1. お名前、プロフィール
<お名前>
須磨寺サイ
<プロフィール>
県立中堅進学校からICUを現役で受験するも失敗。
他の併願校も落ち、中堅私立大の史学科西洋史専攻に入学。
仮面浪人という形で再びICUを一般入試で受験し合格。
2. 受験形態
一般入試(センター無し)
3.予想得点
リベラル7割
人文科学8割
社会自然8割
英語リスニング5割
英語リーディング8割
4.併願校
なし
5. ICUに入るまでのいきさつ(どうやってICUを知ったか? なぜICUを選んだか ? など)
学際的に学べるが、現代的な分野に特化しており、自宅から通学するのには遠すぎる慶應SFCの併願校を探している中で、BUCHO.NETと、ICUの存在を知った。
たまたまリベラルアーツ適性のWEB模試を受けてみたところ、こんなに面白い問題を出している大学はどんな所だろうと調べ始め、高校3年の夏にオープンキャンパスに向かった。
そこで、在校生の方に質問したり、モデル授業に参加したりするうちに、私が学びたいと思える大学はここしかないと思うようになり、ICUを志願した。
6.ICUに期待するところ
ELAを始めとする英語教育に期待している。
また、海外フランス語研修などフランス語の授業も履修してみたい。
7.受験対策
a.願書
<1.ICUを志望した動機または理由を述べてください。>
まずICUを志願した理由として、ICUの特色であるリベラルアーツ教育を挙げた。その後、自身がICUで学びたいと思っている分野に興味を持ったきっかけと、なぜICUのリベラルアーツ教育でなければならないかという理由を述べた。
<2.ICUで何を学んでみたいですか。あなた自身の希望をその理由も含め述べてださい。>
私の場合、まず自身の将来の目標は、言語に関する見識を深め、作家になって読者に様々な世界の可能性を提示することであると記し、そのためにも、論理的思考を身につけるELAを通して英語での学びを身につけたいと述べた。その後、自身が関心を持っているメジャーについて触れ、それを将来の進路と結び付ける方法を提示した。
<3.学内外を問わず、技能、諸活動など自分の最も得意とすること、好んで行なって いることを述べてください。>
自身が普段行っていることに触れ、それはどのようにICUの学びと繋がっているかを記した。
私の例を挙げると、自分の趣味である読書であるとまず提示してから、その経験を生かして多様な知識と批判的思考力が養えるように日々努めていると文章を膨らませた。
b. リベラルアーツ学習適性
昨年、今年と数学に関する問題が増えているので、数1,2,A,Bのごく基礎的な問題にさっと目を通しておくとよいと思う。しかし、数学の問題は時間が掛かるものばかりなので、本番で全てが直接得点になるわけではない。
簡単な数学の問題集としては、駿台文庫から出ている「カルキュール数学1・A」、「カルキュール数学2・B」などがあるが、時間がなければ英語など他の科目に力を注いだ方が良い。
今年は理科の問題(運動、炎色反応、気体の採取法)が出ており、理数系重視の傾向は今後も続くと思われる。簡単な高校入門レベルの理科の資料集を一冊用意しておくと、分からない問題が出てきたときにすぐ参照できるため便利。
化学分野の資料集としては、数研出版の「視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録」がとっつきやすい。イラストや画像が多く、数式が苦手だったり、化学を未履修だったりする場合でも対応できる。
元素記号、六歌仙などの名数、四字熟語などの問題は、一気に得点に繋がるものではないので、毎日の積み重ねが大切。SPIの問題集は、ある程度手ごたえのあるものでなければ、ICUの入試対策としては力不足。また、毎年ではないが音楽用語や音楽記号に関する知識も出題されることがある。
但し、他の方も発言しているように、過去問を大量に集めて、この科目の勉強ばかりに時間を掛けるのはリスクが大きすぎる。勉強量がなかなか得点に結びつかない科目なので、他の科目に力を注ぎながら、その合間になるべく少ないエネルギーで学習すること。
c. 人文科学
マーク式の現代文である程度の点数が取れていれば、下手にそれ以上対策をしたからと言って容易に上がる科目ではない。もし効率的に学習したいのであれば、難解なテーマもよく扱われるSFCレベルの英語長文を読みながら、同時に人文科学分野の読解力もつけてしまえばよい。
