ICU入試国際基督教大学入試合格体験記2025(4) カウアイさん

1.お名前、プロフィール

<お名前>

カウアイ

<プロフィール>

首都圏の難関私立中高一貫マンモス校
高2の10月まで軽音楽部でかなり真面目に活動していました
留学、研修、ホームステイなどの海外経験は一切なし

2.受験形態

総合型選抜

5.ICUに入るまでのいきさつ(どうやってICUを知ったか? なぜICUを選んだか ? など)

両親がICUの卒業生だったので、幼少期から自然と目指すようになった。高校に入ってから、自分の研究したい内容はICUで研究するのが最適だと気づき、第一志望校にした。

6.ICUに期待するところ

ELAによる徹底的なアカデミック・イングリッシュの強化。その後、世界中の文献を読みながら、自分の興味に合った、専攻の枠にとらわれない自由な研究を行いたい。

7.受験対策

願書-1<1.ICUに入学することを強く希望する理由を述べて下さい。>

両親からの影響に軽く触れたあと、自分の興味のある「日本企業における男女格差と社会構造の関係」の研究が、学際的であること、また諸外国と比較するため英語の文献や研究を読んで活用する力が必要なこと、そしてジェンダー学に属する研究ではあるが、統計や社会調査といった社会学の知識も必要であるから、ICUのダブルメジャー制度や充実した留学制度のもとで研究を行うのが最適だと述べた。

願書-2<2.ICUで何を学びたいかを簡単に述べ、また将来の志望とその理由を述べてください。>

主に英語学習の経験や意欲について書いた。幼少期に英語で外国人と会話する両親を見て、英語で世界中の人とコミュニケーションをとりたいと考えたことが学習のきっかけで、中学生のうちに英検2級を取るなど先取り学習に励んできたことをアピールした。しかしその後ネイティブとの会話で自分の語彙力や表現力の不足を痛感し、意欲が落ちてしまったが、英語学習の原点である「対話の道具を身につけたい」というきっかけを思い出し、失敗を恐れずアウトプットの機会を増やすことで会話を楽しめるようになった、と書いた。この質問だけは、きっかけ、挫折、原点に立ち返って前進、という流れを強調するため、ストーリー仕立てにした。

願書-3<3.あなたを学生として受け入れることがICUにとって重要であると思われる理由を述べて下さい。>

ICUの「学問への使命」に共感していると最初に書き、具体的には授業内のディスカッションによって貢献できると主張した。ディスカッションについて、意見の優劣をつけるためではなく、より良い答えの追求のために行われるものだとした。その後自分のワークショップ運営活動を引用し、学校と自分、そして外部団体それぞれの希望をすり合わせ、より良い内容を追求した経験から、ICUの授業内でもファシリテーション能力を活かしてディスカッションを活発化させることができる、と書いた。

b.エッセイ

「社会的または国際的に関心が高まっている時事問題」のトピックを選択し、「日本企業の女性進出が停滞する現状の考察と提案」というタイトルで書いた。
まずジェンダーギャップ指数などの分かりやすいデータをあげ、その原因の一つが男女間の労働格差だとした。そして日本型雇用慣行や年功序列型賃金がこの格差の改善の障害になっていると主張し、従来の育休・給付金重視の施策がニーズと合致していない現状を述べた。さらに、格差是正のための積極的差別は男性への逆差別になったり、会社の成長を阻害するのでは、という想定される反論に対し、働き続けることを前提とすると一見平等に見える昇進・雇用システムが格差や差別を不可視化しているだけだと反駁した。
そして具体的な改善策として、男女の管理職比率がほぼ半々の会社を例として取り上げ、時短勤務や復職プログラム、相談センターなど多角的な支援が必要だとした。最後に女性進出による経済効果の展望のデータをあげ、日本の将来にとって女性進出が急務であるとまとめた。

c. 学校内外における自己活動歴と自己分析

主に高校3年の4月に主催した、外部団体を自分の高校に招いたワークショップと座談会の運営経験について書いた。自主性とリーダーシップに焦点を置き、今まで生徒主導でこのようなワークショップが行われた前例がなかったので手探りながら企画書を書き、開催日時や場所の交渉をしたことを書いた。また、活動の宣伝を行いたい外部団体と、後輩の進路選択の一助にしてほしいという自分の希望を何度も会議を重ねてすり合わせ、結果的に参加者への事後アンケートでも非常に満足度の高い企画が行えたことをアピールし、これは自主性を持ちつつも他者との協力を怠らず、信頼関係を築いて交渉や会議を粘り強く行った結果だ、とまとめた。

