英語対策,一般選抜

ICU(国際基督教大学)の入試対策として、ICU入試英語リーディング過去問の本文および選択肢がアメリカ英語、イギリス英語のいずれであるかを調べてみた。

2015年から2020年までの各年度の英語リーディング過去問をすべてテキスト化した上で、各テキストの単語のスペルを元に、アメリカ英語かイギリス英語かを判定した。結果は以下の通りである。

*text3は2017年以降に追加された
“?"は単語スペルのから英米の判定ができなかったもの

<結果の分析>

ICU入試の英語リーディングにおけるアメリカ・イギリス英語の出題に関して、全体として、ほとんどの過去問で年度ごとにアメリカ英語とイギリス英語が混在しており、どちらかに統一はされていない。

また、textがアメリカ英語である場合は設問がアメリカ英語、textがイギリス英語である場合は設問がイギリス英語であった。

よって、アメリカ英語、イギリス英語のいずれを用いるかは、各textの作問者の裁量に任されていると推測される。

更に、2017に追加されたtext3はいずれもイギリス英語である点は特徴的である。text3は自然科学話題が中心であるため、科学分野の専攻者でないと作問が難しく、同じ出題者が連続して作問を担当している可能性がある。そしてその担当作問者が、イギリスもしくはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英連邦出身者であることが推測される。

また、直近の2020年は4つの大問のうち、3つがイギリス英語で、イギリス英語での出題が特に多かった。特に穴埋め問題で語彙の問題が含まれるPart IIでもイギリス英語が用いられていた点は興味深い。

<アメリカ英語とイギリス英語のスペルの違いの具体例>

*下線語が実際に出題されたスペル

2015年度
text1 アメリカ center (イギリス centre)
text2 アメリカ fulfill  (イギリス fulfil)
part-II アメリカ favored (イギリス favoured)

2016年度
text2 アメリカ favor (イギリス favour)
part-II アメリカ gyneco-(gynecology) (イギリス gynaeco-(gynaecology))

2017年度
text1 アメリカ behavior (イギリス behaviour)
text2 アメリカ kilometers (イギリス kilometres)
text3 イギリス colour (アメリカ color)
part-II アメリカ defense (イギリス defence)

2018年度
text2 アメリカ color (イギリス colour)
text3 イギリス coloured (アメリカ colored)
part-II アメリカ labeling (イギリス labelling)

2019年度
text1 アメリカ fulfillment (イギリス fulfilment)
text3 イギリス Aluminium (アメリカ Aluminum)

2020年度
text1 アメリカ traveled (イギリス travelled)
text2 イギリス criticise (アメリカ criticize)
text3 イギリス programme (アメリカ program)
part-II イギリス analyse (アメリカ analyze)

(コメント)
2018年度のtext 2はアメリカ英語で"color"、text 3はイギリス英語で"coloured"であるなど、同じ年度の同じ単語であっても、テキスト(大問)ごとにスペルが異なる場合がある。

<対策>
ICU入試英語の試験対策上、両者の違いは全く気にしなくて良い。むしろ「気にするな」が正解かも。ICU入試英語で、アメリカ英語とイギリス英語の区分そのものが問われる事はないので、特に気にする必要はない。ただし1年度の中で両者が混在していること、同じテキストと設問中では統一されていること、近年イギリス式スペルの出題が比較的増加傾向にある事だけ覚えておけば、実際のICU試験に際して米英の違いに戸惑う事はないだろう。

英語対策,英語リスニング,一般選抜,ICU入試統計倍率偏差値

ICU学生新聞The Weekly GIANTS 2020年度入試特別号(2020年1月30日発行 9面)

検証 「迷ったらC」は本当?

<「Cが多い」は都市伝説?>

ICU入試に関する都市伝説の一つとして、選択肢Cが解答である問題が多いので「もし答えが分からなければCを選べ」ということがまことしやかにささやかれてきた(らしい)。今回はICU入試ではどの選択肢が解答として多いのかを検証してみたい。

<検証方法>

 ICUは他の大学と同じく、入試問題の解答を公開していないので、今回は筆者の運営するICU入試情報サイト、「BUCHO.NET」のオンラインレクチャーの過去20年分の解答例(2000年度~2019年度)を使用した。教科は英語リーディング、英語リスニング、人文・社会科学(2014年度まで人文科学)を検証した。自然科学は筆記問題を含むため、また総合教養(リベラルアーツ学習適正)は昨年度まで問題が非公開であったため、今回は検証を行っていない。

