1. 名前
さったひと
2. プロフィール(出身高校、予備校、趣味、サークル、特技など)
1947年生まれ。団塊の世代最先端。ほぼ今の学生の親と同じ年齢。
都立Y潮高校?1浪の後、R大学経済学部経営学科入学。音楽サークルOPUS。
1971年4月 同大卒後、某鉄鋼メーカーに就職。
1998年12月 同社退職
1999年4月 国際基督教大学教育学科入学
2000年3月 同大一年終了後退学
2000年4月 R大学福祉学部三年編入
3. 合格学科、年度
教育学科 1999年 (二次志望:国際学科)
社会人入学学生のうちで教育学科に入ったのは私一人だった。 だから退学を申し出るのは大変に勇気が必要だった。多分、無理してとっていた だいたのではないかと思うからだ。 アドバイザーの先生、学科長の先生、ご期待に添えず、ほんとうに申し訳ありま せんでした。
1999年度社会人入試 (初年度)24名受験10名合格、うち男性2名
2000年度社会人入試 31名受験7名合格
(前年度にすぐに辞めてしまったやつ(わしのことじゃ!)がでたんで、合格者を 減らしたのか・・?)
4.併願校
文教大学人間科学科(一般入試)補欠
大正大学臨床心理学科(一般入試)不合格
東京国際大学人間福祉学科(社会人)合格
全く受験勉強をしていなかったので、一般で受けて受かるわけがない。
5.ICUに入るまでのいきさつ(どうやってICUを知ったか? なぜICUを選んだか?など)
会社を辞する直前の3年半の間豪州シドニーに駐在員として勤務する間に、かなりの中学生、高校生が日本から「留学」してきていることを知った。しかも、その中には何らかの理由で、自らの意思でなく親が決めたからと来豪しているこども達がかなりの数に上ることを知った。彼らは大人の眼のない世界で野放図となってしまったり、あるいは頼る大人のないことから苦労し、当然の如く、突然放り込まれた異言語の世界で噛み合わないコミュニケーションの中でそのストレスに耐えられずに不本意な生活を余儀なくされている者が多く見受けられた。しかし、これは彼らには本来的な責任が存在するとは思えなかった。一種の教育棄民と言っても良いのではないか、とすら感じられた。彼らを助ける手段を入手するために心理を勉強しようと日本の大学で入学可能な学校を探した。日本から社会人入試を実施している学校の資料を取り寄せていた。しかし、時期的に合うところは少なかった。
ICUはその時点では社会人入試を実施していなかったが、やるかも知れないと言う情報を得ていたので、学校にその時には資料を送って欲しいと要望していた。教育学科の心理コースについては以前から小谷先生が専門雑誌(この場合はこころの科学であった)にお書きになる情報を見ていたので、実施するという話を知って必ず受けようと思った。入試室に電話すると、出られた方の大変に丁寧な対応に感動すら覚えた。最後には「お選びいただいてありがとうございます」とまで言っていただいたのである。そんな学校にはこれまでであったことがない。ほとんどの学校の窓口係員は、自分がある種営業担当であることに気づいていないからだ。学生とはおしなべて横柄に取り扱って良いものと思っている。その点、ICUの奥深さを感じさせる方であった。
6. ICUの良いところ
私はすべてにわたって絶賛している。何もかも、素晴らしい。施設でも、残念ながらオスマー館、新D館は工事中しか知らないが、他もなかなか面白い。最も古い本館もあの椅子の教室が実は先生と学生の距離を一挙に縮めており、他の学校では考えられない。外壁が崩れ落ちる前に何らかの手を打たれることをお勧めしたい。
ELPは大変に苦しかったけど、久方ぶりに文句なしに自分の時間をこれに思いっきりぶつけることができたのはむしろすがすがしかった。何回徹夜したか記憶にないが。午前の授業のために徹夜をして、午後の授業で先生に申し訳ないが、眼を開いていられません、と話した経験があり。しかもこの苦しさを共に戦った友は素晴らしい友人となる。
授業中にどんどん質問を出しても違和感がないのは嬉しい。今いる学校では私の他にはほとんど質問をする学生がいない。しかも教室は前半分が空席である。しかし、ICUでは下手をすると遅れていくとほぼ前の席は埋まる。先日初めて、ICUは学生による授業評価制度の導入にいち早く踏み切った学校だったのだと言うことを知った。
学校側が真摯に、そして真剣に優れた学部教育を目指そうとすると、この学生による評価は欠かすことができない。一般的に日本の大学の教員は、そんなことをすると学生におもねる教師の評価が高くなる、と言う言い訳をするがそれはあまりにも学生を舐めきっている見解である。はっきりと言って手を抜く教師を正しいと思っている学生はいない。表面的には成績がイージーだからとミーハー(死語か?)な見解を示していても、それを切り札にして選択履修してはいても、それが講義の正しい姿ではないと判っているのだ。
7.ICUのダメなところ、あるいは入学前とイメージが違うというところ。
学生数が少ない分、先生の数にも限界があり、従って専門の幅はそれほどでもない点である。
自分で勉強を勧めていくという点についても環境は十分であるのだから、ある程度つぼにはまった勉強を自分でしていくか、むしろ、割り切って広く自分の見聞をできるだけ拡張することに専念して、4年間幅広く学び、自分のターゲットにできるだけ近い先生のいる学校の院に進むという手段をとるべきかも知れない。ICUのなかでその様な状況になる人も当然いると思う。
