2026年度のICU(国際基督教大学)総合型選抜<4月入学専願>の入試要項が公開され、2025年度からの主な変更点が明らかになりました。旧AO入試にあたるこの方式について、今年度の変更点や特徴をまとめたいと思います。

1. 名称の変更:「総合型選抜」→「総合型選抜〈4月入学専願〉」
これまで「総合型選抜」(旧AO入試)と呼ばれていた入試方式が、「総合型選抜〈4月入学専願〉」へと名称変更されました。
これは文部科学省の方針により、すべての大学入試が「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の3系統に分類されることになった流れを受けたものです。これによって、社会人や帰国生入試なども「総合型選抜」に分類されることになりましした。
それを踏まえ、旧AO入試は以前から「合格したらICUに入学する意思がある人のみ受験してほしい」という専願のスタンスであったため、「4月入学専願」という名称になりました。今年から専願制になったわけではありません。
2. 募集人員の明確化(方式別定員の明示)
これまで総合型選抜全体で75名という定員が示されていましたが、2026年度からは方式ごとの募集人員が明記されました。
英語外部試験利用:60名
理数探究利用:5名
IBDP利用:10名
恐らく合格発表も方式ごとに行われることになると思われます。方式ごとの志願者数や合格者数の違いにも注目が集まりそうです。
3. 小論文(英語外部試験利用)のトピック統合
2025年度は小論文のトピックが3つから選択でしたが、2026年度は2つに統合されました。
トピックの内容はほぼ同じですが、2番目のトピックに「主体的に取り組んだ」という文言が追加されています。
2026年度
① 社会的または国際的に関心が高まっている時事問題、あるいは志願者自身が感銘を受けた芸術
作品(絵画、文学、音楽など)、歴史的エピソード、科学的業績
② 古典探究、日本史探究、世界史探究、理数探究基礎、あるいは総合的な探究の時間などの探究型
学習で主体的に取り組んだ課題とその成果の要約
2025年度(参考)
①社会的または国際的に関心が高まっている時事問題
②あなたが感銘を受けた芸術作品(絵画、文学、音楽など)、歴史的エピソード、科学的業績など
③ 古典探究、日本史探究、世界史探究、理数探究基礎、あるいは総合的な探究の時間などの探究型
学習で取り組んだ課題とその成果の要約
小論文は、3トピックが2トピックを選ぶ形式になったことで、研究成果(探究学習等の成果など)とそれ以外のトピックという大きな2区分になり、より選択しやすくなったと思われます。トピック(1)に関しては時事問題と過去の歴史的エピソードを統合して論じるなどの形で小論文を書くことも可能でしょう。
なお、その他の提出物である800文字の「自己活動歴と自己分析」や志望理由等を書く「願書」の項目は昨年度と同じです。
4. 英語外部試験スコアの有効期限変更
2025年度までは「出願期間開始日から遡って2年以内に受験したもの」が有効でしたが、2026年度は「2023年10月1日以降に受験したスコア」が有効となります。
提出可能な英語外部試験(IELTS, TOEFL iBT, 英検, Cambridge English Qualifications, GTEC)の種類自体は変更ありません。
5. 生成系AI利用に関する大学の方針
2026年度の要項には「学生の生成系AIの使用に関する本学の考え方を、本学Webサイトにて公開しております。併せてご確認ください」という一文が新たに追記されました。
ICU公式Webサイトの <学部 教育方針>の「学生の生成系AIの使用に関する本学の考え方」からその内容を確認できます。
https://www.icu.ac.jp/academics/undergraduate/policy/
内容は多岐にわたりますが、総合型選抜の小論文等の提出に際して特に関連すると考えられるのは、以下の内容です。AI利用の方針に関しては一度全文を読んでおくと良いでしょう。
3. ICUのアカデミック・インテグリティーの方針について(抜粋)
…生成系AIの使用を全面的に否定するものではありません。一方で、生成系AIが作成したものを本学における成績評価のための提出物に使用し、あたかも自分自身が作成したかのように振る舞うことは、本学アカデミック・インテグリティー(*学問的倫理基準)の方針が定義する「剽窃」すなわち「他人の作品・考え・研究成果を自分自身のものとして偽ること」に相当します。
4. 本学の方針(抜粋)
学部 教育方針 学生の生成系AIの使用に関する本学の考え方(抜粋)
…本学では学生の創造性や批判的な思考過程を重視する立場から、学生が課題に取り組むにあたり、自ら考え、調査し、反芻し、自らのことばで回答を作成することを求めます。生成系AIが作成した文章は、多少の改変を加えたとしても、自身で作成したものとは認められず、アカデミック・インテグリティーの方針に抵触すると判断されます。また自身で行うことが求められたタスクを、生成系AIに行わせることも認められません。これらの方針に違反した場合は、アカデミック・インテグリティーの方針に違反した場合と同じ扱いとします。
まとめ
2026年度のICU総合型選抜〈4月入学専願〉は、試験名称の変更や、方式ごとの定員明示、小論文トピックの統合、AI利用方針の明記などの変更がありました。受験予定の方は、公式要項をよく確認し、最新の情報に基づいて準備を進めてください。