一般選抜,編入・転入本科

地方公立女子大学からICUに編入したNさんのインタビュー第4回

(それでは実際の試験の様子をうかがえればと存じます。ICU(国際基督教大学)を受験されてみての印象はいかがでしたか?)

ICUの入試は現役のときに受けた他大学よりもアットホームな雰囲気でその印象が強く残っていますね。

これは現役の時のことですが、試験監督の先生の自己紹介から始まりました(笑)。

「○○デパートメントの○○です」というような。

それから英語の時間の前に「皆さんノビをしましょうといって」ストレッチの時間があったりとか(笑)。とにかくICUのアットホームさにびっくりしました。お茶も置いてありましたし。

(なるほど、今回受けたトランスファーの試験会場何人くらいいらっしゃいましたか?)

少し記憶が曖昧ですが、2教室あって、1教室に関してはほぼ埋まっていました。

ちなみにトランスファーは高校生とは教室が別れているので、ほかの全員も同じように大学生であるということを考えると緊張しました。同じ境遇なんだなと親近感も覚えましたけどね。
(やはり2回目でも緊張はするものなのですね?)

そうですね、でも1回受けているから、現役時に比べたら、まだ心の余裕があったように思います。もし不合格でもすでに大学生ですし。

(なるほど、トランスファーではなくて一般入試にしようとは思われませんでしたか?)

家庭の事情的にトランスファーでしたね。ICUに行くとしたらと編入と決めていました。

(どっちが難しいですかね?)

学校の説明では同じで、実際のところはよく分からないです。

ただ受かった人の話を聞く限り、前の大学が何かしら国際関係で英語が得意な人が比較的多いかなという印象でした。

津田塾英文科とか海外の短大出身の方とか。

もちろんその他の学部の方なども多くいらっしゃいましたが。

(なるほど、一般入試の場合高校の調査書を出しますが、編入試験の場合は何を提出するのですか?)

一般入試と違って大学の在学証明書が必要ですね。
後はちょっと記憶が曖昧ですが、高校の調査書も出したような気がします。
高校に取りに行った記憶がありますので。

(実際の試験科目に関して伺います。どの教科がよくできましたか?)

できたのは人文と社会ですね。
リベラルは感覚では半分強、
最後の英語は少し力尽きました。
(オンレクの効果は感じましたか?)

パターン化している問題に関してはとても有効だと感じました。

また、人文・社会科学対策も有益だったと思います。

実際に受けた人文の問題は読みやすかったです。
(なるほど、得意にされていたICUの人文・社会科学の問題は、問題を解きながら読むのですか?)

私の場合は、まず文章を読むのですが、ずっと読んでいると最初の文章を忘れてしまいます。なのではじめの方の箇所はしっかり読んで、
中間ななめ読みをして、終わりの方をまたちゃんと読む
というパターンで読んでいました。

論文の中間を飛ばして読む、イメージですね。
後は問題を読みながら、その箇所に戻って読むようにしました。

オンレクで過去問をやりながらいろいろ試してみたのですが、最終的にそのようなパターンに行き着きました。

(自分の場合20-25分程度でまず完読してしまいますが、Nさんの場合、論文の本文を読む時間はどれくらいですか?)

私の場合は10分かけないで一度読んでしまいます。

(そんなに速いのですか)

はい、でも熟読するわけではなうて、まず大まかにどのような話をしているかしか読まないように心がけて読んでいました。
一度概要を理解して素早く読んだ後に、問題を解きながら、細部を読むようにしていました。
(最後の英語はいかがでしたか?)

実は人文・社会はものすごく集中して解いて、何か英語の時間の前にエネルギーを使い果たしてしまったという感じがありました。集中力が途切れたと言いますか。

リスニングも序盤はオンレクでパターンを知っている問題ばかりだったのでまだ余裕があったのですが、長文問題に入ってから集中力を失いました。

リーディングも完全に消耗していて、大問3つの内、1つの大問に30分も時間を費やしてしまいました(試験時間60分)。次の問題は急いで解きましたが、最後の穴埋め問題は時間がほとんどありませんでした。
問題を見て文法だけで解ける問題を急いで解きました。

ICUの試験は長丁場なので、とにかく集中を切らしてはいけないですね。
最後の英語あたりが一番集中力が必要だと実感しました。

このあたりは1日に4教科全てを解いていなかった影響が出たかもしれません。

(編入を体験して、これが合格には必要だったというものはありますか?)

