ICU総合型選抜合格者インタビュー 前編:提出書類・準備の進め方
本記事では、2026年度のICU(国際基督教大学)の総合型選抜に合格されたMさん(秋田県出身、現ICU1年生)に、出願準備から面接、併願のこと、一般選抜との両立まで詳しく伺いました。Mさんは2026年度ICU入試対策オンラインレクチャーの受講生です。
地方の進学校から、周囲にICU受験者がほとんどいない環境で総合型選抜に挑戦したMさん。書類準備、推薦状、AI利用について、そして併願や一般選抜も視野に入れながら進めた受験対策など、詳しく伺いました。前後編の2回に分けてお届けいたします。

前編:ICU志望理由・提出書類・準備の進め方
ICU志望
B:まずは、ICU(国際基督教大学)志望に至るまでの経緯から教えてください。
Mさん:もともとは地元のAIU、国際教養大学に興味がありました。そこから、国際的な学びができる大学をいろいろ調べる中でICUを知って、志望するようになりました。
B:ご出身は地方進学校ですね。やはり進路としては国公立大学志向が強いですよね。
Mさん:東北大学に進学する人が多いですし、秋田大学やAIUに進む人も多いです。地元の国公立志向は強いと思います。
B:その中で、総合型選抜を受ける人はどのくらいいましたか。
Mさん:ICUを受ける人はほとんどいなかったですが、総合型選抜で他大学を受験する学生はそれなりにいました。最近は総合型選抜が少しずつ増えてきていたと思います。東北大でも総合型に近い形式がありますし、学校としても、一般だけではなくて総合型も選択肢としていこうという雰囲気はありました。
B:ICUを本格的に志望するようになったのはいつ頃ですか。
Mさん:高校3年生になってからです。オンレク(BUCHONETオンラインレクチャー)を受け始めたのは6月で、総合型選抜の書類を書き始めたのも6月でした。
B:要項やテーマが出たらすぐに動き始めたわけですね。
Mさん:はい。とりあえず一回書いてみようという感じでしたが、結果的に書類の準備に時間をかけることができましたので。早期にはじめたのはよかったと思います。
ICU総合型選抜の受験理由
B:高校時代は本当にいろいろな活動に取り組んでいますね。サッカー部のマネージャー、ピアノ、バレエ、英語ディベート同好会、文化祭のダンス企画、さらにアメリカでの1週間の海外研修など、かなり幅広いです。
Mさん:振り返ると、いろいろやっていたと思います(笑)
B:ずばり、総合型選抜で受験しようと思った理由はありますか?
Mさん:学校行事や活動にはかなり力を入れてきたので、勉強一辺倒ではない自分には、総合型選抜の方が合っているのではないかと思っていました。
B:オープンキャンパスには参加しましたか。
Mさん:春と夏の2回行きました。
B:実際に行ってみてどうでしたか。
Mさん:ICUをより具体的にイメージできるようになりましたし、東京に行ったこと自体が小論文のテーマにもつながりました。
AIを「内容を書くため」には用いなかった
B:ここからは提出書類の準備に関して伺いたいと思います。まず、今年度(2027年度)からは、ICUの願書でも生成AIに関する注意書きが入るようになりました。昨年度もWebサイトで生成AI利用に関するICUの考え方は示されてましたね。MさんはAIをどう使っていましたか。
Mさん:要項やICUの公式サイトを読んで生成AI利用の禁止事項には当たらないように気をつけていました。つまり、書類の内容そのものを考えてもらうためには使わないよう注意しました。AIの使い方としては、自分は長く書いてしまう癖があったので、冗長な部分がないかとか、文章として不自然なところがないかとか、誤字脱字がないかを見てもらうために使っていました。
B:線引きを意識して使っていたのですね。
Mさん:はい。AIのプロンプトをきちんと指定して、文章の内容に踏み込まれないようにすることはとても意識していました。
B:具体的には、どのようなプロンプトですか?
Mさん:「この文章を見て、冗長になっている部分や意味がおかしいところがあれば指摘してください。ただし、内容には触れないでください。論理がぶれているとか、この具体例を入れた方がいいとか、そういうことは言わないでください」というような形でした。
注:2027年度からは「出願書類の作成において、生成AI を用いてはいけません」と要項に書かれるようになった。一方、Mさんが受験した2026年度では、生成AIの利用については、大学の公式Webサイトに掲載されているAI利用に対する大学の考え方を参考にするよう案内されているにとどまっていた。
小論文は大きく方向転換した
B:提出書類の小論文について詳しく聞かせてください。最初はバレエをテーマに書いていらっしゃったのですよね?バレエから始めた理由は何だったのでしょうか。
Mさん:自分の経験もありますし、作品の中から学べることもあると思ったからです。ただ、実際に書いてみると、どうしても自分の感想が中心になってしまって、問題意識として広げていくのが難しかったです。
B:最終的には「インバウンド」を扱う形になりました。そのテーマはどうやって見つけたのでしょうか。
Mさん:オープンキャンパスで初めて東京に行ったときに、インバウンドの状況を実際に見て、少し違和感を持ったのがきっかけです。外から見ると盛り上がっているように見えるけれど、そこに何か引っかかるものがありました。
B:地方出身だからこその視点があったわけですね。
Mさん:そう思います。私は地方出身で、ふだんインバウンドに直接関わることが多い環境ではなかったので、逆に別の見方ができるのではないかと思いました。
B:実際の小論文では、秋田の竿灯まつりを題材にしていましたね。しかも、単に「良い祭りだ」と書くだけではなく、現状の課題や改善の余地にインバウンドの視点から踏み込んでいました。
Mさん:はい。インバウンドが表面的に盛り上がっていることだけを書くのではなくて、もっと学びや理解につながるような体験にできるのではないか、という方向で考えました。より深く日本文化や地方文化を理解してもらえるような形にできれば、外国からのリピーターにもつながるのではないかと思っていました。
B:書きたい内容が先にあって、テーマの番号は後から決まったという感じでしたか?
