ICU(国際基督教大学)からの大学院進学 東大、北大、ICUの院試 2

(引き続きICU出身の大学院生の方々にインタビューをさせていただきます。最近は国際教養系の他大学の学部も増えて、学部でリベラルアーツ教育を受けるメリットも認知されてきたという印象があります。特に文系では「専門性が云々…」という声は最近ほとんど聴かなくなりました。理系の場合でもICUのように広く学ぶという大学はオススメでしょうか?)

北:学部の時は幅広く学んで、院に入ってから専門をしっかりやった方がよいということをおっしゃる先生方は多いですね。理系のエンジニアなどは院に進学するのが当たり前ですし、院のレベルにまで行くと英語もできて当然という雰囲気もあるので、どの分野にせよ、学部の時にICUで学んでおくというのは大いにメリットがあると思います。高校生の段階ではこの先生でこの勉強をしたいとか、もちろんあってもいいと思いますが、理系のごく特定の分野に関して、あまりにピンポイントで「この研究をやるんだ」と意気込んで大学に入っても、そういった期待通りの研究が学部からできるとは限らず、むしろ学部の段階では幅を持たせることも大事だと思います。

I:学部は所詮学部というところはありますね。数学など、きっちりステップを踏むような学問では、学部の段階で学ぶような内容はどの分野の数学の先生でもまずカバーできる。むしろ数学以外のその他の学問の先生から学ぶところも大きかったように思います。

(入学してから専攻分野を決められるというICUの制度も、院進学には有利に働いている部分はありますか?)

北:それはあると思います。僕の場合今は数学専攻で数学漬けの毎日ですが、実はICUの入試では数学を使いませんでした(笑)。当時から数学には関心があったのですが、高校生の段階では別の科目を得意としていましたし、得意=好きな科目、ぐらいにしか考えていませんでした。そういう意味ではICUに入ってなければ今のような希望する大学院への進学はできなかったと思います。

高校生の時は物理と化学の受験勉強をしていました。現代文とか好きで、哲学もやりたいと思っていました。実際ICUに入ってみると入ってみたら哲学文学系統にいい先生がいらっしゃって、大いに学ぶところがありました。

I:そういう意味でICUは理転というか、文系の入試を受けて、理科系の専攻をすることも可能ですね。大学入試的にも文化系から来やすい。ICUは少人数制で、理系の場合特に先生の受け持ちが少ないので、途中で専攻が決まった場合でも、先生は見捨てないし、そういう意味ではサポートが手厚いですね。

(理系の専攻の人とって、文系の人がいるというのはメリット?)

東:ICUのシステム上、文系理系を問わずいろんな人と絡むことになります。バックグラウンドがいろんなところからディスカッションが出きますし。そもそも高校生段階では何をしたいかとか分からないですからね。いろいろな専攻に興味関心を持った人との対話を通して、専攻が見えてきたという人も多かったと思います。

(なるほど。やはり院に進むとなると英語というのは大事でしょうか?)

北:理系だと英語の教材を使わせることが多いです。英語で論文書く機会も多いですね。ほぼ一般向けに書くのでも英語のケースもあります。Officialなものは英語という雰囲気です。研究者では英語は必須条件のようにも思えます。

I:就活をした学部生の話では、就活してて理系で英語ができるというのは非常に有利みたいです。やはり英語は文系にできる人が多いので。

東:自分の場合も今いる研究室でICU出身で英語ができるという部分を期待されています。

ICUは絶対数が少ない割には海外の院も多いですし、海外進学の可能性が広がるのも大きいです。英語をみっちりやっていたおかげで海外でも活躍できたというICUのOB,OGの研究者も多いですしね。

(なるほど。お話を伺っていると理系のICUというのは意外に大いにありのように思えてきました。)

北:確かに国立の院に進学した実感として、ICUよりは、研究機関としての環境は整っています。例えば、北大だと数学専用の図書室があるくらいですし。ただ、例え環境があってもアクセスできなければ意味が無いわけで、学部の時点の専攻などの食い違いで将来が限定されるというのはもったいないような気もします。

ICUの学部→国立院というのは、それぞれ学部と院のいいとこ取りという感じで、相性が良いよいようにも思いますね。

東:自分の専攻している情報の分野も、研究内容によっては大規模な設備が必要なものがあり、そのような意味で国立の院というのは充実しています。そのような意味で、ICUの学部では諸分野を幅広くしっかり学んで、英語を習得し、高度な設備にアクセス可能になる大学院の段階で、設備の整った院に行くというのは自分にとってはよい選択肢でした。

(ICUの院の方はいかがですか?)

I:ICUの大学院は、理系の場合特に超少人数制なので、第一線との研究者の指導を密に受けられ、ある意味で贅沢ですね。お目当ての先生がいればこんなにいい環境はないです。確かに研究分野によっては他大学の設備等で外研をする必要が出てきたりしますが、そもそも、最近の学問は国内だけで済むような研究ばかりではないですからね。ICUの院だと海外に研究に出る人も多い。そういう意味では大いに強みがあると思います。

(ありがとうございました。)