一番は過去問に慣れたことだと思います。

勉強としてはほとんどオンレクのみで過去問を中心に勉強をしました。

ICUの入試では広い分野から出題されるので、それらの分野を全部勉強するというよりは、過去問で出た問題を復習する形で、別の資料もやるとしたらやる、という感じでした。
後はオンレクは解説がおもしろくて、コラムとか、受験アドバイスが意外に役立ちました。

(現役の時の違いはありますか?)

過去問の解き方が分かっていたこと、後は2年目の心の余裕ですね。

(ICU受験生へのメッセージをお願いします)

とにかく過去問は早い段階からやっておいた方がよいです。
現役の時は間に合わなかったという印象でしたので。

また、トランスファーに関しては、合格後の説明会等を通して、編入生同士で仲良くなって、協力する意識も大事ですね。人数が少なく、手続きも少し特殊なので、情報共有することが大事です。

(ありがとうございました。)

一般選抜,編入・転入本科

地方公立女子大学からICUに編入したNさんのインタビュー第3回

(ここからは受験勉強の様子などをうかがって参ります。大学に在学しながらの受験勉強で、ICU対策はいつ頃始めましたか?

受験勉強は夏休みに入ってから徐々にやり始めました。受験当日は、早起きをして東京まで受験をしに行くことがわかっていたので、毎日朝5時に起きて生活リズムをつくりました。勉強は、学校の授業がない時間と朝学校に行く前に主にしていました。

(5時起きはすごいですね、大学の授業とはどのように両立されていましたか?)

前大学が英語系のクラスが多かったので学校の授業をしっかり受けることが受験勉強につながることだと思い、 授業にはちゃんとでていました。実際に授業のおかげでリスニングがのびました。

(夏以降の勉強の内容を教えて下さい)

まずForestなどの参考書を使って、文法から始めました。文法は高校生のころからあまりみについていなかったのと、それなりに時間がかかるので文法から入った方がいいと思ったからです。

(大学生で比較的実践的な英語を習っている場合でも、文法やったほうがよいですかね?)
そうですね、英語の基本でもありますし、その後の勉強に役立ったと思います。特にICUの英語リーディングの場合、Part IIに穴埋め問題がありますので、試験対策上もやっておいた方がよいと思いました。

(なるほど。オンレクで過去問を解き始めたのはどれくらいの時期ですか?また、どれくらいの頻度で過去問を解きましたか?)

9月ぐらいからですね。初めのうちはゆっくりと解くようにしていて、1週間に1つの問題を解く程度でした。徐々にならしていったイメージですね。その後12月ぐらいからは週に3問ほど問題を解くように増やしていきました。ちなみに現役の時は赤本で過去問に取り組みましたが、赤本だといろんな意味で足りないです。取り組む問題はたくさんあった方が良いですね。

(受験勉強の時間はどのように確保されましたか?)

主に朝勉強していました。朝起きてから大学に行くまでの時間ですね。

(なるほど、勉強は朝やった方がよいですかね?)

そうですね、例えば1日の最後にやろうとすると、どうしても他の予定が押していたり、あるいは疲れていたりして、できないことが多いです。朝起きてすぐなら間違いなく実行できますし。また実際の試験も朝が早いですから、毎日同じ時間で起きた方がよいです。自分の場合は朝5時と決めていました。

(やはり最初はきつかったですかね?)

きつかったです(笑)。でも2週間くらいで慣れました。慣れちゃえばいけるという感じですよ。2週間続けると体もなれてきますし、そのためには1日でも崩さない方が良いですね。本で得た知識だと、毎日同じ時間に起きて生活リズムを整えた方が、記憶力も高まるそうです。

(なるほど、朝起きた方が体調もよかったですか?)

前の日にちゃんと寝れていれば大丈夫ですね。

(就寝時間は何時ぐらいですか?)