<科目別検証結果>

・英語リーディング

英語リーディングは2000年から2019年の間に計787問出題されており、最も多かったのは選択肢C(26.4%)で、最も少なかったのはD(23.5%)であった。

・英語リスニング

英語リスニングは過去20年間で計714問が出題されており、最も解答が多かった選択肢はD(26.5%)で、最も少なかったのはA(23.4%)であった。

・人文・社会科学(2014年度まで人文科学)

人文・社会科学は過去20年間で3教科のうち最も多い803問が出題されており、解答として最も多かった選択肢はC(26.3%)、最も少なかったのはA(23.9%)であった。

<検証結果の考察>

まず目を引くのは、英語リーディングと人文・社会科学では選択肢Cの解答が最も多かった事だ。出題者心理として、受験者が容易に答えを発見できないよう、A,B,C,Dの中では、後半かつ中程の選択肢であるCを解答にしたいというものがあるのかも知れない。一方、リスニングでは選択肢Dが最も多く、その割合は今回統計を取った中では最も大きかった(26.5%)。また、リスニングの選択肢Aは最も割合が少ない(23.4%)。ICU入試のリスニングの各選択肢はリーディングや人文・社会科学と比較すると、選択肢が短く、また内容がシンプルであるため、出題者としては選択肢Aを解答とすることにためらいを感じ、選択肢Dの解答を増やすことで、問題の難度を上げたいという狙いがあるのかも知れない。

<年度別の最多解答と最少解答のギャップ>

次に年度ごとに最も解答が多かった選択肢と、最も解答が少なかった選択肢の割合の差(ギャップ)を教科ごとに検証した。一例として2019年度の英語リーディングは36問のうち、最も解答が多かったのはCの11問(30.5%)、最も少なかったのはBの7問(19.4%)であった。この場合の最多解答と最少解答のギャップは30.5%-19.4%=11.1%となる。このように年度別に最多解答と最少解答のギャップを教科ごとに集計したのが以下の図1である。

図1でみられるように、概ねどの教科も5%から15%程度のギャップで推移している様子がうかがえる。過去20年間の年度別のギャップを平均すると、英語リーディングが約11%、英語リスニングが約9%、人文・社会科学が約10%であった。つまり、各教科とも特定の選択肢に解答が偏らないように一定の配慮がなされている様子が覗える。一方で、まれに20%を超えるギャップも計測されているので、プログラム等を用いて各選択肢が均等になるように作問している訳ではないと考えられる。

*ICU OBの筆者が運営するICU入試情報サイト、「BUCHO.NET」では、ICU合格体験記を募集しております(執筆者にはギフトカードを贈呈中!) 【BUCHO】

【https://icu.bucho.net】(「ICU BUCHO」で検索!)

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英語対策

ICU(国際基督教大学)入試英語リーディングの問題の頻出パターンの研究

過去のICU入試英語リーディングの入試問題20年分(20010-2019)の読解パート(Part I)の質問文をデータ化し、頻出の質問表現パターン、ベスト3を分析した。

<質問表現のパターン1 最頻出のWhich of the following

・質問文のフレーズで登場回数が多かったフレーズは、"Which of the following..?"のパターンであった。択一試験の特性上、様々な質問でこのフレーズが用いられている。
特に、Titleとしてふさわしい問題、Main Ideaを答える問題、underlined word(下線が引かれた単語)の意味を答える問題においてよく使われている。

Which of the following statements would the author most likely agree with?


Which of the following
illustrates the idea of rationalization expressed in the text?

The underlined word “they" in the first sentence of paragraph 3 refers to which of the following?

 

<質問表現のパターン2 According to X

・According to x, …?の質問文も頻出である。ICU入試の特徴として、According to Xの対象となるのは、ほとんどの場合、"the text/the passage", “the author/the writer", “paragraph x"である。

According to the passage, what is the possible significance of Witzel’s study?

According
to the text
, which scenario is the most likely to occur without the use of biomimicry?


According
to the writer
, under what conditions does peace usually occur?

According to paragraph 1, which of the following is true of capitalism?

<質問表現のパターン 3 underlined(下線部)に関する問題>

問題文中に引かれた下線部に関する問題も頻出。
ICU入試では以下のような特徴がある。

1.下線部はほとんどの場合、1つの単語に引かれている。フレーズ、イディオムなどに下線部が引かれていることはほとんどない。

2.難度の高い英単語の意味を、前後の文脈から、その意味を類推させる問題が最も多い(ほとんどの問題がこのパターン)

3.代名詞等(they, theirなど)に下線部が引かれている場合は、その語が指す対象を問われる(この出題パターンはあまり多くない)。

よって、ICU入試の英語で、リーディング本文に下線部がある場合は、ほとんどの場合、その単語の意味が問われているので、単語の意味を下線部の前後の文脈から類推して推測しておくようにしておくとよい。

Which of the following is the best definition of the underlined word “elusive" in paragraph 7?


