今回は2025年度ICUトーチリレー High Endeavor奨学金の奨学生、たんぽぽさんにお話を伺いました。たんぽぽさんは都内高校(IB認定校)出身で、当サイトのオンラインレクチャーを受講し、一般選抜(人文・社会科学選択)でICU(国際基督教大学)に合格されました。
High Endeavor奨学金は入学金と学費の1/3が免除となる奨学金です。
ICU合格までの道のりと奨学金獲得

―― IB認定校出身で、DPも履修しておられますが、一般選抜で合格されています。ICU合格までの経緯を教えてください。
元々はIBDP利用で大学進学を考えていました。ICUが第一志望で、ICUの帰国生入試と総合型選抜(IBDP対象)も受験しましたが、いずれも不合格。最終的に一般選抜に切り替え、合格することができました。
―― ICUの奨学金の応募と採用の経緯を教えてください。
一般選抜に出願する際、奨学金の応募条件に自分が該当することに気付き、「もらえたらとても助かる」と思い、Peace Bell奨学金とHigh Endeavor奨学金の両方に応募しました。その結果、High Endeavor奨学金の内定をいただきました。
―― 奨学金の申請は大変でしたか?
Peace Bell奨学金の応募にはエッセイの提出が必要でしたが、総合型選抜で書いた内容を活用できたので、それほど大変ではありませんでした。High Endeavor奨学金はエッセイ等が不要で、Peace Bellと共通の書類で併願でき、応募時にチェックを入れるだけだったので、手続きはとても簡単でした。
―― ICUに合格し、High Endeavor奨学金採用が決まった時、ご家族の反応はいかがでしたか?
家族はとても喜んでくれました。また、浪人せずに進学できたことに安心していたようです。無事に受験が終わったことにホッとしている様子でした。
―― ICU入学後にHigh Endeavor奨学生として課されている条件はどのようなものですか?
GPA3.0以上を維持する必要があります。また、毎年更新手続きも必要です。
―― High Endeavor奨学金を得たことで、どのような可能性が広がりましたか?
特別に経済的に困っていたわけではありませんが、奨学金をいただけたことはとてもありがたかったです。実家は東京にあり、ICUにも通学可能な距離ですが、一人暮らしをさせてもらうために、生活費の一部は自分でバイトして賄おうと考えていました。
奨学金のおかげで、ICU入学直後からバイトを急いで始める必要がなくなり、ELAなどが一段落してから、ゆっくり始めようと思っています。実際にICU入学後は勉学に集中できていますし、気持ちにも余裕ができ、本当に感謝しています。
―― 2回の不合格を乗り越えてのICU一般選抜は相当大変だったのでは?その上で奨学生となった印象は?
確かに高3の間ずっとICU入試を受け続けたような形になるので、一般選抜で受かるまでは相当大変でした。
奨学金に関しての個人的な印象ですが、帰国生入試や総合型選抜よりも一般選抜で受験した方が、奨学金を獲得できる可能性は高いかもしれません。一般選抜は点数が明確に出るので、入試で高得点を取れれば奨学金獲得のチャンスは広がると思います。帰国生入試や総合型選抜で他の受験生と差を付けるのは難しいと感じました。
ICU受験について
―― 一般選抜の試験の手応えはいかがでしたか?
英語は手応えがあり、人文・社会科学も悪くない出来でした。総合教養(ATLAS)については、オンレクで過去問をすべて解いた経験と比べても、あまり得意でないパターンのトピックが出てしまった印象です。それでも、オンレクの過去問演習のおかげで、出来が良くないと感じた時でも落ち着いて対処できたと思います。
―― ICU対策はオンレクのみだったとのことですが、各科目はカバーできましたか?
ICUの一般選抜の受験科目はオンレクで十分カバーできたと感じています。オンレクは偏差値などで自分の立ち位置が確認できたのが良かったです。周りで一般受験の子が少なく、自分の位置を相対的に見ることが難しかったため、ここはすごく役に立ちました。
―― ICU入試に役立った参考書はありますか?
人文・社会科学、ATLASの読解対策に『現代文読解のテーマとキーワード: イラスト図解でよくわかる!』という本がすごく良かったです。これは現代文というよりは、論文に登場するキーワードを分野ごとに解説をした参考書で、とても役立ちました。
―― 2025年度ICU入試のATLASにはどのように対応しましたか?
今回のATLASのテーマは比較的苦手な分野の問題が出ていました。オンレクでの演習を経て、私の場合は特にATLASは年度によって得意不得意が出ることは分かっていたのですが、もしATLASの形式に慣れていなくて初見だったらもっと大変だったと思います。解けるところはしっかり解く意識で臨みました。
―― オンレクで過去問演習をやる際に工夫したことは?
人文・社会科学は25年分ほどの過去問を解き、各年の特徴や自分がどこで引っかかったかをGoogleドキュメントで表にまとめていました。
たくさん解いておくと本番で出題される問題も、過去問で一通りの分野をカバーできていたので、本番でも落ち着いて対応できました。過去問演習はとても効果的だと感じました。
英語(リスニング・リーディング)は20年分ほどのオンレクの過去問を2回ずつ解きました。特にリスニングのPart Ⅲの講義では専門用語が多く出るので、分からない単語はリストにして覚えるようにしていました。
―― 塾や予備校を使わずオンレクのみで受験勉強を進めた理由は?
人生で一度も塾に行ったことがなく、高校受験の時だけ家庭教師をつけてもらっていました。IBDPでも自分でコースを進める感じだったので、自分で計画を立てて進めていくのは割と得意でした。予備校はなんとなく怖い場所だと思っていたので、オンレクのようにオンラインで学習できる環境は自分のタイプに合っていたと思います。
―― 一般選抜の併願校はどこでしたか?
中央大学(国際情報、国際経営)、慶應義塾大学(総合政策、環境情報)を併願しました。中央大は現代文と英語で受験しました。
受験期の過ごし方、入学後の感想など
―― 受験期にSNS(インスタ等)を利用しなかった理由と、その効果について教えてください。
私の通っていた高校は、総合型選抜で早期に進路が決まる生徒が多い環境でした。そのため、一般選抜の受験勉強を続けている生徒は、周囲と進路決定のタイミングに大きな差が生まれやすい状況でした。
同じように、内部進学や推薦で進路が早く決まる生徒が多い高校でも、一般受験の生徒は同じような環境に置かれることが多いと思います。
私は一般選抜の受験を決意した日から合格発表日まで、インスタのアプリをスマートフォンから完全に削除していました。特定の人の投稿を見てどうこう思ったということは全くありませんが、合格が決まった人たちのインスタの写真や近況を見ても良いことはないと思ったからです。
ちなみに、ICUに合格した後、久しぶりにInstagramを再インストールしたところ、未返信のDMがたくさん届いていましたが、特にアプリが無くて困ったことはなかったですね。
―― ICU合格後~入学までに準備したことは?
入学式のスーツを買いに行きました(笑)。また、アパートも探していましたが、割とすぐに決まりました。
―― ICUでの学生生活で、特に良かったことは?
キャンパスがきれいで、いろんな人と話せる雰囲気があります!キャンパス内には自然と交流が深まる工夫があって、例えばT館では通路と勉強する場所が一体化していて、通りかかったいろいろな人に話しかけやすいです。オスマー図書館で課題をやりに行くと知り合いがいたりして、みんなで勉強したりする雰囲気が好きです。
→後編に続きます。後編ではIB校の様子やDPの履修内容、受験生へのアドバイスなどをお届けします。