ICU学生新聞記事『2017年度ICU一般入試対策』

2016年10月22日発行のICU(国際基督教大学)学生新聞 The Weekly GIANTS ICU祭特別号にBUCHO.NETが一般入試対策記事を執筆いたしましたので、ここでご紹介いたします。

The Weekly GIANTS 2016年ICU祭特別号 6,7面より

2017年度ICU一般入試対策

筆者はICU OBで、1999年よりICUの入試情報サイト(BUCHO.NET)を運営しており、ICU対策講座も実施している。その経験を踏まえて、2017年度一般入試の対策方法を述べていきたい。

<ICU入試のコンセプトと魅力>

 ICUの入試は一般的な大学入試とは異なり、入試科目が高校科目と直接にリンクしておらず、むしろ大学の学問に結びついた問題が出題される。一般的な大学入試が高校科目をどれくらい勉強してきたかを競わせるための試験であるのに対して、ICUの入試は大学で学ぶ上での学力や能力を備えているかを試すという点から試験問題を作成している。このように一般の大学入試とはコンセプトが違う事から、ICUの入試問題は独特で、高校生にとっては試験に向けての勉強がやりにくいように思われるかもしれない。しかし、ICUの入試問題は、大学の授業と結びついていることから、ICUの入試に向けて勉強することで、大学入学後の学びの準備となる。受験勉強というと、高校の各科目の暗記作業や反復練習など、入試が終わるとあまり役立たないような勉強をさせられるというイメージがあるかもしれない。しかし、ICUの入試問題ではそのような暗記要素は薄く、大学で学ぶ多様な学問分野の概論的要素が含まれている。よって、ICUの過去問を勉強していくと、将来的な大学での学びを概観するような形となり、大学入学後にも大いに役立つ勉強ができる。

<科目別の傾向と対策>

ICUの一般入試は、以下のようないわゆる「3教科型」であるが、この内「人文・社会科学」と「自然科学」に関しては、いずれかの科目を出願時に選択する。

2017年度(一般入試A方式)

1.総合教養(ATLAS) (80分80点)

2.「人文・社会科学」または「自然科学」(80分80点)

3.英語(リスニングを含む)(約90分90点)

・1. 総合教養(ATLAS)

満点を狙わず、自分の解ける問題を確実に解く。読解の練習を入念に行う。

総合教養はリベラルアーツ学習適正(一般能力考査)代

わって2015年度から導入された試験である。その形式は冒頭に15分ほどの講義を聴き、それを基に40問程度の問題に答えるというものである。試験時間は放送を含めて80分である。専用のメモ用冊子が用意されており、講義の放送中にメモを取ることは可能だが、試験冊子は講義の放送が終了するまで見ることができない(問題冊子にシールが貼ってあり、指示があるまで開けないようになっている)。

ATLASの問題は4部構成で、Part Iは放送に関連した問題、Part IIは人文科学、Part IIIは社会科学、Part IVは自然科学に関連した問題がそれぞれ10問出題され、Part II, III, IVの問題の前には、放送と関連した各分野の論文が掲載される。3つの論文の長さはそれぞれ3,000から3,500文字程度で、昨年度の出題では、合計で10,000文字を超える論文が出題された。放送の時間を踏まえると、1時間程度でこれらの論文を読み、問題に答える必要があるので、ATLASは論文読解の要素が強い。文系の受験生の場合は、まずは「人文・社会科学」の過去問をよく研究して、論文読解の練習をしっかりとしておきたい。その上で、数学や理科を、高校の授業で習った範囲だけでも復習しておくとよい。一方、理系の学生は、計算問題を含め、理系分野の問題が出題されるPart IVを確実に解けるようにした上で、多くの理系受験生が苦手としている論文読解のトレーニングのため、「人文・社会科学」の過去問に取り組むとよいだろう。いずれにせよ、ATLASは人文・社会・自然科学の諸分野を横断した非常に出題範囲の広い試験で、満点が取れるような問題構成ではなく、受験生の得点は必ずしも高くない。実際にICUの公式Webサイトで公開されている、2016年度の一般入試B方式(TOEFL等外部英語試験を用いる方式)の総合教養の合格最低点は、80点満点中46点(100点満点換算で57.5点)であった。つまりATLASではあまり高得点を取ることは要求されていない。よって、全ての問題に答えるための対策を行うというよりは、併願校や選択科目等によってそれぞれ違ったアプローチをすべきであり、自分の解ける問題を確実に解くことが大切である。また、高校生にとっては未知の問題がたくさん出題されることになるので、たとえ初見の内容であっても、論文からヒントを得て考えるなど、柔軟な姿勢で試験に臨みたい。