これも本などで得た知識ですが、1時間半の倍数を意識して就寝するようにしていました。
5時に起きるには3時間前、4時間半前、6時間前に寝るのがよいので、11時、12時半、もしくは2時に寝て5時に起きるようにしていました。慣れると熟睡できる上に、目覚めもよくなりました。

(なるほど、オンレクの過去問を週3問くらい解いておられたと言うことですが、直前期はやはり演習量を増やしましたか?)

いえ、直前期も同じようなペースを維持していました。直前期に最大にやった日でも、1年度全部解いたことはなくて、4科目中3科目、といった具体でした。オンレクの解説をしっかり読み込むとか、ノートを作るとか、やりっぱなしにしたくないという気持ちが強かったです。

(なるほど、ノートにはどのような内容を書いておられたのですか?)

書いていたのは人文と社会の内容の整理などですね。特に社会科学は知識問題がバラバラと出ていたので、こんなのから出たらいいなという意識でノートを取っていました。書くと自然に覚えるところもあって、自分なりにまとめて覚えることを意識していました。

(作成したノートを見直したりもしましたか?)

ノートの復習はよくやっていました。復習すると知識が定着しますね。

(なるほど、そのように勉強されていて、成績の推移はいかがでしたか?)

英語に関しては段々と上がっていきました。やるごとに少しずつですが伸びていった感じです。人文と社会に関しては、年によって読みやすさが全然違うので、成績は年度によるというところもありましたが、全体の傾向としては上がっていきました。いずれにしても論文の部分は年度の差が大きく、いろんな分野の論文になれてくるにつれて、全般に成績が上がっていきました。
(次回に続きます)

 

一般選抜,編入・転入本科

地方公立女子大学からICUに編入したNさんのインタビュー第2回

(前大学では比較的英語の授業が多かったということですが、ICUはELAがあって、他大学で取った英語の単位が認められないICUでは、単位編入が少し大変そうですね)

そうですね、実際には前大学で52単位取っていて、ICUに認められたのは22単位でした。トランスファー(編入)の場合、前大学の在学期間で編入できる単位が決まってきます。前大学に1年以上在学なら30単位、2年以上在学なら60単位です。いずれにしても最大で60単位ですね。

私の場合前大学に1年在学なので、上限の30単位中、申請したのは23単位で、その内22単位認めていただいたので、思ったより多く認めていただいたという感じですね。

(なるほど、もう少し単位編入に関して詳しく伺えればと存じます。単位編入の手続きというのはいつ頃行われるのですか?)

まず新入生向けのオリエンテーションの後で、トランスファー(編入生)向けの説明会があります。今年は単位編入の書類等の締め切りは5月のゴールデンウィークの前あたり、実際に編入の結果が分かるのは5月の半ばでした

手続きは転入生のための単位編入説明会にしっかりでることと、学校側が要求した書類を提出すれば大丈夫です。締め切りまでに間に合わない書類も、事情を説明すれば期限をのばしてくれたりするので、教務グループに行くことが大切だと思います。

(編入に際して面接等はありますか?)

私の場合はありませんでした。ただし分からない部分などが必ず出てくるので、いずれにしても個別に教務グループに行って相談する形になると思います。

(実際の申請はすべての授業を申請するのですか?それとも編入できそうなものだけ?)

私の場合は編入できそうな授業だけ申請しました。前大学が国際系の学部で英語の授業があったのですが、そのような明らかにELA的な授業は申請しませんでした。

ただ英語の授業でも、英語力をそのものの習得を目指すような授業は認められませんが、たとえば英語でイギリスの文化研究を行う授業は認められる場合があるなど、線引きは微妙だと思います。

(具体的にどのような書類が必要になりますか?)

まず前大学のシラバスをコピーして出す必要があります。それに成績証明書が和文・英文両方必要です。私の場合、前大学で発行された英文の成績証明書の授業名が間違ったりしていて、少々手間取りました(笑)。

(書類はいつ頃から用意されていましたか?)

