大学院,ICU合格者インタビュー

ICU生SHIBATAKOさんの東大大学院受験対策(2/2)

(3)学習計画書 :学習計画書(研究計画とも)とは、大学院でどういう研究をするつもりであるということを記述する文章です(ただ先日GrasPPオフィスの職員さんと話したところ、進学後に学習の内容が変わることはよくあるみたいです)。前述の通りこれは口述試験で参照されるので大切です。ですが、試験でボロが出てしまわないよう、背伸びしないことも重要です。すなわち、今の自分の問題状況が何にあるか、この問題意識を持ちながらGraSPPで何をしたいか、GraSPPでの学びを終えたらどんなことをしたいかといったことを書くことができればいいかと思います。私は内容を誰かに見てもらうことはありませんでしたが、誰かに見てもらえるならそれに越したことはないと思います。私も、覚えている範囲では、これ以上のことを書いてはいないように思います。

ICUは学部の一般試験でも志望動機やICUで学びたい事を願書に記入しますので、この点においてICUは大学院の試験を先取りしている所があるかもしれません。

(4)面接試験:学習計画書がきちんとかけており、その内容を覚えていれば、面接は特に問題はないと思います。というのも、それさえ覚えていれば質問に関しても流ちょうに答えることができるからです。また、知らないことがあったときに面接官に聞き返しても大丈夫です。私は面接中に知らない人が書いた本のことを聞かれたのですが、「浅学で申し訳ないですが……それってなんですか……?」と聞いても合格することができました。ですので、リラックスして自分が進学して何をしたいかということを伝えることができれば問題ないのではと思います。
服装ですが、私はこの日のためにリクルートスーツを買いました。かばんは買わなかったので黒を基調とした小さめの肩掛け鞄で試験に臨みました。周囲はきちんとしたリクルートスーツとセットで買うような鞄を使っていましたが、合否とは関係ないと思われます。

(5)その他(成績証明書(GPA)、推薦状)
TOEFL以外の提出する成績の書類としては上記のように大学の成績証明書がありますが、私の場合はGPA(Grade Point Average、大学の評定平均で4.0が最高)が3.4くらいでした。また、大学院入試では指導教員等の推薦状などが必要な所もありますが、GrasPPの院試では推薦状は必要ありませんでした。

また、何よりも重要なのが時間の使い方だと思います。私の場合は入試対策を時系列順に説明すると以下の通りです。

3年生/夏休み前:入試を受験することを決める。入試の過去問を取り寄せる(これは受験を決めたらASAPでしてください。パラパラとめくって合格までの距離感を測りましょう)。
3年生/12月まで:TOEFL対策を行う。TOEFL92点が取れたのは12月のはじめくらい
4年生/7月まで:筆記試験の対策を行う。
4年生/8月:実際に過去問を解いてみる。私はしませんでしたが、頼れる先生がいるならば添削してもらうのがベストです
4年生/8月下旬:余裕があると思ったので試験に関係がありそうな本を読んだ。読んだのは『官のシステム』『内閣制度』を覚えている。いずれも東京大学出版会の「行政学叢書」シリーズ
4年生/9月:入試を受ける。面接までの時間は卒論に充てました。

時系列に並べると以上のようになります。重要なのは入試の過去問をなるべく早く取り寄せて、合格までに必要なモノを理解することです。そして、それを理解した上で予定を立てて、実行することです。他のGraSPP合格体験記では日々徹夜した、だとか、寝ても覚めても勉強したとかありますが、私の場合はバイトもしていましたし、試験とは全く関係ない(であろう)卒論の勉強もしていました。なにより重要なのは、入試に向けて何が足りてないかということと必要な水準を理解して、そこに到達するまでの予定を組み、対策をすることです。これさえできれば、入試直前に慌てる心配もなく合格することができると思います。

さて、私は「こういう進路でいきたい」と教授にお話しした時、必ず同じ言葉を返されました。「僕の知ってる学生はみんな合格してるし大丈夫だよ」といわれるのです。確かに大丈夫でしたが……。ですので、ICU生にとってGraSPPに関する限りでは東大院への進学は難しくないのではと思います。私は結局大学院に進学したOB/OGの訪問などはしませんでしたが、無事入試には合格できました。ですので、肩ひじ張らずにTake it Easyの精神で焦らず、当初に立てた計画を実行できれば恐れるべきものはないと思います。
また、ICU生にとって東大院への進学は珍しくなく、私の同じゼミ生でも何人かいいます。大学院を目指すICU生にとって、東大院への進学はよくある選択だと実感しています。