d. 推薦状2通

担任から一通、ワークショップ開催時にお世話になった、自分の学年の学年主任から一通。

e. 成績書類

英語:
TOEFL ibt 85
英検準一級 (CSE2373)
GTEC 1192

評定平均 = 4.3

f.一次試験(書類審査)のポイント

全ての書類において、じっくりと時間をかけて、自分の強みやアピールポイントがどのようにICUに適合しているのかを説得力を持って示す必要があると痛感した。また、試験官は提出する書類を全て見て判断するので、私は書類全体に自分の強みやアピールポイントを分散させて答えた。
例えば小論文の「社会問題」と願書質問事項の「志望理由」で実際に専攻しようとしている分野がICUのメジャー制度に適合していると主張し、「人生観に影響を与えたこと」ではICUの教育のもう一つの特徴であるELAに関連付けて、自らの英語学習の意欲について書き、「ICUの理念実現のために貢献できること」では実際の授業を見据えて、「自己活動歴」に書いたワークショップの経験を理由としてディスカッションにおけるファシリテーター役での活躍の期待をあげるなどした。
このように、提出書類全体で伝えたいことを先に考え、それぞれの質問や書類に落とし込んでいくというプロセスを私はとった。

g.面接 (二次試験)

面接官は物理学と教育学の教授で、自分の希望する専攻とは全く異なった。
志望理由に「社会学とジェンダー学をダブルメジャーで研究したい」と書いたので、まずそれぞれの学問についてどう捉えているか、という概念的な質問から入り、どうしてこの二つを選んだのか、について詳しく聞かれた。
自分はジェンダー学についてはしっかり答えられたが、社会学については後から興味を持ったものだったので、曖昧な答えしか言えなかった。ダブルメジャーやメジャーマイナーを選択したいと書いた人は、必ずどちらの学問も定義や最終目標についてしっかり言えるようにした方が良い。
その後、小論文の内容に関連して、日本型雇用慣行がどうして改善されないのか、非正規雇用の増加がどんな悪影響を及ぼすのか、また諸外国と比較して取り入れた方が良い制度はあるかなど、かなり深掘りされた。
これについては対策が非常に難しいが、少なくとも社会問題について小論文を書いたなら、その分野の最新の情報、可能ならば研究や社会調査の結果もチェックしておくと役に立つと思う。私は直前にニュージーランドの女性進出の取り組みについて調べていたので、それに助けられた。
最後に活動歴に関連して、リーダーシップをどのように発揮したか少しだけ聞かれた。ほとんど書類に書いたことと同じことを話した。

二次試験ポイント

ウェブ面接なので、カメラをしっかり見ると好印象だと思う。書類との整合性もおそらくチェックされているので、簡単でも良いから自分の回答の軸になる(と思われる)書類に書いた事項をまとめて覚えておくと役に立つと感じた。

8.最後に一言

私は周りの人によく「総合型と一般の勉強を両立できるの?」と聞かれたが、結論から言えば「不可能ではない」と思う。
私は私立文系の3教科にあらかじめ絞り、1学期のうちに世界史と現代文の基礎を固め、夏休み中は英語と総合型の書類作成に全力投球した。ICUは総合型の試験や発表が早いので、2次で落ちてしまってもなんとか一般に間に合わせることができるようスケジュールを組んでいた。それでもタイムマネジメントは他の一般受験生と比べてかなり厳しくなることは覚悟した方がいい。ただ、どうしてもICUに行きたいという人にとっては、直接教授に自分の強みをアピールできる入試方式だと思うので、提出書類の多さを恐れないで頑張ってほしい。
私は海外経験があったわけでも、これといった受賞歴や部活での活躍があったわけでは無いが、ICUの教育が必要で、自分を合格させることでICUにどのようなメリットがあるかをきちんと示せたから合格できたのだと思う。ぜひそこを意識して挑戦してほしい。
狭き門ですが、全力で叩けば開きます。後輩のみなさんのことを応援しています。