The word “degeneration"
underlined in paragraph 3 is closest in meaning to which of the following?

The word “their" underlined in paragraph 2 refers to which of the following?

 

以上がリーディングで出題頻度の高い質問表現のパターンベスト3である。リスニングと比較すると、リーディングの質問表現はそこまで定型化されていない様子もうかがえる。(参考)ICU入試英語リスニング質問文-頻出表現の研究

一方で、ほとんどが典型的な英語リーディングのQuestionの範疇には収まっている。

Gallaudet UniversityのEnglish Centerは、英語の試験におけるQuestionのタイプを以下の5つに分類している。

1.COMPREHENSION(理解)、DETAIL QUESTIONS(細部の問題), FOLLOWING DIRECTIONS QUESTIONS(指示に従う問題,) MAIN IDEA QUESTIONS(主題の問題)、INFERENCE(推測)

Types of Reading Questions – Gallaudet University

ICUの入試も多くの問題がこれらのパターン内から出題されいる。ほとんどが内容理解の問題であり、語彙の問題が少数出題され、文法を直接問う問題などは読解問題であるPart Iではほとんど出題されない。文法問題は空所補充であるPart IIで出題されている。

英語対策,英語リスニング,一般選抜

ICU(国際基督教大学)入試英語リーディングの問題の頻出単語、表現の研究

今回はICU(国際基督教大学)入試、英語リスニング対策として、出題パターンを研究するため、過去のICUの英語リーディングの入試問題20年分(20010-2019)の読解パート(Part I)の質問文をデータ化し、登場した英単語の出現頻度を調べた。

 

調査の結果、ICU入試英語リーディングの質問文で最も出題される英単語のベスト100(109)は以下のものであった。"出現回数"はICU入試英語リーディングの質問文に登場した回数を示す。

集計された単語の出現回数を元に、ICU入試英語リーディングの出題傾向を分析する。

・5W1Hで一番使われるのは?

英語の質問文では、5W1H(6W1H)が重要であるとされるが、実際の質問文での登場回数には偏りがあった。

which 165
what 140
why 31
how 20
when 6
who 1
where 0

概ね傾向は前回分析したリスニングに近く、which, what等が非常に頻繁に質問文に登場する。whichとwhatを用いたQuestionには一定のパターンが認められたので、この点に関しては、コロケーションの分析として後日掲載したい。

その反面、whoやwhenはほとんど登場していない。whoはわずかに1度、そして"where"を用いた質問文はICUの英語リーディングの過去20年間で1度も登場していない。

whoに関しては、ICU入試で出題される英文は学術論文であるから、学術論文の筆者が学者や研究者であることは自明の理である。また、そもそも学術論文は小説ではないので、文中の動作などの主体が誰であるかが曖昧な文章であってはいけない。

また、whereに関しても過去20年間に全く登場していないが、これは会話文のように例えばレストランでの会話などのように「会話の場面」が問われることがないというリーディングの特性であると考えられる。会話文であればそれぞれの場面、場所にあった表現を用いる事が求められるが、学術論文は、学術的なルールに従って論述する事が求められる。よって学術論文で「場面」を問うのは不自然とも言え、また文中で場所に言及するのであればその旨は誰が読んでも明確になるようにしておくべきである。

リーディングのQuestionに特有の頻度の高い英単語は何か?

以前に分析を行ったリスニングQuestionでは、"Lecture"、"Woman"、"Man"、"Speaker"など、放送講義や話者に言及するリスニング特有の表現が多く登場していた。

(参考)ICU入試英語リスニング質問文頻出英単語ベスト100の研究

一方、今回分析を行ったリーディングQuestionではリスニングには登場しない、論文特有の英単語が多数出題されている様子が分かる。

paragraph 177
text 90
underlined 76
writer 72
author 25

リーディングとリスニングではQuestionに登場する語彙が違うことを認識しながら、それぞれの出題パターンに慣れておくとよい。これらの単語はリーディングQuestionでは出現回数がとても多いにもかかわらず、リスニングではほとんど登場していない。

ICUの入試では、英語の試験はリスニングが先に実施され、リスニング終了後すぐにリーディングの回答時間となるため、頭を切り替えて試験に臨みたいところである。

 

どのパラグラフが一番出題されるのか?