合格発表が2月半ばで、編入の場合、ICUから必要な書類一覧が送られてきますので、それを参考に自分で書類を揃えます。
私の場合関東圏なので、前の大学に電話などをして書類を発行してもらい、シラバス等は一度取りに行きました。いずれにしても入学後1ヶ月後くらいが締め切りなので、その間は少し忙しいですね。

(前大学の退学の手続きなども必要ですね?)
はい、私立でも公立でも、大学側は用意していないと思いますが、退学証明書をICUに出す必要があります。
タイミングとしては4月に東京に来てからでも大丈夫でした。ただいずれにしても発行に時間がかかる場合もあるので、退学の手続きの方法などは各自で確認しておいた方がよいです。

(編入の結果はどのように通知されますか?)

まず結果が出た旨がメールで連絡があって、総務グループに編入結果の書類を取りに行きました。実際編入されたの23単位中22単位で、思ったより多く編入されたという印象でした。

(次回に続きます)

一般選抜,ICU入試統計倍率偏差値,志願者数・受験者数

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2013年度ICU入試は上記のような結果となった。一般入試では、2年連続で志願者数が増加している。早稲田、慶應など主要私立大の志願者数が減少している中で、志願者数が増加していることは特筆すべき点であり、4月帰国生特別入試、社会人入試、AO入試でもそれぞれ志願者数が増加している。総合的にみて、ICUへの評価が高まっており、同時に、地道な広報活動の成果等が現れているものと見られる。なお来年度から募集停止が告知されているセンター入試に関しては、志願者が減少している。

2013result022012result02

(科目別合格者はBUCHO.NET調べで、公式の統計ではありません)

次に、一般入試の受験科目別の人数を見ていくと、今年度は自然科学の合格者が多かった点が特徴的である。過去数年間は自然科学の合格者が70-80名程の水準にとどまっていたが、今年度は116名合格しており、結果として、2009年以来久しぶりに社会科学の倍率が自然科学の倍率を上回った。この変化の背景として自然科学出題難度等の変化や、得点補正等の影響、理系の学生の確保、センター入試募集停止への布石など、様々な要因が推察される。

一般入試全体の合格者も565人となり、これは合格者を絞り込む傾向が見られる、2009年度以降では最も高い水準である。結果として倍率もやや低下しているが、最大のボリュームゾーンである社会科学の倍率は昨年度からあまり変化しておらず、ICUの公表する合格最低点がほぼ昨年度と同じ水準の183.0点(昨年度184.0点)であることからも、ほぼ例年並みの入試難度であったものと考えられる。

一般選抜

学内新聞The Weekly GIANTS、2013年度入試特別号掲載のリベラルアーツ学習適性予想問題(BUCHO.NET作成)問8の追加説明です。lib1301

一般選抜,編入・転入本科

今回は公立女子大学からICU(国際基督教大学)に編入された、オンレク受講生のNさんにお話を伺いました。

(前大学は関東地方の公立女子大学(G)ですね。公立の女子大というのはとても珍しいですね。)

はい、公立の女子大学は全国でもほとんどないと聞いています。でも出身県は伝統的に高校から男女で分かれている学校が多く、県内では女子大でも自然という感じでした(笑)。

母から語学教育が充実していて、少人数でしっかりと教育をしているような大学を薦められていました。母の第一希望だとお茶の水大学とか。私は英語や国際性、リベラルアーツ教育という点でICUを現役の時から志望していました。

もちろん現役のときからICUに入りたかったのですが、一年目は合格できず、浪人も考えていなかったのと、家庭の事情でできなかったので、併願で合格した前大学に在学しながら、編入でICUを受験することにしました。

(前大学はどのようなイメージのところですか?)

私は国際コミュニケーション学部というところにいたのですが、1学年が数十人と少なく、少人数制で英語教育を徹底してやるという特色があります。留学へのバックアップがあるところなどもICUと似ているかも知れません。比較的人気があるところで、地元の大学にはしてはめずらしく、県外出身の方も多かったです。

(やはりICUと雰囲気は違いますか?)

大学はICUと同じように、英語や国際的なことに興味を持っている人がたくさんいましたので、雰囲気としては似ているところも多いかと思います。しかし、ICUのように考えることを肯定して、いろいろな人が意見を交わすことはあまりありませんでした。それが一番大きな違いですね。

(実際にICUに入学しての感想は?)