大学院,ICU合格者インタビュー

ICU生SHIBATAKOさんの東大大学院受験対策(1/2)

今回はICU(国際基督教大学)学内新聞サークルの後輩のSHIBATAKOさんに東大大学院受験の様子をご寄稿いただきました。

大学院入試はICU入試に通じる所があり、また、東大大学院はICU生の進学先でも最も人数が多い所の一つであるため、ぜひICU入試受験生の皆様も参考にして下さい。

***

こんにちは、ICU4年で、来年度より東京大学公共政策大学院(以下GraSPP)
へ進学予定のSHIBATAKOと申します。メジャーは政治学と公共政策のダブルメジャーで、卒論は政治学の教授のもとで書きました。

この記事では、私がICU生としてGraSPPの入学試験に合格するまでの経緯をお伝えしていきます。

まず、GraSPPへ進学しようと考えた経緯ですが、具体的に進路を決めたのは3年生の時の夏でした。ICUへ入学した際は就職を考えていましたが、ICUで学ぶうちに、自分が学術的な場で思ったよりも良くできることに気づき、その可能性を伸ばしてみたいと思い、大学院への進学を決めました。

数ある大学院の中でGraSPPを選んだ理由は、私の興味関心の方向性 と一致していたことがまず挙げられます。私は政策を通して社会にポジティブな影響を与えることに参画したいと思っていましたし、政治学・公共政策学を生涯の生業にしていけたいと考えていたのです。その点で政治学や公共政策の研究ができる大学院を目指すことにしました。

ここからが本題なのですが、以下ではGraSPPの入試の概要と私が行った試験対策についてお伝えします。

入試システムについてはGraSPPの公式サイトの入学案内のところに詳しく書かれていますが、概要は以下の通りです。

<一次試験>
1)学習計画書、出身大学の成績証明書などの提出書類の審査
2) TOEFLのスコア
3) 専門科目試験(筆記試験)

<二次試験>
口述試験(面接)

この内、一次試験の筆記試験は試験区分が5つ(法律・行政・政治・国際関係・経済学)あり、その中から1つの試験科目を選ぶことになります。募集要項に詳しく書かれていますが、必要な書類として注意が必要なものはTOEFL成績表と学習計画書になります。前者は準備までに試験を受けねばならず、早めの対応が必要でしょう。また、後者の学習計画書に関しては、二次試験の面接でそれをもとに面接官が質問してくるので、それを踏まえながら書くことが必要になるでしょう。その他、教務課にお願いしないと用意してもらえない書類(成績証明書・卒業(見込)証明書 )があります(GPAは提出時で3.4くらい)。教務課が閉室している時期と出願期限がかぶる可能性もあるので、これらも早めに用意することが望ましいです。教授からの推薦書にあたるものは必要ありません。

試験の大まかな流れですが、以下のようになります。まず、5月ごろに説明会があります。ここで試験に必要な出願書類などがもらえるので参加できるに越したことはありません。説明会では入退室は自由だと思われます。試験は専門試験科目(筆記試験)が九月の上旬(私の時は9/5)に行われ、口述試験が九月の下旬(私の時は9/21)に行われます。合格者発表は一週間後です。以上が試験の概要になります。

皆さんが受験するICUの教養学部の一般入試は他の私立大学と同じようにでは2月に入試があります。しかし、ほとんどの大学院は、学部より早いタイミングで試験が行われますので、早めに準備することが大切です。このあたりはICU入試で言うAOや推薦入試と一般入試の時期に似ているかもしれません。

