🌸2026年度Cherry Blossom奨学金 奨学生インタビュー (前編)
今回はICU Cherry Blossom奨学金を獲得して2026年度ICU一般選抜に合格したnanoさん。高2からオーストラリア留学、高3での通信制高校への転校、Cherry Blossom奨学金採用の経緯などを詳しく伺いました。
ICU Cherry Blossom奨学金は1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)以外の高校生が対象の奨学金で、入学金全額と、学費の3分の2が免除されます。
今回のnanoさんの場合、4年間で約4,470,000円(約447万円)に相当します。

ロータリー青少年交換プログラムで留学
——まずは、高2の後半から高3夏までの留学の経緯を教えてください。
もともと英語が好きで 、海外経験がある知人の話を聞くうちに「いつか留学したい」という憧れを持っていました 。ただ、我が家にとっての一番の課題は費用でした 。親からはずっと国公立を目指しなさいと言われて育ったので 、高校での私費留学は現実的ではありませんでした 。
そんな時に見つけたのが、ロータリー青少年交換プログラムです 。これは世界中に支部を持つロータリークラブが運営する高校生向けの交換留学プログラムで、ホストファミリー関連の費用や学費をすべてロータリーが負担してくれるんです 。
自分で払ったのは飛行機代やビザ申請、保険代くらい 。毎月のお小遣いまで出してくれるぐらいサポートが充実していました 。私のように予算が課題で諦めかけている人にとっては、これしかないという選択肢でした。
日本では高1で応募して、高2で出発するのが一般的な流れです 。私もそのルートで応募して、採用してもらいました 。
ただ、大きな条件があって、行き先の国も通う学校も自分では選べないんです 。国は一応第3希望まで出せるんですが、全員が英語圏に行けるとも限らなくて 。私は第1希望にフィンランド、第2希望にスウェーデン、第3希望にカナダを書いていました 。オーストラリアはそもそも候補の中にも入っていなかったんです(笑) 。
実は、最初はスウェーデンに決まりかけていたのですが、現地との調整がうまくいかなくて直前でキャンセルになってしまって 。それで急遽オーストラリアに変更になり、出発も遅れて11月からのスタートという、だいぶイレギュラーな形でした 。
留学先はシドニーから2時間ほど北に離れた内陸の街、ニューサウスウェールズ州のシングルトンです。ロータリーの留学は、世界各地にあるロータリーの地区同士の調整で実現するのですが、福岡・佐賀を含む「2700地区」と相手方の「9660地区」の間で調整が成立して、現地のロータリークラブが地元の公立高校への入学手続きとホストファミリー探しをすべてやってくれました。
オーストラリア留学
——現地での生活はいかがでしたか?
語学学校は一切通わずに、現地の公立高校の授業にそのまま入ることになりました。現地はオーストラリアらしい田舎街で、最初はとにかく大変でしたね。英語でずっと話され続けると、だんだん何を言っているのかわからなくなってきて、集中力が続かなくて。友達の作り方もわからなくて不安だったんですが、ホストファミリーが知り合いを紹介してくれて、その子が教室を案内してくれたことで少しずつ慣れていきました。最終的には授業の内容もちゃんと理解できるようになって、成績を出してもらうために課題もきちんと出せるようになりました。
——特に大変だったことはありますか?
最初のうちは食事が大変でした。いつも揚げ物が大量にあって、毎日食パンというのがちょっときつかったですね。朝と昼は基本的に自分で用意していて、ホストファミリーが買ってくれる食材が食パンとハムだったので、最初のうちは毎朝サンドイッチを作って学校に持っていっていました。でもだんだんとパンに飽きてしまって、自分でご飯を炊くようになって、最後の方は完全にご飯派になりました(笑)。
——授業の印象はいかがでしたか?
学習レベル自体はそれほど高くなくて、数学は基本的な二次方程式やsinとcosが出てきたくらいの内容でした。でも、日本では受けられないようなビジネスやホスピタリティの授業があってそれらはよかったですね。たとえばホスピタリティの授業では、テーブルのセッティングをする練習をしたり、実際にイベントで料理を作って人に提供したり。さすが観光国で、ホスピタリティの授業は観光に詳しい専門の先生が教えに来てくれていましたし、このような体験型の学びは日本の学校にはなかったので、楽しかったですね。
ただ、通っていた公立高校が日本人の私から見るとちょっと学校が荒れている印象もありました。生徒達が授業中も当たり前に関係ないことでふざけまくる事があるですよ。日本で真面目に学校に通っていた私としてはかなりの衝撃でした。そんな中で「自分はここに学ぶために来ている」という意識を持ち続けることは、正直難しかったです。
——高3夏に帰って来るという留学のスケジュールには不安もあったのでは?