ICUの英語のセクションに振り分けられてまず思ったのは、みんな頭いいなー。と圧倒されてしまいました。東京での生活は、寮に入っているので、友達といろいろなことが出来て楽しいです。新しいことがどんどん出来るようになっていき、ささいなことでも自分の幅が広がっていくのがよくわかります。

(今はELAの真っ最中ですね?)

はい、ELAはとても大変ですが、セクメと協力して課題に立ち向かうのは楽しいです。課題の量などの点で、前大学とのギャップに驚きました。専攻科目はELAよりもプレッシャーが少なく受けられますが、GPAに響くので注意が必要だとおもいます。授業は、先生によって様々な形式のものがありますが、ディスカッションを重視する先生も多く、生徒が意見を述べることが出来る機会が与えられることが多いです。

(ELAではどのセクションにいらっしゃるのですか?)

Stream 3のとあるセクションにいます。

(今年からシステムが変わったのですね。)

そのようですね。Streamは4段階に分かれていて、Stream 1が一番上級、4が一番初級という扱いです。

(参考)
Stream 1:1年の春学期でELAの授業が終了。帰国子女、海外経験の長い学生向け(バイリンガルのレベル)
Stream 2:1年秋学期までの授業。ここに入るのも相当の英語力と海外経験が必要なレベル
Stream 3:1年冬学期まで。これが恐らく今までのELPに近いポジション
Stream 4:2年春学期まで。従来のELPより授業期間が長い

(次回単位編入等に続きます)

大学院

(引き続きICU出身の大学院生の方々にインタビューをさせていただきます。最近は国際教養系の他大学の学部も増えて、学部でリベラルアーツ教育を受けるメリットも認知されてきたという印象があります。特に文系では「専門性が云々…」という声は最近ほとんど聴かなくなりました。理系の場合でもICUのように広く学ぶという大学はオススメでしょうか?)

北:学部の時は幅広く学んで、院に入ってから専門をしっかりやった方がよいということをおっしゃる先生方は多いですね。理系のエンジニアなどは院に進学するのが当たり前ですし、院のレベルにまで行くと英語もできて当然という雰囲気もあるので、どの分野にせよ、学部の時にICUで学んでおくというのは大いにメリットがあると思います。高校生の段階ではこの先生でこの勉強をしたいとか、もちろんあってもいいと思いますが、理系のごく特定の分野に関して、あまりにピンポイントで「この研究をやるんだ」と意気込んで大学に入っても、そういった期待通りの研究が学部からできるとは限らず、むしろ学部の段階では幅を持たせることも大事だと思います。

I:学部は所詮学部というところはありますね。数学など、きっちりステップを踏むような学問では、学部の段階で学ぶような内容はどの分野の数学の先生でもまずカバーできる。むしろ数学以外のその他の学問の先生から学ぶところも大きかったように思います。

(入学してから専攻分野を決められるというICUの制度も、院進学には有利に働いている部分はありますか?)

北:それはあると思います。僕の場合今は数学専攻で数学漬けの毎日ですが、実はICUの入試では数学を使いませんでした(笑)。当時から数学には関心があったのですが、高校生の段階では別の科目を得意としていましたし、得意=好きな科目、ぐらいにしか考えていませんでした。そういう意味ではICUに入ってなければ今のような希望する大学院への進学はできなかったと思います。

高校生の時は物理と化学の受験勉強をしていました。現代文とか好きで、哲学もやりたいと思っていました。実際ICUに入ってみると入ってみたら哲学文学系統にいい先生がいらっしゃって、大いに学ぶところがありました。

I:そういう意味でICUは理転というか、文系の入試を受けて、理科系の専攻をすることも可能ですね。大学入試的にも文化系から来やすい。ICUは少人数制で、理系の場合特に先生の受け持ちが少ないので、途中で専攻が決まった場合でも、先生は見捨てないし、そういう意味ではサポートが手厚いですね。

(理系の専攻の人とって、文系の人がいるというのはメリット?)

東:ICUのシステム上、文系理系を問わずいろんな人と絡むことになります。バックグラウンドがいろんなところからディスカッションが出きますし。そもそも高校生段階では何をしたいかとか分からないですからね。いろいろな専攻に興味関心を持った人との対話を通して、専攻が見えてきたという人も多かったと思います。

(なるほど。やはり院に進むとなると英語というのは大事でしょうか?)