Mさん:そうです。最初から「①で書こう」と決めていたわけではなくて、問題意識を持った内容があって、その結果として選択したテーマが①になりました。自分としては、まず何について書くかの方が先でした。
参考:2026年度 ICU総合型選抜 小論文(1500文字)のテーマ:
① 社会的または国際的に関心が高まっている時事問題、あるいは志願者自身が感銘を受けた芸術作品 (絵画、文学、音楽など)、歴史的エピソード、科学的業績
② 古典探究、日本史探究、世界史探究、理数探究基礎、あるいは総合的な探究の時間などの探究型学習で主体的に取り組んだ課題とその成果の要約
自己活動歴と自己分析
B:活動歴についても聞かせてください。最初は文化祭の話を書いていたけれど、最終的には英語ディベート同好会の活動に書き換えましたよね。
Mさん:はい。もともとオンレクの添削の中でも、もし賞を受けたものがあるならそちらの方がよいのではないか、という指摘が出ていて書き換えたいとは思っていました。ただ、英語ディベートの大会が8月にあって、その結果が出たのが8月末だったので、書き換えるならそこからになりました。
B:ディベート同好会は以前から参加していたのですか?
Mさん:いえ、もともとその同好会は私が中学3年生の頃に設立されたものです。ただ、高校2年生のときに人数不足で一度活動が途絶えてしまいました。その後、高校3年生のときに先生に参加を勧められて加入し、同好会の活動も再開される形になりました。既存のメンバーと新しいメンバーで大会に出場しました。
B:その大会でメンバーの皆さんが個人賞を取った。
Mさん:はい、秋田県の大会で個人賞を取ることができました。
B:ディベート同好会の活動を復活させるところから個人賞の受賞まで、活動として充実していますね。
Mさん:そうですね。結果が出てうれしかったですし、提出直前になってしまいましたが活動歴の内容は書き換えてよかったと思います。
推薦状
B:推薦状についても伺いたいです。担任の先生と、サッカー部・英語ディベート同好会の顧問の先生にお願いしたんですよね。
Mさん:はい。顧問の先生には3年間お世話になっていました。
B:やはり総合型選抜では推薦状も大切だと思いますか。
Mさん:とても大切だと思います。総合型選抜では、先生方との関わりが大事だと感じました。
B:サッカー部のマネージャーはいつまで続けていましたか。
Mさん:高3の夏までです。6月くらいまでは続けていました。サッカー部の活動は週5回あって、そのうえ夏までディベートもやっていたので、かなり忙しかったです(笑)。
B:推薦状を書いていただくという意味でも先生方との関係性も大切ですね。
Mさん:そう思います。特に顧問の先生は、マネージャーとしての活動についても書いてくださったと聞いています。
B:マネージャーとしての活動はMさんが自分で書いた書類には詳しくは書いてありませんでしたね。推薦状が他の書類では書き切れない部分をカバーしてくれる場合や、内容を裏付けてくれる場合もありそうです。
英語スコア
B:その他の提出書類でいうと、英検準1級も提出されていますね。どう準備しましたか。
Mさん:英検準1級は高校2年生の夏に取りました。英語はもともと教科として得意で、英検対策もしていました。
B:早い段階で英語のスコアを取っていたことも大きかったですね。
Mさん:そうですね。書類として出せる材料の一つにはなったと思います。
総合型選抜の1次書類準備で一番大変だったのは
B:合格体験記では、提出書類に関して「書いたものに一貫性を持たせることが大事だった」と書いていました。これは具体的にはどういうことでしょうか。
Mさん:まず、自分の中に「文化」への関心がありました。カルチャーに興味があって、人とコミュニケーションを取ることも好きでした。先生との関わりもそうですし、人との「交流」が自分の中で大きな軸だったと思います。
B:その軸が、小論文や活動歴にもつながっていた。
Mさん:はい。文化にも交流にも関心があって、その結果として小論文のテーマにもつながりました。いろいろな人と関わる中で、自分の軸みたいなものが見えてきたのだと思います。
B:ICUの総合型選抜の1次書類の準備で、一番大変だったのは何ですか。
Mさん:ICUの総合型選抜で大変だったのは、すべての書類が事前提出なので、いくらでも直せてしまうところです。時間をかけようと思えばどこまでもかけられるので、そこは本当に大変でした。他の受験生がどれくらい時間をかけて仕上げてくるのかという意味でも不安はありました。
(後編に続きます。後編では、二次面接の実際、併願で感じたこと、一般選抜とのバランス、そしてICU総合型選抜に挑戦する人がまずやるべきことについて、詳しく伺います。)