ここからは、試験対策として行ったことを(1)英語対策(2)筆記試験対策(3)学習計画書(4)面接試験に分けてお伝えします。

(1)英語対策:英語はICU生にとってアドバンテージとすることが最も容易な科目です。というのも、ICUにはELAという必修の英語科目があるだけでなく、ELA修了後も多彩なE開講の授業により英語能力を伸ばしていける環境があるからです。また、英語はTOEFLスコアの提出のため他の試験と違いやり直しが何度でもできます。ICU入試の受験生にとっても、ICU入試はTOEFLに似ているため、ICU入試を突破してきた人にはとても有利だと思います。
私が行ったTOEFLへの対策としては以下のものが挙げられます。(1)E開講の授業を積極的に受講する。(2)ELAのTOEFL対策を受講する。(3)リスニング・スピーキングの練習をする。
TOEFL iBTにはリーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4つのセクションがあり、これらのうちリーディングとリスニングはICUの日々の目まぐるしいアカデミックライフの中で磨くことができます。すなわち、E開講の授業を積極的に受講することで磨かれます。E開講でなくとも、授業で出される大量のReading課題をこなしていけば自然とリーディングセクション準備ができます。また、ライティングに関しても、学期末のレポートをELAで教わったことを忘れずに書くことを続ければ及第点には到達するでしょう。
また、ELAの授業にあるTOEFL対策を受講することも有効です。この授業ではTOEFLに対する基礎的な予備知識を得ることができます。この授業を終えた後にリスニングとライティングを自宅で練習すれば効果が上がると思います。この点に関しては根気強く継続して練習することが最も重要だと思われます。

私が提出したTOEFL iBTのスコアは「Reading 27/Listening 23/ Speaking 17/ Writing 25/ Total 92」でした。リーディングとライティングの点数で会話スキルの低さを埋め合わせた結果です。それでも最終合格者のTOEFL平均点 (公式サイトによると、「最終合格者のTOEFLスコア平均点 IBT 88.7点」)よりは高いので、私のような「会話系そこそこ、読み書き重点的に」という戦略で問題ないと思います。
最後に、TOEFLは早め早めに済ませた方が有利です。というのも、早めに終わらせると、それだけ専門科目への対策を早めに取り掛かることができるようになるからです。TOEFLは出願時には既にスコアが出た状態である必要があることに加えて、一次試験では高度な英語能力が求められる試験はありません。そのため、英語は早めに済ませた方が良いでしょう。

(2)筆記試験対策:これはICU生の間でも難易度が分かれるかもしれません。というのも、私のようなダブルメジャーで公共政策系の科目を取り続けた人と、いろんな科目を受講することで放浪している人の間には大きな差があるからです。ですが、取れば試験が有利になる科目や授業外で何をしたかという情報が、両者にとって価値あるものとなるでしょうから、これらについてお話します。
私は筆記試験を「行政」で受験しました。行政の科目は「政治・行政学」と「行政法」になります。「政治・行政学」に関係があるのは、もちろん政治メジャーと公共政策メジャーの授業です。この中で国内政治を扱うものが「政治・行政学」の試験科目と結びついていると思われます。「行政法」の試験科目については、ICUでは「行政法Ⅰ・Ⅱ」が開講されているのでこれらをとることが有効です。私はⅠ・Ⅱの両方を受講しました。
自習で便利な本は基本的な教科書です。私は「政治・行政学」ではNew Liberal Artsの『政治学』と西尾勝先生の『行政学』を中心に試験準備を行いました。読んだ分量としては、それぞれ3回以上読んだ記憶があります。これらを読む中で気を付けたのは以下の点です。まず、重要な用語について説明できるようになること。次に、現在争点となっていることがらと結びつけて説明できるようになることの二つです。
「行政法」では授業の教科書だった高橋滋先生の『行政法』と、神橋一彦先生の『行政救済法』ジュリストの『行政法判例百選』を用いました。これらは、「行政法Ⅰ・Ⅱ」で教科書として使ったものです。読んだ分量としては、こちらも3回くらいです。行政法は出題傾向が分かり易いので、出題されそうなところを重点的に。
また、問題の出され方には一定の傾向があります。これがわかるようになるには十分に勉強することが必要なのですが、それがわかるようになるまで勉強すれば、その傾向に従って学べば大丈夫でしょう。また、時事問題もよく提出される傾向にあるので、試験科目と関連があると思われるニュースには目を光らせておいてください。かといって、私は新聞を毎日読むようなことはできませんでした。SNSで見ていたくらいです。

また、これらの領域はICU入試では内容としては社会科学(人文・社会科学)の科目で出題されている領域に属するものが多く、ICU入試受験の段階でICU過去問の演習をしている人は、大学の入門レベルの知識は身についているかもしれません。

(次回に続きます)

お知らせ

2020年度向けICU入試受験対策オンラインレクチャーは3月30日に開講いたします。詳しくは下記URLをご参照下さいませ。
https://icu.bucho.net/icu_onlinelecture/