北:理系だと英語の教材を使わせることが多いです。英語で論文書く機会も多いですね。ほぼ一般向けに書くのでも英語のケースもあります。Officialなものは英語という雰囲気です。研究者では英語は必須条件のようにも思えます。

I:就活をした学部生の話では、就活してて理系で英語ができるというのは非常に有利みたいです。やはり英語は文系にできる人が多いので。

東:自分の場合も今いる研究室でICU出身で英語ができるという部分を期待されています。

ICUは絶対数が少ない割には海外の院も多いですし、海外進学の可能性が広がるのも大きいです。英語をみっちりやっていたおかげで海外でも活躍できたというICUのOB,OGの研究者も多いですしね。

(なるほど。お話を伺っていると理系のICUというのは意外に大いにありのように思えてきました。)

北:確かに国立の院に進学した実感として、ICUよりは、研究機関としての環境は整っています。例えば、北大だと数学専用の図書室があるくらいですし。ただ、例え環境があってもアクセスできなければ意味が無いわけで、学部の時点の専攻などの食い違いで将来が限定されるというのはもったいないような気もします。

ICUの学部→国立院というのは、それぞれ学部と院のいいとこ取りという感じで、相性が良いよいようにも思いますね。

東:自分の専攻している情報の分野も、研究内容によっては大規模な設備が必要なものがあり、そのような意味で国立の院というのは充実しています。そのような意味で、ICUの学部では諸分野を幅広くしっかり学んで、英語を習得し、高度な設備にアクセス可能になる大学院の段階で、設備の整った院に行くというのは自分にとってはよい選択肢でした。

(ICUの院の方はいかがですか?)

I:ICUの大学院は、理系の場合特に超少人数制なので、第一線との研究者の指導を密に受けられ、ある意味で贅沢ですね。お目当ての先生がいればこんなにいい環境はないです。確かに研究分野によっては他大学の設備等で外研をする必要が出てきたりしますが、そもそも、最近の学問は国内だけで済むような研究ばかりではないですからね。ICUの院だと海外に研究に出る人も多い。そういう意味では大いに強みがあると思います。

(ありがとうございました。)

大学院

ICU(国際基督教大学)からの大学院進学を考える

(写真)各大学院の学生証(上から北海道大学、東京大学、ICU)

今回はICUを卒業して大学院に進学された3人の大学院生にお集まりいただき、
お話を伺いました。お三方とも数学(情報)専攻です。オンラインレクチャーの理系解説の作成にもご協力いただいています。

1.SさんICU大学院(以下I)
2.Fさん東大大学院(以下東)
3.Kさん北大大学院(以下北)

参考2011年度 ICU進学先上位大学院(ICUWebサイトより)

大学名
人数 大学名 人数
東京大学大学院 28 一橋大学大学院 13
国際基督教大学大学院 9 京都大学大学院 5
名古屋大学大学院 5 早稲田大学大学院 4
慶応義塾大学大学院 3 北海道大学大学院 3
上智大学大学院 2 筑波大学大学院 2
東京学芸大学大学院 2 オックスフォード大学 2
ブリストル大学 2

(ICUは就職の実績もよいですが、大学院の進学実績も非常によいですね。2011年のデータでは、東大28、一橋13人など、ICUの学生数を考えると非常に多くの学生が国内の著名な研究機関に進学している様子が伺えます。このようにICUから大学院の進学実績がよい理由はどのあたりにありそうでしょうか? 特に東大はかなりの人数が行っていて、人数上は最も多い進路になってしますね。)

東:東大に関してはそもそも院の人数がとても多いです。東大の大学院は博士課程を含め4000人以上いて、学部より入学者数はずっと多いです。試験という意味では倍率も低いですね。

(ご自身の進学された情報関連の研究室だとどれくらいですか?)

自分の所は外部(東大出身者以外)の学生で2-3倍、内部進学だとあまり落ちないくらいの感じだと思います。

(なるほど、次に東大の院試の様子を教えていただけますか?)

東:自分の受けた研究室の場合、院試は大きく3つあって、

数学、専門科目(コンピュータ科目)、TOEFL

でした。TOEFL以外は会場試験ですね。時期は8月後半です。

(過去問は大学に行ってもらう形ですか?)