同じデータを用いて、ICU入試英語リーディングの問題過去20年分のQuestion(質問文)の中で、どのパラグラフが問われているかをカウントした。なお、基本的にパラグラフ番号は"paragraph 1(2,3…)"の形で表記されるが、"1st paragraph"、"first paragraph"などの形でも出題される事があるため、それらも合算してカウントしている。

分析の結果、ICU入試英語リーディングのQuestionで多く登場したのは、パラグラフ1, 2, 3であった。つまり英文の前半ほど「パラグラフの主題や役割」、「パラグラフ内の下線部の意味」が問われやすい。その一方で、後半のパラグラフになるほど、パラグラフ内の特定の箇所が質問の直接の対象となる頻度は少ない。

以上の傾向から、英文の前半は精読し、後半は速読すると回答の効率が高まりそうである。

実際に論文の構造として、冒頭の段落で論文の条件設定や背景説明、学術用語の説明をした上で議論を展開する事が多いので、英文の前半ほど細かな内容を述べている場合が多く、前半のパラグラフの方が英文の理解を問う問題が作りやすい傾向があるものと考えられる。

Questionは全般に平易な表現を用いて作られている

上記のQuestionの頻出単語を見ても分かるように、上位の単語はすべて基本的な英単語であり、この表に登場しない出現回数5回未満の単語の多くも平易なものであった。英語本文や選択肢には難度の高い英単語も度々登場しているのだが、少なくともQuestionに関してはシンプルで明快な表現がほとんどである。

また、概ねOxford English Corpusの分析した英語テキスト全般の頻出単語のリストのトップ100 wordsの内容にも近い。

https://en.wikipedia.org/wiki/Most_common_words_in_English#100_most_common_words

Questionの読み取りに関しては語彙力というよりは瞬時に問題の意図を把握する判断力やスピードが問われていると言える。その上で、特にWhichやWhatを用いたQuestionには特定のパターンがあるため、次回以降のエントリーで論じる。

 

 

英語対策,英語リスニング,ICU総合教養対策(ATLAS),一般選抜

ICU入試では、ATLAS(総合教養)と英語リスニングにおいて放送型試験が採用されています。結果的に、入試の約半分が放送を伴う試験で構成されています。これは他大学の入試問題にはない、ICU入試の大きな特徴の一つです。

また、近年はICU入試では、英語リーディングのみならず、人文社会科学でも長文が出題されており、長いテキストをいかに読みこなすかという事も重大な要素になっています。

このようなICU入試の試験形式の対策にはオンレクで利用可能なボイスエイド音声化ファイルを用いると効果的です。オンラインレクチャーでは、すべての英語リスニング、ATLASの過去問放送音声を聞くことができます。それに加えて、すべての英語リーディングの読解問題、人文・社会科学のすべての過去問の音声化ファイルも用意されています(1988年以降の過去問)。

英語リーディングと人文・社会科学の音声化ファイル(ボイスエイド)は他所では絶対に手に入らないもので、これを活用することで、特に解き終わった問題の復習が容易に行えるようになります。

もちろん最新の2019年度の英語リーディング、人文社会科学も音声化されています。最新のサンプルを以下に掲載しますので、参考にしてみてください。

2019年度人文社会科学ボイスエイド音声化ファイル(部分)

2019年度英語リーディング音声化ファイル(Part1 Text2)

英語リーディング、人文社会科学はともに文章量が多いため、解き終わった後の文章を読み直したり復習したりするのは必ずしも容易ではありません。しかし、せっかく解いた問題、読んだ論文を読みっぱなしにしてしまうのはとてももったいないことです。本文読み上げの音声ファイルを活用して、いわば受動的に本文を聞き直すことで、効率的に学習を進める事が可能です。特に英語リーディングでは速読をするために英文を「前から読む」(日本語の語順に直して読まない)事が重要ですが、音声化されたファイルに沿って本文を読んでみることで、自然と英語の文体に慣れることができます。さらに単語の発音や、論文に特有な表現、漢字等の読みも習得できるので、それらの表現や、論文の背景知識等の記憶の定着度が、黙読だけの場合よりも大きく改善することが期待できます。

その上で、先の試験構成の図で見たように、ICU入試のおよそ半分は放送が伴う試験というイメージですが、読解型の試験の過去問を演習する際にも音声化ファイルを用いることで、放送型試験への対策を効率的に行うことができます。

オンラインレクチャーの案内ページはこちら

英語対策,一般選抜

近年ICU(国際基督教大学)入試の英語リーディングは3長文+空所補充の出題形式となっており、入試制限時間60分で終わらせるにはスピーディに回答を進めていく必要がある。