このサイトの姉妹版であるBUCHOの慶應SFC対策のブログで取り上げられているYUさんが、英語長文を読みながら小論文の勉強をする方法を取り上げており、そちらも有益になる。
人文科学、英語長文双方の基礎知識を身につけたいのであれば、ちくま新書から出版されている「教養としての大学受験国語」を一通り読んでしまうことを勧める。この書籍の著者である石原千秋氏は、他にも「大学受験のための小説講義」などの新書や選書を出版しており、余力があればそれらを読んでみても息抜きにはよいかもしれない。
他に人文科学分野の入門書としては、文春文庫から出版されている、内田樹氏著の「寝ながら学べる構造主義」が挙げられる。内田氏は鷲田清一氏や、山崎正和氏と並んで大学入試評論ではよく出題される人物の一人であり、内田氏の書いた他の文章を参照した論文がICUの入試に出題されてもおかしくはない。
また上の書籍に追加して、岩波現代文庫から出版されている、筒井康隆著の「文学部唯野教授」を読むと難解な現代思想の端緒を少しは伺えるかもしれない。中身は、唯野教授が行う文学部の講義と、教授たちのドタバタ劇から成り立っており、下品な話が嫌いな人には、残念ながら少し合わない。また、書店での入手はやや困難なため、図書館等を利用するとよい。
近年話題となり、大学入試でもよく取り上げられた人文科学分野の書籍としては、筑摩書房社から出版された、水村美苗著の「日本語が亡びるとき」、講談社文庫から出版された、内田樹著の「下流指向」、青土社から出版された、福嶋亮大氏著の「神話が考える」の三冊が挙げられる。こういった書籍を日頃から読み、途中でその評論独自の用語が登場したとしても、日常的に使われている言葉に、自分で置き換える訓練を積み重ねることが大切である。
ただ漠然と岩波新書を読むのではなく、現在のトレンドを敏感に感じ、自身で必要な書籍を取捨選択しながら人文科学の勉強を進めたほうがよい。その経験は、大学に入学した後でも生きてくる。
解答する際に気をつけることは、問題文が必ずしも論文の展開通りに並んでいるとは限らないという点である。また、問題文を先に読んでしまうと変な先入観をもってしまうこともある。それらを防ぐためには、先に論文を全て速読してしまうことである。そして残りの時間で、必要な箇所を参照しながら問題を解くとよい。
d. 社会科学
社会科学の場合、人文科学と勉強方法、解答の際の注意点は同じだが、社会全分野に渡る知識問題も出題されている点が異なる。文系の場合であれば、他大学では使わない科目の授業もきちんと聞き、履修していない分野の教科書も一読しておけば安心である。
しかし漫然と学習をしていても、莫大な用語を覚えるのは不可能に近い。そこで、リベラルアーツ適性の名数分野や文学史、過去の偉人の名句などを覚える中で、その項目に関連する内容も見ておくという方法をとれば効率よく習得できる。
世界史の分かりやすい資料集としては、帝国書院が出版している「タペストリー」がよい。これは、同じく帝国書院が出版している「エスカリエ」の上位版にあたり、より詳しい説明が掲載されている。これの地図を色ごと覚えてしまうと、学習が楽になる。
地理の場合は、資料集を買うよりも、帝国書院出版の「新詳高等地図(黄緑色の表紙をした一般的な地図帳)」などを見た方が良い。また、電子辞書に「ブリタニカ国際百科事典」と「日本史用語集」、「世界史用語集」がついていたため、非常に助かった。
現代社会、政治経済分野の場合は、学校から配られる資料集をよく読むこと。持っていない場合は、清水書院が出版している「ニュース解説室へようこそ!」がレベル的にはちょうどよい。後は新聞や日々のニュースにも目を向けておけば万全な対策になる。
e. 英語(リスニングを含む)
<リスニング>
リスニングは時間がかかるが、取り組めば確実に上がる科目なので早くから対策を行いたい。但し配点的には全体の12分の1であり、4択マークでとりあえず選ぶこともでき、長文が読まれる問題は選択肢から類推することもできるため、必要以上に力を込めなくてもよい。だが軽視は禁物。
とりあえず速度の速いリスニングに慣れるためには、アルク社が出版している「AFN/VOAニュースフラッシュ2011年度版」がよい。速度が二種類のニュースが入っており、またトランスクリプトがあるために、漫然と聞き流せることを防げる。
また、それ以前の年度の問題を聴きたいようであれば、年度の古いものから集めた方が良い。但し2010年度以前は、速度が遅く易しめの「VOAニュースフラッシュ」と速度が速く難易度も高い「AFNニュースフラッシュ」が別々に出版されているため、注意すること。