お知らせ,慶應SFC

姉妹サイトKEIOSFC.COMからのお知らせです。

2019年度SFC合格者の皆様へ

ぜひ来年度以降のSFC受験生のため、合格体験記をお寄せ下さいませ。寄稿者の皆様には図書カード(Amazonギフトカード)および入学後に役立つ小冊子「SFCのための英語学習法をお送りいたします)

https://icu.bucho.net/mail/sfcexp.html

一般選抜,お知らせ

BUCHO.NETでは皆様のICU合格体験記を募集いたしております。
ぜひ後続のICU受験生のために、皆様の合格体験記をお送り下さいませ。
体験記をお寄せ下さった皆様には、Amazonギフト券や、
ICU入学に確実に役立つ、BUCHO.NETオリジナルWeb小冊子
『BUCHOのICU入学対策』を差し上げております。

体験記の投稿は下記フォームをご利用下さいませ。

https://icu.bucho.net/mail/exp01.html

一般選抜,志願者数・受験者数

ICU学生新聞入試特別号 2019年度ICU一般入試受験者数及び傾向と対策

ICU学生新聞The Weekly GIANTS 2019年度入試特別号掲載記事(2019年2月1日発行号)

BUCHO.NETが執筆し、ICU学生新聞の入試特別号に掲載された、
2019年度の入試の志願者数の分析および入試対策法に関する記事です。

2019年度ICU一般入試志願者数及び傾向と対策

2019年度のICUの一般入試(A方式)志願者数は、1,254人(2019年1月26日時点)で、昨年度の志願者数1,451人から減少した。志願者数が減った背景には、私立大学定員厳格化により、受験生の安全志向が高まっている事と、一般入試以外の入試制度が積極的に活用されているという要因が考えられる。大手予備校の河合塾が2019年1月に公表した、進路担当の高校教員を対象としたアンケート調査では、大学受験生が難関校を受験する志向は弱まり、AO等を利用する志向が高まっているという調査結果が出ている。一例として、ICUと出願期間の近い慶應義塾大学も、2019年度は一般入試の志願者数が減少している(1月25日時点)。また、ICUでも、A方式以外の多くの方式では受験者数が増加している。更に、2019年度大学入試センター試験の受験者は576,830人で、前年度から5,841人減少し、特に地方の受験生の減少が顕著であった。このような状況下で、主要私立大学は一般入試の受験者数を増やすため、学部統一試験を導入するなど、一般入試の受験方式を増やすと同時に、複数日程での受験に対応している。例えば、2018年度に累計で約12万人の志願者を集めた明治大学の実志願者数は約6万1千人で、そのほとんどが、2方式以上の入試を学内で併願している(週刊朝日 2018年5月4日-11日号)。ICUは創立以来、単一学部制を取っており、現状では単一日程でしか一般入試を受験できない。他の私立大学を参考に、一般入試を複数の日程で受験可能な方式にするなど、柔軟な対応が迫られている。

<志願者数>

・ICU一般入試A方式の志願者数

・入試方式別の志願者数

<科目別の傾向と対策>

1. 英語 リーディングの出題文字数が増加

・英語リーディングの単語数(words)*

*単語数は問題文(本文)の単語数の合計で、設問や選択肢の単語数は含まない(以下他の教科も同じ)

・英語リーディングの問題数

英語リーディングは近年難度が高まっている科目である。出題される長文の文字数が非常に増えており、2018年度の英語リーディングでは合計で2,850 wordsを超える英文が出題された。昨年度から約250 words、一昨年度からは約1,250 wordsも文字数が増えている。2019年度のセンター試験の英語長文パート(第4,5,6問)の合計文字数が約1,750 wordsであることを考えると、ICUの英語リーディングでは、相当な速読力が求められる。

・英語リスニングの単語数(words)と放送時間

*放送時間には試験の指示や解答のための時間が含まれる

ICU入試では、英語リスニングも難度が高い科目である。2018年度の英語リスニングの単語数は全体で約2,680 wordsで、放送時間は約30分であった。英語リーディングに匹敵する分量の英文を聞き取る必要があるため、リスニングの演習は十分に行って試験に臨みたい。2019年度のセンター試験の英語リスニングの単語数は合計で約1,420 words、放送時間は約29分であったことを考えると、非常に長い英文を聞き、理解する能力が求めれている。また、センター試験の英語リスニングでは英文が2回読み上げられるのに対し、ICUの英語リスニングでは英文が1度しか読み上げられない。よって、聞き逃した英文は二度と聞くことができない。たとえ聞き逃した箇所があってもこだわらず、次の問題に進むことが重要である。