まずは英語リーディングの出題形式を確認する。

ICU入試英語リーディングの問題構成

上の構成図に見られるように、ICU入試の英語リーディングは、2パートで構成されている。

Part Iでは3つの長文読解問題で、各長文の長さはおよそ800 words程度。内容理解を中心に、8問の読解問題が出題される。

Part IIでは、400wordsほどの長文に12カ所の空所があり、その空所に当てはまる語句を選ぶ、空所補充問題。

2019年度の例では、全パート合計で約2800wordsもの英文が出題されたが、試験時間が60分と非常に短い。このような大量の英文が短い試験時間の中で出題されるICU入試の英語リーディングにおいて、各問題をどのような時間配分で解くべきかを考えてみたい。

ICU入試英語リーディング(制限時間60分)の時間配分

上図のパターンAで見られるように、各問題を15分ずつで解くと、ちょうどすべての問題の時間配分が均等になる。ただしPart Iの各textを15分で解くのは相当な速読力が必要である。

現実的にはパターンC程度の時間配分が多くなると考えられる。このパターンでは、Part Iの長文読解のtextを各17分で読めば、Part IIの穴埋めに9分残る計算になる。

パターンD, EはそれぞれPart Iの各textを18分、19分で読んでいるが、ここまで時間をかけてしまうと、Part IIの回答時間が6~3分しか残らないことが分かる。

経験上Part IIにはできれば10分弱の時間を残したいので、まずはパターンCのように、各textを17分程度で解く事を当面の目標とした上で、最終的に各textを15分程度で解ければ、余裕を持って全問を解くことができる。

なお実際にはすべての長文が一定の時間が解ける訳ではないので、Text1 19分→text 2 15分→text 3 17分など、全体として目標の時間で解く事ができれば問題ない。

以上を踏まえた上で、ICU入試英語リーディングの時間短縮のコツと学習法を以下に書き出してみた。

Part I(長文読解)の回答時間を短縮するコツと学習法

1. 3つの長文がそれぞれ人文科学、社会科学、自然科学から出題される年度が多いので、自分が得意な分野から解き、苦手な分野の長文は後回しにする。

2. 各長文に付された8問の読解問題は、概ね長文の文章の順番通りに出題される。よって、長文を一気に読むのではなく、随時設問を解きながら、長文を読み進めた方が効率がよい。

3. 出題パターンによっては設問で全く問われないパラグラフもある。全部のパラグラフを均一のスピードで読むのではなく、設問で問われている箇所を重点的に読み、問われていない箇所は素早く読む(場合によっては読み飛ばす)ように訓練する。

4.  設問の難易度は一定ではない。回答に時間がかかる問題、一読して分からない問題は潔く飛ばし、短時間で確実に答えられる問題を見逃さずに答える。

5. 出題される文章は学術的な内容が多く、また設問の内容にも一定のパターンがある。ICU入試の過去問を遡っていくと出題される範囲の語彙と解答のパターンが身につくので、過去問を中心に勉強をすると効率がよい。なお2017年より前の年度は各長文10問の出題であるから、ランダムに2問を消して8問を素早く解く練習をするとよい。

6. 過去問演習の際は1長文あたり20分~15分の解答目標時間を定め、時間内に終わるように訓練しながら、「全部を均等に読まない」「どこでスピードアップするか、省くか」のコツを自分なりに習得して、過去問の数をこなすことを考える。

Part II(空所補充)の回答時間を短縮するコツと学習法

1.  400wordsほどの英文に12カ所の単語(もしくは短い語句)を補充するとうい独特の出題形式であり、Part I以上に慣れがものを言うが、類題は市販の教科書や問題集にはあまり掲載されていない。よって、ICUの過去問で演習を行うと効率よく学習できる。ICU入試の出題形式は大きく変わっていないので、過去問をよく研究して、空所補充問題のパターンを習得し、素早く解けるよう訓練をする。2017年より前の年は20問で出題されているので、演習の際の制限時間は適度に調整する。制限時間内に解く練習をしたい場合は、ランダムに8問を消して12問にして解いてみてもよい。

2. 文法がものを言う問題もあるが、空所補充の特性上、出題される文法の分野に偏りがある。よって、ゼロから分厚い文法帳を暗記しようとするのではなく、ICU入試英語リーディングのPart IIの過去問を解きながら、出題された箇所の内容を文法書・文法問題集で随時参照にするようにする。

 

