ICU学生新聞WG 2016年度入試特別号掲載記事(2016年2月5日発行号、6,7面)
毎年BUCHO.NETが執筆しているICU学生新聞の入試特別号の掲載記事です。
ICU学内新聞が2016年度入試受験生向けに発行した新聞で、2016年度入試の予想と2015年度の問題分析に関する内容を記事にしております。
2016年度ICU一般入試受験者数と新入試の傾向と対策
<志願者数は例年並みに>
2016年度のICUの一般入試(A方式)志願者数は1,578人と、昨年度の1,894人を下回ったが、1,600人前後で推移している近年においては標準的であった。下のグラフは過去6年間(2011-2016年度)のICU一般入試志願者数を表したものである。
2016年度の志願者数は一昨年度の2014年度とほぼ同じで、2015年度が例外的であり、元の水準に戻ったという見方ができる。
<受験生への影響は?>
受験者数が減ったということは、受験生にとってはライバルが減って若干有利になるかもしれないということだ。ただし例年の傾向から、大幅に易化することはないだろう。ICUの入試では、志願者が増えた年は合格者が増え、志願者が減った年は合格者がやや減る傾向がある。
直近の事例としては、2014年度の志願者数は2016年度とほぼ同じ1,576人であったが、合格者は549人であった。過去の傾向から見て恐らく今年度は合格者数が減るので、2014年度と同じく550人程度、倍率2.8程度が目安になるだろう。さらに、ICUには補欠合格がない。昨年度は一連の報道で、一過性のブームとして志願者数が増えたとの見方もでき、それを見越して、やや多めに合格者を出していたものと考えられる。以上を勘案すると、今年度の合格者数は昨年度と比較して減少すると思われる要素が多いが、倍率は去年よりは低くなり、総合的にみると合格水準は若干易化することになりそうだ。いずれにしても一定水準の受験生は合格させるというスタンスは変わらないはずだ。受験者数の増減をあまり気にせず、自分なりにベストを尽くして入試に取り組もう。
<新試験の傾向と対策>
2015年度からICUでは新しい試験が導入されている。新規科目の総合教養(ATLAS)をはじめ、既存の教科でも変化が起きている。以下科目別に分析を行いたい。
1A.人文・社会科学-長文化の傾向
2014年度まで人文科学、社会科学はそれぞれ試験時間70分の独立した科目であったが、2015年度に統合され、「人文・社会科学」という試験時間80分の科目となった。日本語の長い論文を読み約40問の問に答えるという従来のスタイルは変化していないものの、80分の試験時間に合わせて、本文が長くなっている。下の表は過去の人文科学および人文・社会科学(※)の本文の文字数と問題数をまとめたものである。
過去の傾向として約10,000文字というものが定着していたが、2015年度は12,000文字を超える本文が出題された。過去の年度より1,000-2,000文字程度多く、文章量が多い。また、問題数も1問増え、41問で実施された。試験時間が70分から80分に増えた分だけ文章量が増え、問題数も若干増えた形である。今年度の試験も同様の形式になると予想されるので、人文・社会科学の選択者は時間配分に注意する必要がある。実際の試験においても、まずは試験開始と同時に本文のページ数と、設問の最後の番号を確認し、文章量と問題題数を確認しよう。本文のページ数は例年B5サイズで9ページ程度、昨年度は参考文献を含め10ページである。
1B.自然科学一筆記問題導入で難化.人文・社会科学と同じく、2015年度から試験が80分間で実施されるようになり、それだけ問題が難化している。2014年度まで、自然科学を含む全ての科目がマークシート方式であったが、2015年度より、自然科学の4教科すべてで筆記問題が導入されている。さらに、数学では数値選択問題が新たに登場した。下図は2015年度の自然科学における設問の方式をまとめたものである。
(*数学と生物は、1つの小問で複数の記入欄がある設問があったため、記入箇所の合計は小問数と一致しない。)
上の図でみられるように数学のみ4択問題が少なく、数値選択問題があるため、回答に時間がかかる。今までの試験は4択問題のみであったので、概算をすれば答えにたどり着けるケースがほとんどであったが、昨年度からは最後まで計算する必要がある問題が増え、難化している。その他の科目では数値選択問題はないものの記述問題が導入されており、結果的にすべての科目で正確な答案作成が求められるようになった。特に数学選択者は過去問での想定より回答に時間がかかることを念頭において、もう1つの科目を素早く解くなど、時間配分には十分に注意する必要がある。なお、自然科学では4つの科目が1つの冊子に印刷され、試験中にこの内の2科目を選択する形式であるため、実際に各科目の問題を見てから決めることができる。特に記述問題は正確に書く必要があるため、1問でも多く答えられる科目を選択したい。
2.総合教養(ATLAS) – 読解色が強い問題
2015年度から「リベラルアーツ学習適性」に代わり、放送講義型の試験「総合教養(ATLAS)が導入されている。総合教養は4つのPartに分かれており、Part Iでは講義に直結した問題、Part II-IVはそれぞれ講義に関連した人文科学、社会科学、自然科学の論文を読んで答える問題であった。試験時問は80分、講義の放送時間は14分であったので、実質的な回答時間は66分であった。事前に問題冊子と封筒が配られ、講義の放送終了までは問題冊子の内容を見ることができないという形式であった。別途メモ用紙が配られた。注目すべきはPart II以降の論文の文章量である。事前にICUから示されたサンプルでは1,000文字程度の論文が3つ掲載されていたが、実際の試験では、各論文が2,000文字以上あり、論文読解の傾向が一強い問題となっていた。ただしPart IVに関しては掲載されている論文と問題の関連は薄く、必要な箇所だけを読めばよいという内容であった。
2015年度総合教養(ATLAS)の各Partの論文の文字数
3.英語-リスニングが長文化の傾向
英語リスニングに関しては昨年度までの試験形式を継承しており、他の科目と比較するとあまり大きな変化はなかった。ただし近年リスニングの単語数が増加しており、難化傾向にある。以下は過去5年間のリスニングの単語数をまとめたものである。
リスニングでは2014年度から長文化の傾向が顕著となっており、全体で2,200 Wowsを超えている。特に英語での講義を中心としたPart IIIが長文化しており、2014年度以降は、Part IIIの3つの講義は全て400wordsを超えている。ときには500 wordsを超える出題もみられ、最後まで集中して試験に臨むことが求められている。筆者はICU OBで、入試情報サイトを運営。過去問や総合教養の再現問題は下記URLを参照。【BUCHO】
【https://icu.bucho.net】(「ICU BUCHOで検索!)
PDFファイルはこちら