2. 総合教養(ATLAS 出題範囲の広い総合科目

・総合教養の各Partの論文の文字数と放送時間

総合教養(ATLAS)は4つのPartに分かれており、Part Iでは放送講義に直結した問題、Part IIからIVはそれぞれ講義に関連した人文科学、社会科学、自然科学の論文を読んで答える問題が出題される。試験前に配布される問題冊子はシールで閉じられており、講義の放送終了までは問題冊子の内容を見るはできないが、別途メモ用の冊子が配られるのでメモを取ることは可能である。講義は一度しか放送されないので、問題を解く際に講義の内容を思い出せるよう、メモを取る必要がある。試験時間は80分であるが、講義の放送時間は約15分なので、実質的な解答時間は約65分である。2018年度の出題では過去の問題と比較すると、若干論文の文字数が減少した。それでも人文・社会科学に匹敵するほどの文字数の論文が出題されているので、時間配分には十分に注意したい。また、総合教養は出題範囲が人文、社会、自然科学と広範囲に及ぶので、全ての問題に正解するのは困難である。文系であれば人文科学や社会科学、理系であれば自然科学のパートを重点的に解くなど、自分の専攻範囲に合わせて、取捨選択を意識することが重要である。

3A.人文・社会科学??問題数を確認

・人文・社会科学の論文の文字数と問題数

人文・社会科学の出題では、論文が約10,000文字、問題数40問の出題が定着していたが、昨年度の問題数は42問で、例年より多かった。人文・社会科学では年度によって問題数が異なる場合があるため、問題を解き始める前に全部で何問あるかを確認してから解きたい。文章量に関して、2019年度のセンター試験の国語第1問の論説文が約4,200文字、第2問の小説が約4,900文字であったので、文字数だけを見るとICUの人文・社会科学の文章量はさほど多くないように見える。しかし、センター試験の問題数は、論説文・小説を合わせて12問程度である一方で、ICUの人文・社会科学では内容理解を中心に40問以上出題されるので、問題数が非常に多い。仮に本文を25分で読んだとすると、残り時間は55分であるから、40問の出題の場合、1問あたり約1分20秒で解いていかなければならない。よって、各問題を素早く解いていく必要があると同時に、難問にこだわることなく、自分の解ける問題を見極めて解答を進めていくという意識が重要である。

3B.自然科学  筆記問題、計算問題に注意

自然科学では他の教科にはない筆記問題が導入されている。2018年度入試では物理で1問、化学で2問、生物で2問の筆記問題が出題された。また、数学は筆記問題がなかったものの、問題の大半が数値選択問題であった。よって数学は他教科と比較して解答に時間がかかることが予想される。また、全ての科目において、論文形式のリード文が問題の冒頭に登場する。理系の試験に出題される文章としては非常に長く、論文読解の要素もあるのがICUの自然科学の特徴である。なお、自然科学の4つの教科は一つの冊子に印刷され、試験時間中にこの内の2教科を選択する形式であるため、実際に各教科の問題を見てから解答する教科を決めることができる。よって、国立大学併願者などで、3つ以上の自然科学の科目を勉強している場合は、問題を見てから科目を選択するようにしたい。

<最後に>

 科目別対策で見てきたように、ICU入試は全般に出題される資料の分量が多く、出題範囲が非常に広いので、満点を狙う試験ではない。センター試験が高得点を目指す「ハイスコアゲーム」であるとすると、ICU入試は1問でも多くの正答を目指す「ロースコアゲーム」の要素が強い。全部の問題に正解することは困難であるから、取捨選択を意識して解答を進めたい。分からない問題や解答に時間のかかる問題は潔く飛ばし、確実に解ける問題に時間を使うべきである。科目別に見ると英語リーディングは出題される英文の量が増えており、難化傾向にある。英語の試験は最後に実施されるので、集中力を維持して試験に臨みたい。

*ICU OBの筆者が運営するICU入試情報サイト、「BUCHO.NET」では、ATLAS(総合教養)の出題情報、ICU合格体験記を募集しております(ギフトカードを贈呈)。ICU入試情報を多数掲載中です。      【BUCHO】

【https://icu.bucho.net】(「ICU BUCHO」で検索!)