今は東大のページで公開されているので、ネットで見れますよ。

(何年分ぐらいやりましたか?)

5年前に形式が変わったので、5年分やりました。

(どれくらいから受験を意識して勉強しましたか?)

3月ぐらいから意識してやりました。

東大の内部生だと直前にやる人もいたとか。
自分の場合3月から8月はほぼ受験対策をして過ごしたという感じでしょうか。

(推薦状とかは?)

いらないです。

(東大院の場合何が合否に大事?)

基本的にテストの点で決まります。
ただ希望の研究室に入るにはそれなりによい点数を取っておく必要があります。
同じ専攻で合格しても、試験の点数が高い順に希望の研究室に入れる形ですので。

(ICU生だから有利というのはあると思いますか?)

分野によると思いますね。TOEFLの点数は間違いなく有利です。
専門科目に関してICUの数学は非常に充実しているので、その点でもある意味有利と言えるかも知れません。

(基本的な部分の質問で恐縮ですが、院試の場合、出身大学別に有利不利とかはあるのですか? 大学別に採用不採用とかはあり得る?)

北:あまり露骨に大学別で門前払いされるということは院試ではないと思います。例えば自分に進学した北大の自分の研究室で言うと早稲田とか立教とか関東の私大もいますし、地元北海道の私大の方もいますし。

(なるほど。次にICUの大学院の院試の様子を教えていただけますか?)

I:はい、必要な書類は以下のようなものです。

・研究計画書
・推薦状
・英語の成績 TOEFL/TOEIC IELTS
・卒業論文のコピー 英語要約

もちろん面接もあります。これは生徒一人に先生が3人くらいの形で行われます。

(やはりICUの院だとかなりのTOEFLを要求されそうですね?)

専攻によると思います。日本人が多くないコースの場合、
英語のスコアが高くないとというコースもあるが、多くのコースの場合本人のやる気次第というところもあると思います。

(なるほど、ICUの大学院の売りと言いますか、魅力はどの辺りにありそうでしょうか?)
そうですね、とにかく学部にも増して少人数なので、先生を独占できるというところでしょうか。先生一人に学生が一人二人、という状態です。

大人数の大学院ではこうはいかないと言いますか、指導を受ける環境としては非常にいいですね。

またICUには文系のイメージを持つ高校生が多いと思いますが、理系の先生も充実していいて、知る人ぞ知るという所もあると思います。有名なところでは日本物理学会前理事長の北原先生も在籍されておられましたし、全体に指導教官のレベルは高いと思います。

(北大はいかがですか?)

北:北大は書類と面接です。推薦状は必要ありませんでした。

(ICUから北大院は珍しいような気もしますが、ICU関係者はいらっしゃったりするのですか?)

去年は3人行っていますし、全くいないわけではないですよ。むしろ驚いたのですが、自分と近い研究室の教授陣に2人もICU出身の方がいらっしゃいました。アカデミックの方面で活躍しているICU生も多くて、北大に限らず、ICU卒で教授になる方は結構いるみたいですね。

(次回に続きます)

 

 

一般選抜,オープンキャンパス

引き続きオープンキャンパスレポートです。

今回も飲料の無料配布が実施されていた。この時間帯は雨が降っていたので本館入り口での配布。もちろん名物のICU Waterも配布中。

2012年度版ICU Water。今回の取水地は北海道。

 

こちらが配付資料一覧。一部大学は鬼のように重い資料を配付してくれるのだが、ICUはコンパクトにまとまっていてとてもよかった。一日持って歩きますからな。

こちらは奨学金・学生寮ガイダンス。高校生はもちろん、熱心に聞いておられるご家族の姿も目立っていた。説明画面はICU特別奨学融資制度で、一定条件(普通に勉強していればまず大丈夫)を満たせば、比較的低利率で金融機関から授業料を借りることができ、在学中の利息は大学側が負担してくれるというもの。

融資期間は20年と長いが、ICUの特性上、卒業して外資系金融機関などに行く人なども多く(某Mキンゼー新卒第1号もICU生とか)、ほぼ全額の授業料を借りながら、卒業後わずか数年で全額返済したという強者も結構多い。

