2024年度のICU総合型選抜は小論文課題が刷新

6月 8, 2023

ICU国際基督教大学の入試関連の公式Webサイトにおいて、2024年度総合型選抜(AO)入試の入試要項が公表され、2024年度総合型選抜の詳細が判明しました。

日程や内容は概ね前年度の入試と概ね同じですが、外部英語試験利用型の小論文の課題が変更されています。以下の記事においてはICU総合型選抜入試対策として小論文のトピックの変更内容を中心にお伝えします。

ICU総合型選抜の小論文の課題トピックが刷新される

2024年度の小論文(外部英語試験利用)では、以下のように課題のトピックが刷新されています。

<2024年度> 
以下からトピックを1 つ選び、1,500 字以内の小論文を書いてください。
小論文の冒頭にはタイトルを付け、自分自身の見解と具体的な事例を含めてください。
(1)社会的または国際的に関心が高まっている時事問題
(2)あなたが感銘を受けた芸術作品(絵画、文学、音楽など)、歴史的エピソード、科学的業績など
(3)あなたがこれまでに直面し、克服した困難な課題

<2023年度まで(参考)>
以下の課題について1,500 字以内で書いてください。
課題:初対面の人(複数)に、自分の特長を深く、かつ正確に知ってもらおうとする時、あなたは自分の経験を、どのように伝えますか。以下からテーマを一つ選んで書いてください。選んだテーマにチェック
をしてください。
(1)あなたに深い感動を与えた人物との出会い
(2)あなたの人生の転機となった経験
(3)あなたの物の見方・考え方に大きな影響を与えた経験
「経験」は、体験、人との対話、芸術との出会い、その他広く考えて構いません。

(2024年度 小論文の課題)
(2023年度 小論文の課題)

エッセイから小論文へ

2023年度までの1500文字以内の小論文は「応募者自身の経験」をどのように第三者に伝えるかという課題でした。

2024年度以降の課題では1500文字以内という分量は変わっていませんが、「(1)時事問題」や「(2)感銘を受けた芸術作品、歴史的エピソード、科学的業績」というトピックが加わっているのが特徴です。応募者自身ではなく、諸問題や作品等をテーマにして、自分の見解を書く、新しい課題内容が加えられたと言えます。

その一方で、「(3)あなたがこれまでに直面し、克服した困難な課題」は引き続き「応募者自身の経験」に関連した、従来の内容に近いトピックと言えます。

従来は応募者自身の経験を語る「エッセイ」の要素が強かったのですが、2024年度からはより「小論文」のような書き方も可能になったと言えるでしょう。

本人の経験に限定されないトピックが用意された事で、自分自身の経験をテーマとした文章を書くことが難しいと感じていた一部の受験生にとっては、小論文を書くハードルが下がったと言えます。ICUは2025年度からは総合型選抜の募集人員を増やすことを公表していますので、従来より小論文のトピックの幅を広げることで、より多くの受験生に応募してほしいという狙いもあるのかもしれません。

ただし、後述するように、総合型選抜ではもう1つの提出書類である「自己活動歴と自己分析」を800字以内で書くことが引き続き求められていますので、実績として書くに値する活動を全くしていない学生をICUの総合型選抜が歓迎しているのかというと、必ずしもそうではでしょう。

加えて、従来のトピックでは「小論文」と「自己活動歴と自己分析」はどちらも本人の経験を書くものであったことから、内容が重複している部分がありました。「小論文」と「自己活動歴と自己分析」の内容の重複を解消して、それぞれを別の提出課題として評価したいという狙いがあるのかもしれません。

小論文のタイトルも付けさせる

今回の変更で応募者は小論文のタイトルも自分で付けることになります。従来の小論文は「応募者自身の経験」という内容で決まっていたのですが、2024年度以降は小論文の自由度が高くなり、内容を明確にするためにタイトルも各自で考えるように変更したものと考えられます。

自由度が高まった分、従来と比較すると小論文の方向性まで自分で決めないと行けないので、受験生には早めの対策と準備が求められるでしょう。

「自己活動歴と自己分析」は引き続き同じ内容

ICUの総合型選抜(外部英語試験利用)では1500文字の小論文に加えて、800文字の「自己活動歴と自己分析」を提出しますが、こちらの内容は昨年度とほぼ同じです。

<学校内外における自己活動歴と自己分析>
高等学校在学中に、学校の内外で比較的長期(少なくとも 2、3 週間以上)にわたり参加した教科外の諸活動を通して、自主性、リーダーシップ、または創造性をどのように発揮したかを、的確に分析し 800 字以内で述べてください。
-「教科外の諸活動」は、クラブ活動、生徒会、ボランティア活動、自主研究、学外団体や各種コンテストへの参加など、広く捉えて構いません。

厳密には去年まで「指導力」と書かれていたものが「リーダーシップ」に変わっていますが、意味は同じであるため、実質的には変更はないと考えてよいでしょう。

従来よりICUの総合型選抜は「成績」だけではなく「活動」も踏まえて評価してきました。「小論文」の課題が刷新される中で「自己活動歴と自己分析」が変化していないということは、ICUは引き続き「活動」も評価するとうい方向性が示唆されていると言えるかもしれません。

入学願書に記入する志望動機等の質問項目は変更なし

ICUの入試では願書に志望動機を記入することが求められており、総合型選抜では以下の質問項目に回答する形で記入します。この内容は例年通りで変わっていません。

1.ICU を志望した動機または理由を述べてください。あわせて、ICU で何を学びたいか、その理由も含めて述べてください。
2.あなたの人生観に大きな影響を与えたと思われることを述べてください。
3.あなたはICU の学生として、ICU の理念を実現するためにどのような貢献ができると考えますか。その理由も含めて述べてください。

これらの願書での志望動機等の記入は一般選抜などを含め、全てのICU出願者に求められているものです。入試要項の中でもこれらは「入学願書」の一部として扱われており、いわばICU独自の伝統として全員に提出を義務づけているものです。入試制度は問わず、ICUで学ぶ意義や目標を各自で明確にした上でICUに出願してもらいたい。ICU願書の志望動機の記入は、選抜のためのだけの項目と言うよりは、そのようなメッセージが込められているICUの伝統とも言えるので、やはり総合型選抜として重要なのは一般選抜など他の入試では求められない独自の提出課題である1500文字の小論文と800文字の活動歴です。

ただし、総合型選抜では二次面接があるため、特に志望動機として書いた願書の内容は面接での質問として使われるケースがあります。よって、他の書類にも通じるところですが、ICUで学びたいことを自分自身でよく考えた上で、他人の意見ではなく自分の考えを率直に述べることが面接での評価につながると思います。

総合型選抜の募集要項をチェック

小論文の課題が変わっている点などを含めて、ICUの総合型選抜入試への出願を考えている受験生は、公式サイトで内容を早めにチェックしておくとよいでしょう。入学試験要項は下記URLの「詳細は入学試験要項で必ずご確認ください」というリンクから確認できます。

https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/exam/special/