PDF版はこちらICU-WG2019-nyutoku-scan-bucho

ICU総合教養対策(ATLAS),一般選抜

BUCHO.NETでは、ATLAS(総合教養)の情報を募集いたしております。
情報提供者の皆様には図書券やギフト券もご用意いたしております。
サイトは皆様の情報提供によって運営されております。ぜひこのページが役立ったという皆様、
下記フォームより、ぜひ皆様の情報をお寄せ下さいませm(_ _)m。

https://icu.bucho.net/mail/ATLAS01.html

一般選抜

学内新聞WGのICU入試特別号が今年も発売されます。
ICU入試の下見の際にぜひお買い求め下さい。ICU入試当日も販売予定。

販売場所:ICU学内、ICU教会前を予定

発売する時間の目安:
2019年2月1日(金) 9:00頃-17:00頃 ICU教会前
2019年2月2日(土) 7:30頃-17:00頃 ICU教会前(もしくは新D館前)
(天候や販売状況等により変更・中止される可能性があります。去年は雪で早期撤収。)

販売予定価格:300円
内容はICU入試の分析やアドバイスなどで、例年通りなら入試をリラックスして受験していただくための軽めの読み物が中心です。
WG OBのBUCHOの記事も掲載予定!

英語リスニング,一般選抜

ICU(国際基督教大学)入試英語リスニングの頻出表現の研究その2。

今回は前回分析したICU英語リスニングの質問文の頻出単語を元に、
それらの単語のコロケーションを見ていくことで、頻出の出題パターンを確認していきます。

 

<ICU入試リスニング対策1 最頻出のWhatの出題パターン>

・"imply"はほぼ100% What does(What do)と一緒に出題される。また、ほとんどの場合、主語がman, womanである。

What does the woman imply?

What does the man imply?

 

・"will"はほぼ100%"what"と一緒に出題される。会話の後何が起こるかを答える問題は頻出

What will most likely happen next?

What will the woman most likely do?

 

<ICUリスニング対策2  Whichの出題パターン>

・"following"はほとんどの場合、"Which of the following"の形で出題される。各問は選択肢(a,b,c,d)の中から答えを選ぶことは明らかであるから、質問文中にfollowingを見つけたら、それを含む箇所は読まなくてもよい。

Which of the following can be inferred from the conversation?

 

ただし、"NOT“を含む質問文(当てはまらないものを選ぶ問題)は、ほとんどの場合"which of the following"で質問文が始まるので注意。

Which of the following does NOT illustrate post-truth thinking?

 

<ICUリスニング対策3 Part I, IIのパターン>

・"probably"はほとんど場合、"What will"(もしくは未来表現)を伴って出題され、未来の予測を聞いている。

What will they probably do next?

What is the man probably going to do?

 

・"mean"はほぼ100%、"What does the woman(man)?mean?"の形で出題される。

What does the woman mean?

What does the man mean?

 

・"likely"はほぼ100%"most likely"で出題される。

Which of the following is most likely true?

 

<ICUリスニング対策4 Part IIIのパターン>

・"According to ~, “で始まる質問文は、ほとんどの場合、"According to the lecture," “According to the speaker," の形を取る。Part IIIの設問が講義に基づくことは明らかであるから、"According to ~, “の表現を見たら、カンマより前は読み飛ばし、カンマより後の箇所をまず読む。

According to the lecture, how many refugees were from Afghanistan in 2017?

According to the speaker, what design principle did Steve Jobs follow?

 

以上のように、リスニングの質問文は、特定のパターンに該当する場合があります。これらのパターンを理解しておくと、解答時間の短いリスニングを有利に展開できる可能性があります。

練習として一つ例をみてみましょう。

According to the lecture, which of the following is true?