英語対策,一般選抜

今回はICU国際基督教大学入試の英語リスニングの対策方法を、問題構成と放送時間を図解を交えて解説していきたいと思います。

まずはICU入試の英語リスニングの全体の問題構成です。

<ICU入試の英語リスニング問題構成>
問題数:全30問(Part I:10問、Part II:5問、Part III:15問)
放送時間:約30分 (Part 1:5分、Part II:5分、Part III:20分)

ICU入試の英語リスニングは全体で約30問、その内Part Iが10問、Part IIが5問、Part IIが15問出題されます。

放送時間は全体で約30分で、Part Iが約5分、Part IIが約5分、Part IIIが約20分の放送時間です。放送時間の長さは年度によって異なります。

Part 別の傾向と対策を見ていきます。

<ICU入試英語リスニング Part I>

<ICU入試英語リスニング Part Iの傾向>
問題数:10問
放送時間:全体で約5分
構成:10の短い会話文 (約15秒の会話が10個)
解答時間(会話後の無音時間):10秒

英語リスニングのPart Iは10の短い会話文が出題されます。1つの会話文につき1つの問題が出題され、計10問が出題されます。会話の長さは15秒程度、それぞれの会話文の後に10秒の解答時間(無音時間)があります。なお、その他Partも同様ですが、ICUの英語リスニングでは、問題文と選択肢は問題冊子に印刷されており、放送されません。

<Part I 対策法>

会話文が10数秒、解答時間(無音時間)が10秒ですので、非常に速く試験が進行します。まずはこのスピードに慣れることが重要です。

ICUの場合問題冊子に問題文と選択肢が印刷されていますので、できれば問題を見ながら放送を聞く訓練をした方がよいでしょう。

また、会話の内容は大学生活に関連した、大学のキャンパスでの会話が中心です。よって、過去問の内容は繰り返し出題されており、類題が多くでるため、過去問を教材として学ぶと入試対策として非常に効率がよいです。ちなみにリスニングの内容はCU入学してからも大いに役立ちますので全く無駄になりません。

その他の教材の方向性としてはTOEFLなど、留学を目指す人向けの教材をこなした方がよいでしょう。TOEFLは、非英語圏からの留学生が、英語圏の大学でやっていけるかという視点から、受験生の英語力を測るものなので、ICU入試の英語にとても類似しています。一方で、TOEICなどのビジネスパーソンも多く受ける試験とはやや方向が異なるかもしれません。

<ICU入試英語リスニング Part II>

<ICU入試英語リスニング Part IIの傾向>
問題数:5問
放送時間:全体で約5分
構成:2つの長い会話文 (約1分30秒の会話が2個)
解答時間(会話後の無音時間):1問につき15秒

Part IIでは2つの長い会話文が出題されます。Part IIの会話文はPart Iより長く、Part Iでは長くても2人の話者が1度か2度発言する程度でしたが、Part IIでは2人の話者が10回程度ずつ発話します。Part IIの問題数は他のPartより少なく、計5問が出題されます。例年、1つめの会話文で2問、2つ目の会話文で3問が出題されます。

<Part II 対策>

傾向はPart Iとほぼ同じです。大学でのキャンパスでの会話が中心で、大学生活に関連した内容が出題されます。Part Iより会話が長い分、多くの場合何らかのトラブルが発生し、それに解決するといった、込み入った内容の会話になる事が多いです。よって、会話文を「何が問題で、それをどうやって解決しようとしているのか」という点に注目しながら聞くと、効率よく解答することができます。

<ICU入試英語リスニング Part III>

<ICU入試英語リスニング Part IIIの傾向>
問題数:15問
放送時間:全体で約20分
構成:3つの講義 (4-5分の講義が3個)
解答時間(会話後の無音時間):1問につき18秒(各講義後、90秒の解答時間で5問)

Part IIIでは3つの講義が出題されます。前半の会話パートに比べると分量が非常に多く、各講義500-600 words程度あり、各5分程度で読み上げられます。他大学のリーディングにも匹敵する分量で、内容も大学での講義を前提としており、難度が高いPartです。

<Part III 対策>

3つの講義が出題されますが、その内容は総合教養(ATLAS)と同様に、人文科学、社会科学、自然科学の3分野を意識して出題される事が多いです。特に1つは自然科学分野から出題されます。人文科学、社会科学は明確な区分なく出題される事が多いですが、近年世界で議論されている社会問題などは毎年のように出題される頻出の分野です。