一方で、ATLASの問題は非公開であることから、特にICUを第一志望とする人は、予備校の主催するICU受験対策講座を受講して、精度の高いATLASの演習問題で勉強することも検討してみるとよいかもしれない。

・2. 英語

リスニング対策が重要。リーディングは空所補充対策を

ICUの英語の特色として、英語の問題の約半分がリスニングであるということが挙げられる。これは難関私大の中でも珍しく、リスニングを全面的に実施しているのは、早大の国際教養学部などごく一部の学部に限定される。よって、多くの受験生はリスニングの対策が必ずしも万全ではない。ICUを志望する受験生は、英語リスニングの対策をしっかりやっておくことが、大きなアドバンテージとなり得る。伝統的にICUのリスニングは、TOEFLの形式に類似しており、TOEFL教材((特にPBT/ITP形式))を使っての学習は有効である。また、リスニングの出題傾向は大学生活をベースとした日常会話や大学での講義が中心であるが、出題内容は長年変わっていないので、ICUの過去のリスニングの問題を用いての学習も非常に有効である。

英語リーディングに関しては、典型的な読解・内容一致問題(Part I)が中心であるので、英語の受験勉強をしっかりとしている人にとっては、さほど心配はない。ただしPart IIには300-400 wordsの英文の中に20もの空所があるという、やや特殊な空所補充問題があるので、Part IIに関しては演習を重ねておくとよい。Part IIの空所補充問題には文法、語法、語彙のみならず、ライティングや文脈理解の要素も入っているので、英語の総合力が問われている。

全体として、ICU入試では総合的な英語力が問われており、特に大学で学ぶ上での英語の運用力、つまりアカデミックな英語力を測る試験であると言える。また、英語の実力を測るため問題がよく練られており、概ね受験生の英語力に比例した点数が出る。よって、英語は十分に時間をかけて勉強し、試験に臨みたい。

・3-1 人文・社会科学

過去問演習が有効

人文・社会科学は大学入試としては非常に長い論文を読んだ上で、約40問の問題に答える形式で出題されている。2016年度の問題文の長さは、約12,000文字、B5用紙で10枚程度、問題数は40問であった。試験時間は80分で、回答に要する時間を考えると、20分から30分程度で約10,000文字以上の学術的文章を読み切る能力が必要となる。まずはICUの過去問を読み込み、日本語の論文を読む訓練を行うとよい。その際、読んだ文章の要約をノートなどにまとめてみると、短時間での内容を把握や、文章読解の訓練となる。

人文・社会科学の特徴は、問題文がICUの教授らによって試験のためだけに書き下ろされたものであるということである。その他の大学の入試の現代文や小論文等の資料は、ほとんどの場合、既存刊行本や新聞記事等の文章を引用したものであるが、ICUでは、入試のためだけに、教授らが試験用の文章を毎年作成している。よって、ICUの人文・社会科学はICUの先生方から、未来のICU生へのメッセージという側面も持っており、内容の充実した論文が多い。また、毎年様々な教授らが論文の執筆を担当しているので、人文・社会科学の過去の論文をたくさん読んでいると、多様な学問分野を試験対策としてカバーできると同時に、固有の出題形式にも慣れることができる(経験上10年分以上の過去問を解くと出題が一巡し、得点力が一気に上がるようだ)。

 

・3-2 自然科学

長いリード文が特徴、記入問題が増加

自然科学の試験は、数学、物理、生物、化学の4教科から2教科を選択する形式である。4教科は同一の冊子に印刷されており、試験当日に、問題冊子で問題を見てから、回答する2教科をその場で選択することが可能である。自然科学の問題は、標準的な問題が多く、一般的な受験勉強をしていれば対応できる問題が多い。よって、他教科と比較すると比較的取り組みやすく、いかにミスをしないかというハイスコアゲームの要素がある。なお近年では受験者の多い数学において他の教科よりやや難度の高い問題が出題される傾向が見受けられる。また、2015年度から各教科2-5問程度の筆記問題が出題されるようになった。特に数学では筆記の計算問題の出題が増え、マーク方式とは違って正確な計算結果が求められる上に、概算が使えないので、スピーディーに解答する必要がある。また、化学や生物では用語の記入問題が出題されているので、各教科の用語を正確に書けるようにしておきたい。

・その他

筆者の主催するWebサイト(BUCHO.NET)では学内取材や過去の傾向に基づいた、放送付きの総合教養対策問題を多数用意している。また、その他の教科も1988年の公開以降のほぼ全てのICUの過去問の閲覧・演習が可能である。興味のある方は下記Webサイトを参照されたい。

【https://icu.bucho.net】(「ICU BUCHO」で検索)

PDF版はこちらICU学生新聞ICU入試対策記事2017

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