また、こうした活用の仕方がリベラル・アーツ本来のやり方でもあるだろう。だから、その意味でもICUは本来の大学らしい大学だと言うことができるのかも知れないが。私にももっと時間があったら必ずやそうしたであろうと思う。
8.科目別受験対策法
(1次)
一般入試の諸君と全く同じ日に後半の二科目だけを試験として科せられている。
a.一般能力考査
能のシテとツレについては、ずいぶん前に(ざっと30年以上前に)どこかで読んだことがあった程度で、一度も能を見たことがなかった。(2000年になって、初めてみた。)
入学試験で能についてのどしっとするくらいの文章を、しかも縦書きで読むことになるとは思わなかったが、十分に楽しんで読ませてもらった。あっちをひっくり返し、こっちをひっくり返し、結構面倒だなぁ、と思いながら淡々と進めた。思ったほど難敵、と言う感じではなかった。
私は元々小説は高校生までは読んでいたが、その後はすっかり小説から足を洗ってしまい、週刊誌ならAERA、通常読む本は新書、あるいはそれに近い社会科学、人文科学系の本ばかりだった。そしてこの種の文章は大学で最も読む頻度の高いものでもある。
b.英語読解力及び聴解力考査
実は勉強らしい勉強はしていない。というのは英語についてはこれまでの生活の中で業務上それを使ってきていたし、直前は豪州で仕事をしていたからである。むしろヒヤリングは自分が慣れ親しんだ米語発音だったので、それまで苦労していたオージー英語に比べ聞きやすいくらいだった。逆に言うと、日頃から、英字新聞をたった一つのarticleでも良いから毎日読み、ラジオを聴くと言うことを生活に組み込んでしまえばよい。昼飯を食いながら記事の一つを読むくらいなら、なんと言うこともなくできるだろう。ただ、他の方に比べてできが良かったかどうかと言えば、決してそんなことはなかったと思う。しかし、入学後のplacementtestでは多分まぁまぁだったんだろうと思う。(実は入学後のこのplacementtestはTOEFLと同じようなものだが、あまりにも時間が長く、ついに切れ目でトイレに行かしてもらってしまった。先生、その節はどうもありがとうございました。)
(2次)
1次試験から約2週間後の日曜日だったかと思うが、ERBで行われた。
c.面接
面接は三人の先生が立ち会われた。確か二次試験には12名が来ていて三組に分かれ、私は属するブロックの一番最初だった。だから、教育学科の先生が開口一番、先生方にとっても生まれて初めての経験です、とご挨拶された。この三人の先生方はすべて異なるdivisionの先生だった。先生はみなさん名札をつけておられたのが本当に新鮮だった。考えてみれば当然のこととも言えるが、他の学校では決してそんなことはない。他のどの学校の面接でも一体自分はどの方にお話ししているのか全く不明であった。印象的だったのは教育学科の先生が、文系の学科とは言え統計手法が多用されるが数学的素養はどうか、とお聞きになったのと、リベラルアーツをどう思うかと直裁にNSの先生から聴かれた点である。実は私は自分が興味を持つものを学科を飛び越えてとることができるのは魅力的だ、と言いながら、結果的にはやっぱり専門の幅がもっと欲しいと言って出てしまったのは大変に申し訳なく思っている。
約15分ほどだったと思うが自分をどんどん売り込んできたので、満足した面接だった。しかし、もう少し真剣に学校案内を隅から隅まで読んでいけば良かったとちょっと反省。しかし、確かに他の学校に比べるとICUの学校案内は非常に充実している。
d.その他受験に関するアドバイス(役立つ参考書、試験中に気をつけること、全般的な勉強法など)
願書を出すときにも成績証明書をどこまで必要なのか、悩んだが、とにかく悩んだらすぐに入試室にお尋ねすべき。私の場合は高校を卒業してから25年以上経っていたため、高校にはその種原簿は残っておらず、最初の大学の成績証明書を出す羽目に。高校は成績原簿は廃棄されており、提出できない旨の理由書を通常出しているそうで、それも入手。とりあえず社会人入試を受験する場合は大学側が予想していない状況に自分はあるのかも知れないと想像して、常に先回りすべきだと思う。
また、これはICU受験だけに限ったことではないが、講座にどんなものがあり、それをなんという先生が担当されているのか、と言う点について、可能な限りその年の履修要綱を請求して入手することをお勧めする。学校によっては、もちろん提示できないと言うこともあるが依頼して入手できればそれに越したことはない。苦労して入ってみてから、気がつくのでは効率はそれほど良くないからだ。
9. 最後に一言
社会人のみなさまのご参考になればと思います。この学校はとにかく入ってみる価値が十分にある学校です。現役の時にこの学校を出ておけば良かったなぁ、とつくづく思いました。多少朝が早くて辛い思いもしますが、日本の学校では最先端を行っていると思って間違いはないと思います。先生方も前向きの方ばかりですし、“本当はいやなんだけど、義理があるから来てやっているのだから少しぐらい休講があっても文句言うな”というような教師は一人もいないのです。
で、試験対策ですが、社会人の方でお受けになる方で英語をゼロからと思っておいでの方はおられないと思います。TOEFLをお受けになったことのない方はお受けになることをおすすめいたします。仕事の関連以外は一切興味がなかった方にとってはちょっとお辛いかも知れませんが、できるだけ日頃から、流し読みをなさらないで、本をお読みになることがそのまま力になると思います。一般の方がお受けになるあのパズル的な試験も受けてみたいなぁと思いましたが、余計なことはしない方がよいと私は思ってしまいました。