いずれにしても幅広く学術的な講義が出題されることを念頭に、自分の得意な学術的分野を作れるよう、ICUの過去問を中心にリスニングの演習を重ねていきたいところです。

<ICU入試英語リスニング対策のまとめ>

・全体に解答用の時間が短い。問題文と選択肢は問題冊子に印刷されており、実際の試験でもそれを見ながらリスニングの放送を聞くことができる。問題冊子を見ながら、問題を解きつつ、リスニングの放送を聞く練習をする

・Part I,IIは大学生活を意識した実践的な英語表現が多い。結果的に、過去問に類題が多く見られるので、過去問を中心に学習すると効率的に対策できる。

・Part IIIは非常に幅広い範囲から出題される。入試対策としては、様々な学術的な英語を聞く演習を、過去問を中心にする。人文・社会・自然科学の3分野がある程度意識されて出題されているので、背景知識の習得を含めて、得意な分野を作っておくとよい。特に近年の社会問題、環境問題などは頻出。Part IIIはI,IIに比べると明らかに難度が高いので、Part I,IIはなるべく多く得点するようにしつつ、Part IIIは「この分野の講義ならよく分かる」という得意分野を作れるようにする。

英語対策,一般選抜

(高1から継続的に英語の資格試験の勉強をされていたということですが、
大学受験の勉強を本格的に始めたのはいつ頃でしょうか?)

校3の春休み頃です。

アメリカのコミュニティカレッジへの進学は、現実的には資金面や就職等の面で厳しいということが周りのアドバイスなどで分かってきました。

そこからは日本の大学に進学しようと思い、受験勉強も意識するようになりました。

(予備校等には通いましたか?)

はい、でも通い始めたのは遅くて、予備校に入ったのは高3の7月です。

また入ってすぐの8月の終わりくらいに体調を崩してしまいました。
体調不良と、精神面もあって、しばらく勉強できなくなってしまいました。

その時期は学校も休みがちになってしまって、授業に出られないというくらい落ち込んでいました。

本当に生活もままらない状況で、何とか勉強に戻れたのは11月頃でした。

この時期に勉強できなかったのは大きなロスでしたが、その分得意の英語を中心とした受験に特化するようになしました。

(ICUの対策はいつ頃から?)

7月申し込んでから1ヶ月くらいはいろんな問題をやっていた
英語やリベラルは比較的得意でしたが、人文・社会がネックになっていました。
そこから勉強できない時期に入ってしまって、その後11月ぐらいに軽い気持ちで解いてみたら楽しく解けました。

(どう立ち直ったのですか?)

本当に精神的にまいってしまっていて、でもこのままだと堕落していって二度と立ち直れなくなるなと。

どうせ落ち込んでいるならば、今は何かしら勉強に目標を建てて、何かした方がよいと思うに至りました。
目標を建ててそれに向かってやっていこう、それが自分には救いになりました。

目標という部分から立ち直った

結果ICUに入れて、間違いではなかったと思います。

(時間的には厳しかった?)

そうですね、英語は高1から継続的に勉強していたので得意でしたが、いわゆる受験科目は全く間に合わないと思ったので、世界史などは受験の参考書ではなく、一般書で勉強するようにしました。2時間で分かる世界史、みたいな本です。

結果的に大局的にエッセンスだけを見るような勉強になりました。

(世界史はICU用に勉強されたのですか?)

ICU用でもあるのですが、私大のセンター利用等にも使おうと思っていました。
ただやはりインプットの面で間に合いませんでした。
センターの待ち時間に勉強して、「こういうことなのか」と驚いたりしていたレベルだったので(笑)。
間に合わなかった

結局英語と国語で勝負するような形になりました。

(自分も英国型の受験の研究を長年していますが、英語に特化して暗記色があまりない、実践的な勉強ができる反面、志望校が限られて、かつレベルが高い大学・学部が多くなってしまうという面もありますね?)

そうですね、結局ICUを第一志望、早稲田国際教養を第二志望として、その他獨協の外英と中央の総合政策を考えていました。ただ調べると英国型もいろいろあって、比較的取り組みやすいレベルの大学でも英国型の受験は可能だったと思います。

自分の場合最終的には獨協や中大レベルを確保しつつ、第一志望のICUに専念するような形になりました。

(英国型の受験に関してはどのように考えますか?他の受験生にも勧められる?)

