文の文字数と問題数

人文・社会科学の出題では、論文が約10,000文字、問題数40問の出題が定着していたが、昨年度の問題数は42問で、例年より多かった。人文・社会科学では年度によって問題数が異なる場合があるため、問題を解き始める前に全部で何問あるかを確認してから解きたい。文章量に関して、2019年度のセンター試験の国語第1問の論説文が約4,200文字、第2問の小説が約4,900文字であったので、文字数だけを見るとICUの人文・社会科学の文章量はさほど多くないように見える。しかし、センター試験の問題数は、論説文・小説を合わせて12問程度である一方で、ICUの人文・社会科学では内容理解を中心に40問以上出題されるので、問題数が非常に多い。仮に本文を25分で読んだとすると、残り時間は55分であるから、40問の出題の場合、1問あたり約1分20秒で解いていかなければならない。よって、各問題を素早く解いていく必要があると同時に、難問にこだわることなく、自分の解ける問題を見極めて解答を進めていくという意識が重要である。

3B.自然科学  筆記問題、計算問題に注意

自然科学では他の教科にはない筆記問題が導入されている。2018年度入試では物理で1問、化学で2問、生物で2問の筆記問題が出題された。また、数学は筆記問題がなかったものの、問題の大半が数値選択問題であった。よって数学は他教科と比較して解答に時間がかかることが予想される。また、全ての科目において、論文形式のリード文が問題の冒頭に登場する。理系の試験に出題される文章としては非常に長く、論文読解の要素もあるのがICUの自然科学の特徴である。なお、自然科学の4つの教科は一つの冊子に印刷され、試験時間中にこの内の2教科を選択する形式であるため、実際に各教科の問題を見てから解答する教科を決めることができる。よって、国立大学併願者などで、3つ以上の自然科学の科目を勉強している場合は、問題を見てから科目を選択するようにしたい。

<最後に>

 科目別対策で見てきたように、ICU入試は全般に出題される資料の分量が多く、出題範囲が非常に広いので、満点を狙う試験ではない。センター試験が高得点を目指す「ハイスコアゲーム」であるとすると、ICU入試は1問でも多くの正答を目指す「ロースコアゲーム」の要素が強い。全部の問題に正解することは困難であるから、取捨選択を意識して解答を進めたい。分からない問題や解答に時間のかかる問題は潔く飛ばし、確実に解ける問題に時間を使うべきである。科目別に見ると英語リーディングは出題される英文の量が増えており、難化傾向にある。英語の試験は最後に実施されるので、集中力を維持して試験に臨みたい。

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