ICU新館

以前から計画されていたICUの新館計画ですが、つい来年3月から工事が始まりそうです。ICUから新館建設および既存校舎の改修工事の予定が公表されていましたので、学内の情報も踏まえて図説を作ってみました。

新館建設とN館、本館の改修の手順

今回の新館建設計画は3段階に分けられます。

1.新館を建設し、理学館(以後N館)にある自然科学系統の研究施設や研究室を新館に移転。

2.N館の改修工事。改修後は現在のような自然科学専用の施設ではなく、一般の教室として使われる設備となるようです。

3.本館の改修工事。この間は新館と改修した理学館を活用して授業を行います。
改修工事完了後は改修された本館でも授業が行われます。

注:改装スケジュールは2020年の学報や事業計画のに基づいて予想したもので、実際にはコロナ等の影響もあって日程が異なっています。

ICU入試への影響

現在のICU入試は基本的にICUの本館が試験会場です。ICU入試的に、2023年度以降に新館が入試会場として使われる可能性もあると予想されます。特に現在のICU入試はATLAS、英語リスニングの2教科が放送科目であるため、新館の各教室に一斉放送が可能なオーディオ装置があれば、受験環境がより整う形になると思われます。いずれにせよ計画通りなら2024年度は本館は工事中なので、少なくともその間はICU入試で新館を活用する形になりそうです。

また、新館は理系の新しい研究拠点であるため、理系の受験生には大いにアピールできるものとなりそうです。そのような意味で自然科学受験者が増える可能性は考えられます。情報科学など、文系の学生が興味を持つ理系科目の専攻を希望するICU受験生も増えるかもしれませんね。

大教室と新館ホール

新館は機能面から見ると理系の研究拠点+大教室がメインです。大教室は300人規模のホールが1つ、180人規模の教室が4つできる予定です。特に300人規模のホールは、現在ICUで一番大きな教室であるN館ホール(N220)はおよそ200人収容であることから、一回り大きなホールができることになります。また、理学館の改修が終われば現在のN館ホールも併用できるので、カリキュラム編成が柔軟になるというメリットもありそうです。180人規模の教室も2つでき、改修期間中の本館の機能を代替できるようになっています。文系の学生は、新館ホールと大教室を利用するために新館に行くという事になりそうです。

新館の建設が計画されている理由

上図にあるように、N館は1967年完成ながら本格的な改修は行われていなかったので、いずれかの段階で全面改修が必要な年代にさしかかっていました。NS専攻の学生からN館はボロい古くなってきている箇所があるという話はよく聞きます。一方、本館は中島飛行機の研究棟であった経緯もあり、丈夫にできていて、2000年代に外壁等の改修もされています。ただし、本館も給排水や空調等の更新は必要であるため、新館の完成を機に改修工事が行われるようです。

よって、新館を建設することで、N館と本館の改修が可能になります。完成後はそれらを複合的に利用可能にするという、1手で3つ以上の効能がありそうな計画ですね。

ICUの本館は取り壊すという計画もあったのですが、最終的には本館を存続させた上で新館を建てる形に落ち着いたようです。

経緯などを読みたい方はこちら

取り壊し計画は中止され、ICU本館は存続

本館(N館も)は計画が取り壊しから改修に180度転換されたという経緯があります。2016年に突然発表された計画は、本館を完全に取り壊した上で、その跡地に、隈研吾氏の設計事務所のデザインによる新しい建物を建てるとういものでした。貴重な本館を壊すという計画に対しては、ICU生、ICU OG・OB等による反対署名運動が起きました。

さらに、当初は耐震性の問題から本館を取り壊すと言っていたのに、本館存続の方向性が出てきた後の耐震性調査では、同じ調査会社が調査したにもかかわらず、耐震性には問題がないという結果に変わるなど、計画の進め方そのものにも疑問が出ていたように思います。

ICU本館は戦時の中島飛行機の研究所時代を経て、ICU開学から現在にいたるまで、全てのICU生の学びの場として存続し続けてきました。第1期生から現在の学生にいたるまで、1つの建物で全ての学生が学んだ体験を持つという歴史的経緯は、他大学にはないもので、ICU関係者にとって本館はとても大切な存在です。

ICU新館には文理融合的なコンセプトもあるようで、学生同士の交流拠点を含め、新館を利用できるようになる今後のICU入試受験生にとってはうれしいニュースですね。

オープンキャンパス,リモート授業

今回はオンラインでのICU(国際基督教大学)のオープンキャンパスにどのような機器があったらよいかを考えてみました。せっかくなのでICUのリモート授業をも見据えてどのような機器があるとよいか書いてみたいと思います。

1.ノートPC

Webカメラ/マイク付きのノートPCがあれば、ノートやメモを取りながら受講でき、ディスカッションにも積極的に参加できるので、便利でしょう。
最近は安いノートPCでも売れ筋のやつはWebカメラ・マイクが内蔵されてます。デスクトップでもWebカメラを付ければ問題ないです。