こちらは入試紹介。リベラルアーツ学習適性情報も一部公開されており、その内容はオンレクでもご紹介しています。

こちらは新D館のリベラルアーツラウンジ。我らが学部長、西尾先生を始め、各専攻の先生方とも直接話ができる貴重なコーナー。某W大学では普通の学生と話をするとかいう列が1時間待ちとかだったので、いかにICUが学生一人一人に手厚く対応しているかが分かる。

入学後の学生の扱い方も本当にこの通りなので、一人一人を大事にする大学に進学するか、名前は知れているが大集団を経済的に捌く大学に行きたいか、よく考えて進学先を決めたいところ。

ICU教会も公開されていた。

オルガンのデモ演奏に加えて、内部も公開されいた。来春皆様がここで入学式を迎えられますように!

 

オープンキャンパス

ICUオープンキャンパスフォトレポート2012

 

例によって武蔵境駅へ。この日は午前中からゲリラ豪雨とも言うべき激しい雨が降っていた。午後から小降りに。

南口を出て左側の2番バス停からICUへ。

こっそりとバス停に待ち時間の電光掲示が新設されていたのだが、これがくせ者だった。

この電光掲示に次の国際基督教大学行きは約30分待ちなどと表示されていたので、素早く隣の3番バス停に来た狛江駅行きに乗った。これに乗ると富士重工前というバス停で降りてICUにアクセスできる(ただしICU構内までは少し歩かなくてはいけない。またICU構内に入ってからも滑走路がかなり長い)。

さすがに学生時代から10年以上ICUに行ってるもんね、我ながら慣れたもんだわい、などと颯爽と別のバスに乗った直後に、国際基督教大学行きの臨時バスがやってきて追い越されてしまった。

考えてみれば当然なのだが、電光掲示は臨時バスに対応していないので、臨時バスの出ている日は電光掲示は気にせず、2番バス停で地道に待つのが良さそうだ(少なくとも10-15分おきくらいに出ているのであまり心配しなくても良さそうだった)。

正門にひっそりと設置されているオープンキャンパスの看板。ICU行きのバスはここを通過して大学構内まで行ってくれるので、ほとんどの来場者はこの看板に気がつかないかも(ICU行きのバスに乗れなくて臨時バスに抜かされましたの図とも言う)。

バスを降りた滑走路付近。ここでパンフレット等をもらうべし。

入り口を見る限り、午前中はゲリラ豪雨だったし例年より若干来場者が少ないのかな、と思いきや、逆に一部プログラムはむちゃくちゃ混雑していた(後述)。

ICUに付いたら即学食に。ICUに限らずオープンキャンパスでは昼時の食堂が混雑するので、できれば早めに昼ご飯をいただいた方が良い。

今回は魚ムニエルの定食をいただく。500円。

魚の付け合わせにキャベツ、セットのサラダにもキャベツが激しく配合されており、 キャベツのシャキシャキ感がこの先約5時間持続した一品。

もはやうっかりと透明カップに入れた緑茶が青汁に見えてくるレベル。

聞こえてくるキャベツ千切りの旋律はまさに魚ムニエルの仮面をかぶったキャベツ定食。

次回は無難にカレーにするぞと堅く心に誓った。

(注:上記魚ムニエルは大変おいしくいただきました(キャベツを含む))

さて、今回はかなりの豪雨だったため、野外のイベントやキャンパスツアー等も午前からストップ、午後に再開するまで、全て中止されていた。ただし人出は結構あったため、室内のイベントに来場者が殺到していた。

ICUでも比較的席数の多い、D館のオーディトリアムで行われた「ICUがよくわかる」ガイダンスなども立ち見を含め完全に満席となり、追加入場者を入れて混乱しないよう、入場制限が行われていた。

例年であれば野外イベントと室内イベントに分かれるところが、全ての来場者が室内イベントに集中した形だ。

例えて言うならば、「豪雨で人気のイルカショーが中止になり、ジンベエザメの餌付けショーが大混雑する水族館」という感じだ。

若干何の例えにもなっていないが、とにかく雨が降ってもICUのオープンキャンパスに行きたいという熱心な学生がたくさんいることを強く感じた。

(次回に続きます)