 

すでに見たように、"According to ~,"は読み飛ばしてよく、"following"を含む文はほとんどの場合"which of the following"の形を取るためここも読み飛ばし、結局"is true?"の部分だけ読めばこの問題が何を聞いている問題なのかは分かるということになります。

さらに言えば、択一の英語の試験では、"Which of the following is true?"自体が超頻出の質問文のパターンで、慣れてくれば即座に正答を選ぶ問題だと判断できます。言われてみれば当たり前の事なのですが、解答時間がとても短いICU入試の英語リスニングでは知っておいて損はない事です。

実際のICUの英語リスニングの試験では限られた解答時間で判断する必要があるため、これらのパターンを暗記するというよりは、ICU英語リスニングの入試過去問演習を多数行って、特定のパターンに出会った場合に、「この質問文はこれを聞いている」のだとか、「この質問文はこの箇所だけを読めばよい」、といった事を、過去のリスニングの経験から、自分なりに素早く判断できるようにしたいところです。

英語リスニング,一般選抜

ICU(国際基督教大学)入試英語リスニングの頻出単語の研究

今回はICU英語リスニング対策として、出題パターンを研究するため、過去13年分(2007-2018)*の英語リスニングの質問文をデータ化し、英単語の出題頻度を調べた。

調査の結果、ICU入試の英語リスニングの質問文で最も出題される英単語のベスト100は以下のものであった。"出現回数"は質問文に登場した回数を示す。

ICUリスニング対策1 5W1H(6W1H)で最も出題されるのは、Whatである。

コミュニケーションや情報伝達の際、5W1H(6W1H)が重要であるとされるが、実際の質問文での登場回数には偏りがあった。

what 248
which 34
why 32
how 19
when 6
where 4
who 3

上記のように、圧倒的にWhatを含む質問文が多かった。大半の質問文にWhatが含まれると考えてよい。ICUの英語はアカデミックな文脈から出されるため、"who"や"when"などよりも、"what"を用いて、より学術的な内容を問う傾向がある。故にWhatの疑問文のバリエーションは非常に多いので、過去問を通してこれらの内容を習得しておくとよい。

また、When, Who, Whereは出題回数が少なかった。

Whenに関しては、"What time~", “On what date~"など、whatを使って具体的な時を問う問題も見られた。

Whoに関してはほとんど出題がない。会話パートでは話者が男女別に分かれていて、登場人物は学生、教員、大学職員(図書館の職員など)である。また、講義は一人の話者(大学講師)によって語られる。よって、話者が誰であるかは自明である。さらに、アカデミックな文脈で"Who is the speaker?"といような質問文はあまりに稚拙過ぎるので、"What is Dr.? X’s area of research?"という風に、あくまでも学術的な観点から問われる事が多い。そのような意味でもWhoの出題回数は少ないと考えられる。

ICUリスニング対策2 学術的な出題を反映した英単語が多数出題されている

lecture 55
professor 13
student 8
Dr. 6
research 6

ほとんどの問題が大学生活や大学での学術的な講義をテーマにしており、結果的にアカデミックな文脈を反映した英単語が多く出題されている。逆にビジネス英語特有の表現(customer service, business conference)などは登場しない。

ICUリスニング対策3 会話や講義のテーマは日本国内に限らない

Japan 4
Japanese 1

“Japan"という語がリスニングの質問文に登場したのは13年間で4回、"Japanese"は1回である。会話パート(Part I, II)ではICUでの大学生活、講義パート(Part III)ではICUで行われる講義をイメージして出題されるものが多いのだが、それでも、会話や講義の内容が、日本国内に限定されるものとは考えない方がよい。特に講義は国際的な文脈から出される問題が多い。逆に、たまに日本の社会問題や文化等を話題にした内容が出題される事もあるという程度に考えておいた方がよい。

ICUリスニング対策4 会話パートでは男女の話者が登場するが、男女の発言はほぼ均等に質問対象となる。

woman 92
man 85

“woman" “man"は会話パートであるPart I, IIの質問文に特有の語だが、その出題頻度はほぼ等しい。

例:

What does the woman imply?

What does the man mean?

なお、ICU入試の英語リスニングでは質問文が問題冊子に印刷されているため、質問文を見ながら放送を聞くことができる。よって、試験対策上、特にPart Iでは、質問文にman, womanと書かれていたら、その話者の発言を特に注意して聞くようにする。

 

次回ICU英語リスニングの質問文におけるコロケーションの分析に続きます。

 

*1 現行の英語リスニングの出題形式は2009年度入試から導入されている。2007、2008年度も基本的な出題形式は同じであるが、出題数が35問であった。2006年度までは放送の会話文に応答する問題が含まれていたため、2006年度以前の質問文はこのデータには含まれていない。