(HPのノートPCの例。実売約3万円ながらWebcamとマイクを内蔵している)

2.Webカメラ/マイク

大学でのリモート授業に関しては、内蔵にせよ外付けにせよWebカメラ/マイクは必須です。

オープンキャンパスはWebカメラ/マイクがなくても参加できますが、あった方がディスカッションに積極的に参加できると思います。

ノートPCで更に良い画像で通信を行いたい場合や、デスクトップ等でWebカメラを使う場合はLogicoolなど実績のあるメーカーのWebcamを使うとよいでしょう。ほとんどのWebcamにはマイク機能が付いています。

(格安ながらちゃんと使えるWebcamとして有名なLogicool C270n。定価2,310円。ノイズリダクション機能付きモノラルマイクを内蔵)

3. ヘッドセット/イヤホンマイク

口元にマイクがあった方がよりクリアな音声で通話できます。昨今のノートPCはリモート対応でイヤホンマイク端子を装備しているものが多いので、スマホのイヤホンマイクを活用するとよいでしょう。特に音漏れなど周囲への配慮が必要がある環境ではイヤホンマイクは必須でしょう。

(Apple EarPods with 3.5mm Headphone Plugは定価2,200円で買える有線イヤホンマイクの定番モデル。WindowsやAndroidでも使える)

4.その他スマホ/タブレットはいけるのか

オープンキャンパスだけならスマホ/タブレットでもいけます。
プレゼンテーションの画面、ディスカッションの小分けにされた画面等は見にくくなってしまうかもしれませんが。
オープンキャンパスはお客様向けのイベントなので、スマホでもなんでも参加してもらえればそれでOKな感じはします。

リモート授業に関しては、今はICUを含めどの大学でも、学生にノートPCとネット回線を用意してもらう前提で大学の授業をやっています。

なお、もし仮にノートPCを持っていないなら、ICU入試受験生もノートPCを1台もっておいて損はないと思います。近年は大学入試はオンライン出願が標準となっているので、少なくも大学に願書を出す段階でPC/Macはあった方がベターではあります。スマホでも大学入試受験の出願はやれますが、面倒だし何か見落としが出るような気がして、毎年大学受験をしていて慣れている自分でもやらないです。ICUをはじめ主要大学の入試要項など、大学の公式資料もPC/Macでの閲覧前提でPDF配布してますからね。

5.Win/Mac

どちらでも問題ないです。

オープンキャンパス

本日ICU国際基督教大学公式サイトが更新され、8月22日(土)開催のICUオンラインオープンキャンパスの申し込み受付が開始されています。

前回同様、ICU入試個別相談はすでに多くの回が満席になっています。

これを書いている時点ではその他のプログラムはまだ応募できます。ICUモデル授業やICU入試に関するセッションなど、興味のあるものは早めに登録しておきたいところです。

前回登録済みの方は、ログイン画面から「申込日程 追加変更・確認」で「8月22日」を追加することで、各プログラムに申し込みをすることができます。

プログラムは後からも変更できるので、まずは登録することが重要です。

受験生の皆さんはこれを見たら今すぐICU公式サイトの下記URLのリンクから、ICUオープンキャンパスの参加登録手続きをしておいた方がよいでしょう。

https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/event/oc/20oc0718.html

 

ICU入試統計倍率偏差値

ICU(国際基督教大学)の公式サイトが更新され、2020年5月1日現在の大学概況が公表されていました(6月末UP)。それを元に定員充足率をまとめると以下のようになります。以下はいずれもICU(国際基督教大学)教養学部アーツ・サイエンス学科の学生数です。

先日UPしたように、2019年10月1日現在では以下の通りでした。

まず、2019年入学の現2学年ですが、昨年10月現在(下の表)で、1年は学生数が590人、充足率95.2%でしたが、本年5月1現在(上の表)の2年は学生数が615人、充足率が99.2%にまで上がっています。入試統計を併せて参照すると、ICU一般入試A方式、B方式、ユニヴァーサル・アドミッションを含め、計25人が2年次に編入していることが分かります。編入を広く受け入れているICUの様子が分かります。

また、過去4年間の5月1日現在の統計をまとめると以下のようになります。

まず、過去のエントリーでも触れたように、大前提として定員の130%を超えてはいけないという文部科学省のルールがあり、ICUとしては絶対にこのライン(=3,224人)を超えないよう、慎重に入学者数や合格者数を計算し、3,000人程度の学生数を維持している様子が覗えます。