自分の場合夏頃勉強できなかったので、やや矛盾してしまいますが、文系であれば世界史とか社会とか理科とかは嫌いでも教養程度でも身につけておいた方がよいと思います。

世界史等は受験勉強としては十分にはできなかったが、知識でも断片的にでも入っていたのは意外に大きかったです。

例えば国語の小論とか英語とかで背景知識として、各種高校科目の内容が登場するんですよ。

世界史でナポレオンがどうしたとか、逸話とかそのまま現代文に登場したり。

背景知識、日本史、世界史、がっつりやっていなくても以外なところでも役立ちます。

英国だけやるのはいいかもしれないが、がっつりでなくても教養レベルで他の科目に触れた方がよいと思います。

センターレベルでも十分に知識になります。

実際の試験でも役立ちました。これってこのことを言っているんだろうなみたいな、類推が可能になる。背景知識が分かっていれば、内容の理解に費やす時間が短くなる。
問題で問われていることに集中できる、というイメージです。

英国の二科目は最後は背景知識の勝負になるので、二科目だけやって伸びるかというと案外そうでもないのです。

二科目にするなるにしても二学期くらいまではちゃんと勉強しておいた方がよいと思います。

その後の選択肢がかなり狭まってしまいますので。

(次回に続きます)

英語対策,一般選抜

今回は英語・国語を中心に大学を受験し、ICUに合格されたTENZANさん(2013年度向けBUCHO.NET ICU対策オンラインレクチャー受講生)にお話を伺いました。

(英語を得意とされているということですが、海外経験は全然ないのですね?)

高校の時語学研修で約1週間カナダにいったことはあるのですが、海外住んでいた経験などはないです。

(なるほど、英語を得意にされているのはどうして?)
そうですね、元々英語が好きというところが大きいと思います。

またカナダの研修も、ある意味で刺激になっていて、とにかく知っている難しそうな言葉をただしゃべるだけでは意味がなく、全然通じなくて、難しい文法や語彙を知っているより、まずはコミュニケーション能力を高めることが大事だと痛感しました。

そこで実践的英語へのこだわりが出てきました。

そして、高校を卒業したらアメリカのコミュニティカレッジなどに進学したいと思っていて、その意味でも積極的に英語を勉強していました。

(具体的にはどのような勉強をされましたか?)
高1年生の時に英検準一級を受けまして、最初は英検の試験対策をよくやっていました。

コミュニティカレッジの進学を意識してからは、TOEFLの対策もやりました。
(英検とTOEFLはそれぞれどのようなスコアですか?)

英検は高1の時に準一級を取ったので準一級ですね。ちなみに高3で一級も受けていますが、これは3点差で不合格でした(笑)。英検は一級までいくと英検独特の語彙などが出て、専用の勉強が必要になりますね。

TOEFLはiBTで85点くらいです。

(留学経験なしでPBT560点程度というとかなりのものですね、高校は進学校ですか?)

一応進学校ではありますが、公立が優勢な地区の私立校という感じで、トップの進学校とかそういうレベルではなかったです。
(なるほど、英検やTOEFLはICU(国際基督教大学)入試など大学受験にも役立ちますかね?)

そうですね、自分の場合あまり大学受験というよりは、英語の実力なり資格なりを身につけたいという意識が先にあったのですが、結果的には役だったと思います。

(具体的にはどういうところが?)

入試だと高1で勉強しても結果が出るのは高3の受験時まで分からないし、しかも合格するか不合格かの2通りしかないという世界です。でも資格試験なら、例えばTOEFLなら毎回スコアが出るし、英検も準一級の次は一級とか、目標を持って勉強できる。そういう意味で、いきなり入試を目標にするよりは、英語の資格試験の勉強を中心にやっていくと目標を明確にできてよかったと思います。 特に高1、高2の頃は入試とかイメージしにくいですし、実際に日程も先の話ですからね。
(ICUの英語の入試対策としてはどうでしょうか?)
TOEFLはICU入試に形式も近いし、役だったと思います。

特にリスニングはICUのリスニング対策としてとても役立ちました。

ICUのリスニングは、前半は比較的取り組みやすく、会話のセクションはセンタープラスアルファで十分対応できるかと思いますが、後半の長い講義の聴取りは、それなりに訓練しておかないと高得点は取れないところです。

TOEFLにも講義の箇所があって形式も似ているので、この点は特に役立ちました。

(具体的にTOEFLや英検はどのように勉強されていましたか?)

基本的には市販の教材を活用していました。

英検やTOEFLは市販の教材がとてもたくさんあって充実している上に、同じターゲットの試験を目指していることから、内容にもある種一貫性があります。

なので自分に合うテキストを見つけながら、段々とレベルを上げていきました。

入試だとセンターレベルとか、やや曖昧なところがありますが、資格試験なら、英検準一級とか、TOEFLなら500点超とか、より具体的なレベル別にテキストがある点も、資格試験の勉強しやすいところだと思います。

(次回に続きます)