学習方法は、まず何も見ずに音声を流し、何のニュースであるか単語から推測する。次に、音声を聴きながら、ニュース中で使われている単語の意味を調べる。そして、トランスクリプトを覚えてから、また何も見ずに、ニュースの音声を確認する。最後に、トランスクリプトを見ながらでもよいので、ニュースに合わせて自身で文章を読み上げる。
自身で発音できない音は絶対に聴き取れないので、新しい単語が出てきたらその都度発音記号を確認し、正しい発音もセットで覚えること。関西大学が出版している「CNN:ビデオで見る世界のニュース」は、アナウンサーではない一般人の会話が多いため、これらの対策では物足りない上級者向けである。
長文を読み上げるリスニング教材としては、旺文社から出版されている「はじめてのTOEFLテスト完全対策」や、「TOEFLテストリスニング問題350」、トフルゼミナールから出版されている「ICUの英語」などがよい。これらも使用方法は、ニュース教材と同じである。
<リーディング>
リーディングは、まずトフルゼミナールから出版されている「ICUの英語」と、赤本を用いてどんな問題が出るか傾向をつかんでしまうことが大切である。その後は問題形式が似ており、併願としても有効なSFCの過去問に触れるため、同じくトフルゼミナールから出版されている「SFCの英語」やSFCの赤本を総合政策学部、環境情報学部問わずひたすら解くとよい。
また、東進ブックス出版の「英語長文レベル別問題集5上級編」や「6難関編」も解けば、マーチ早慶上智の併願対策になる。これらの英文が難しいと感じたら、旺文社が出版している「基礎英文問題精講」の1章と2章が参考になる。
これらの問題を解く際には、二冊のノートを用意する。一冊目は見開きで使用し、左ページに問題文を一行あけて写し (SVOCや文法事項を下に添えられるようにするため)、右ページは横に二段に分け、上の段は更に縦に二段に分けて新出単語を書き、下の段に文章の訳を記す。そして、二冊目のノートに文法事項や、関連語句(動詞であればそれの名詞形)、紛らわしい発音などを記す。
まず問題文を移したら、いきなり和訳のページを参照してしまい、どんな問題がでているのかを掴んでしまう。そして、その和訳と対応する個所の英文を解体し、どれが主語でどれが動詞かというのを細かく分析していく。最後に、自身で訳文を作成し、関連語句も調べれば、一ページ分の学習ノートが出来上がる。
リーディングのpart2で登場する文法問題対策としては、桐原書店が出版している「Next Stage」が有効である。これの基礎的な問題を完璧に仕上げることがまずすべきことである。余力があれば、同じ桐原書店が出版している「全解説頻出英文法・語法問題1000」もよい。
f.その他受験に関するアドバイス(役立つ参考書、試験中に気をつけること、全般的な勉強法など)
今年の人文科学に「恍惚」という用語が登場したが、たまたま受験中にとあるアニメを見ていたために解くことができた。このように意外な知識が入試でも生かされることがある。受験一辺倒になり、他の事にも全く目を向けないという姿勢では、まず1年間長続きしないであろうし、例え成功したとしても、大学に入学した後で困ってしまう。
息抜きばかりしているのも問題であるが、たまには他の分野の書籍を読んだり、マンガやゲームなども楽しんだりしながら、それらの知識は入試に生かせないだろうかと常に考えながら日常生活を過ごしていくのがよいと思う。オンとオフではなく、常に受験のスイッチは入ったまま、しかし集中する時とそうでない時のメリハリをつけるのが何よりも大切。
仮面浪人という立ち位置は孤独になりやすく、また何かと心細い。そんな時は「偏差値70からの大学受験」というwebサイトなどを読んでみるとよいだろう。私も、浪人したての時はよくお世話になった。
また、ICUのAO入試は生半可な文章では受からないが、自身がICUに対して持っている意識を上手く文書化する場として有効に使える。但し、一般入試以上に運の要素も強いため、きちんと一般の対策も行うこと。そして、貴重な夏休みをAO入試のために必要以上に浪費しないように気をつけなければならない。
8. 最後に一言
受験には運の要素もあるため、必ずしも努力が報われるとは限らない。しかし、努力をしなければ絶対に受かることはない。そして、努力をしないものに奇跡といった甘い出来事は起こらないということを肝に銘じて、日々の学習を頑張ってください。
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