確かに大学受験への不安はありました。それでも留学をしたことはとてもよい経験になりました。英語に自身が持てましたし、慣れた環境と全く違う場所に身を置くことで、自分を保つ力といいますか、内面的に自信がついた感覚はあります。
高3の後半に通信制高校へ
——帰国後に通信制高校へ転校されていますね。これはどんな経緯でしたか?
実は留学中に帰国したら通信制高校へ転校しようと決めていました。
留学の出発が遅れたという精神的な負担もあり、全日制の高校に戻って定期テストや共通テスト対策に追われる生活が精神的に持つかどうかという怖さがありました。
その上で、高3の夏以降も全日制にそのまま残るのは、自分の時間や力を無駄にしていると感じたんです。留学で自分の特性が分かったという部分もあると思うのですが、自分に合わない環境で時間を潰すことの方がリスクだと考えるようになりました。違和感を押し殺すのではなく、それをむしろ生かしていこうと思えたんです。
——通信制高校はどちらに?どんな雰囲気ですか?
S高(N高系列)のネットコースに入りました。必要最小限のスクーリングと、オンラインで完結するレポート学習で高卒資格が取れるコースを選びました。スクーリングは合計15回ほどでしたが、雰囲気も明るくてグループディスカッションが多く、充実していました。同級生の中には、ラ・サールを辞めて東大を目指している人や、旅が好きで通信制に来た人、美術に取り組んでいて後に美大に進学した人など、面白い人がたくさんいましたね。
——通信制高校への転校はよかった?
よかったと思います。通信制にしたことで卒業に向けた単位を効率的に取れたのは大きいですね。自分の好きな活動をする時間も取れました。私はもともと教育に興味を持っていたのですが、発達障害などの特性がある子どもたちの居場所でのアルバイトもすることができて、それの仕事は受験1ヶ月ぐらい前まで続けました。もちろんオンレクでICU入試対策を集中的にやれたのもよかったです。
——高認は考えませんでしたか
高認だと大学の受験資格は得られますが、高卒にはならないのですよ。もし今年の一般選抜に受からなければギャップイヤーのような形でいろいろな活動をしたいと思っていたので、私の場合は高校の卒業資格を得るというのが大事でした。また、一般がダメだった場合は翌年に総合型選抜を受けたいというのもありました(*1)。
——受験指導みたいなのは受けられるんですか?
進路に関する相談はできますが、一緒に考えてくれるという感じですね。先生が入試対策を直接教えてくれるみたいなのはないです。
——卒業に向けた単位取得に特化してる学校という感じですかね?
その通りだと思います。卒業単位をどうやったら効率的に取れるかみたいなノウハウは蓄積していて、卒業にはこの単位が必要で、この単位にはどれくらい来校する必要があるから、スクリーリングはこの日、というようなみたいなアレンジを向こうでやってくれました。私の場合は留学もあったから単位が特殊だったと思うので、とてもありがたかったですね。
ICU受験へ
——ICUはどのようにして志望校になったのですか?
もともとICUは知っていたのですが、学費の面もふまえて親からは国公立大学をすすめられていたので、私立大学は考えていませんでした。
しかし、福岡の会場にたくさんの大学が集まるイベントに参加した際にICUもブースを出していて、詳しい説明を受けることができました。そこで、私の受験する年度から奨学金の条件が緩和(*2)されたことを知ったのと、紹介の講義を聞いて「すごくいい大学だ」という魅力にはまって、いきなり行きたいという気持ちになりました。
メジャー制で教育学を学べること、ダブルメジャーができること、そして何より奨学金があることが大きかったです。そこからはICU受験に集中した形ですね。
——一般選抜でICUのみの単願にしたのは、なぜですか?
単願はもちろんリスクがあると思います。ただ、私の場合は、もともと大学に行こうと決めていたわけではなくて、何もないところから急に「ここに行きたい」と思える大学が見つかったという感覚だったんです。だからこそ、絶対に行きたいと思える大学だけを受けた方がいいと思いました。ここなら自分の良さを伸ばせると思える場所に行きたい、という気持ちが強かったです。
あと、現実的な話として、留学していた期間に日本の勉強がかなり抜けていたので、共通テストが必要な併願校まで広げるのは難しかったです。ICUは共通テストがいらないですし、知識量よりも読解力や思考力で勝負できるので、自分に合っていると感じました。
(後編ではCherry Blossom奨学金の応募や採用の経緯、ICU受験やオンレクの学習法などに関して詳しく伺います。)
*1 ICUの総合型選抜(AO)では高校の評定平均4.1以上が出願条件にあるから、高認では受験できない。
*2 2026年度からICUの奨学金に応募する際の家庭の収入要件が緩和された。さらに、一般選抜では、収入要件等を満たした全員が、High Endeavor奨学金(1/3免除)を獲得できるようになった。