一連の表を見ると、例年4年生が多い事が目に付くと思います。これは4年には3年からの進級者と、4年で卒業しなかった学生の両方がいるのためです。

過去の年度と比較すると、2020年5月1日現在では、特に4年生がたくさんいる事が分かります。また、過去4年間で、4年生の数はじわじわと増え続けています。海外留学をしたために4年で卒業しなかった学生や、就職や進学等で卒業を見送る人が多くなっているのかも知れません。もちろん多くなっている4年生が一気に卒業する形もあるわけで、その場合は1年生の受け入れに余裕が生まれます。いずれにしても今の4年生がどれくらい卒業するかという見通しが来年の1年生の受け入れに関連してきます。

一方、社会情勢の影響もあって、海外留学生を中心としたOYR(1年本科生 One Year Regular)の数は半減しています。

全体として、2020年5月時点のICU教養学部全体の定員充足率は120%を下回っているため、過去2年に比べるとやや余裕がある状況とも言えます。

2021年度のICU入試受験生としては来年度ICU入試合格者数が気になるところですが、統計上、現4年生が順調に卒業すれば、昨年度並みの合格者を出しても問題がないという状況です。

 

オープンキャンパス

ICU(国際基督教大学)の2020年7月18日(土)開催分のエントリー受付が本日より開始されています。

今年度はオンラインでの開催ですが、人数制限があり、一部プログラムは思いのほか参加可能な人数が少なそうです。

すでに募集開始の今日の時点で、個別相談を中心に、多くのプログラムが満席の状態になっています。

モデル授業は今のところ余裕がありそうですが、各授業およそ300席で募集をしているようです。ELAのモデル授業などはすでに100席を切っています。

ICUはオンラインだからといって不特定多数に配信するのではなく、実際のオープンキャンパスに近い人数で実施するという所のようですね。

受験生の方は今すぐICUオープンキャンパスの参加エントリーをしておいた方がよいでしょう。

https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/event/oc/20oc0718.html

ICU総合型選抜(AO入試)

ICU(国際基督教大学)の公式サイトで、2021年度のICU AO入試ではIELTS Indicator 及び TOEFL iBT Special Home Edition による成績証明書も認められることが告知されました(6月11日)。

追記:2021年度ICU一般入試B方式(外部英語試験利用型)でも上記のスコアが認められることが告知されました(7月2日)

早稲田の国際教養は5月22日の段階でTOEFL iBT Special Home Editionを今年度のAOに限り認める旨を発表していたので、状況に対応しつつ、他大学の動きにも合わせてきた感じでしょうか。

しかしながら、今現在英語試験のスコアを持っていない受験生が、会場試験を全く受けなくてよいのかどうかは各自で慎重に考えたいところ。例えば、TOEFLは元から個室受験で、現在では試験会場が元に戻っています。

(日本のTOEFL iBTテスト会場運営を行っているプロメトリック(株)のWebサイトより)

従来型の会場試験がある英検も、普通に会場試験が行われる状況になっています。

(日本英語検定協会WEBサイト 英検 実施状況より)

早稲田もそうですが、ICUのAOも、英語試験の自宅受験版を認めるのは特例という雰囲気で書かれており、今後他の入試では使えない可能性がもちろんあります。例えば来年2月のICUの一般入試B方式(外部英語試験利用型)でも自宅で受けた英語試験のスコアが使えるかは現段階では不明です。

(↑7月2日に2021年度のICU一般入試B方式でも使えることが告知されました)

もっとも、AO入試に出願する方はすでにTOEFL、英検などの英語外部試験の会場試験を受けていて、スコアを持っている人が多いはずなので、そのスコアの更新を目指す場合であれば、Home版を受けてみるというのはありかも知れません。

(7月2日更新:2021年度のICU入試では今のところAO 入試、一般入試B方式の両方でHome版のスコアが認められそうなので、外部英語試験の利用がICU入試専用という方はHome版だけでも大丈夫そう)

一般選抜,ICU入試日程

ICU(国際基督教大学)公式サイトでは例年5月末頃に試験日程が公表されていますが、今年度も発表になりました。2021年度のICU一般入試は2021年2月6日(土)に行われます。近年の傾向通り、2月第1週の土曜日が試験日になっていますね。

(5月末に公表されたICU一般入試A方式、B方式の募集人員、試験科目、入試日程 ICU Webサイト 入学者選抜制度、一般選抜より)

なお、A方式の募集人員に関しては、事前に予告があったように定員が、昨年度の270名から、今年度は240名になっています。2021年度入試では定員の厳格化等を踏まえて各私立大学・学部の一般入試の募集人員が減少しているケースが多く見られます。

ICUの一般入試の場合は2021年度入試の募集人員が240人に変更になる事を、2年前の2018年に告知していますが、翌年の2019年度入試の段階ですでに実際の合格者数を絞っていました。その点を踏まえると2021年度一般入試の合格者数に関してはあまり変化しないんではないかと思われます。

試験科目なども例年通りですね。

余談になりますが、各大学が公表する2021年度の募集人員は2018年から予告されていたものです。

2021年度入試は新カリキュラムの導入初年度の入試であり、また「大学入学共通テスト」が導入されることから、文科省は各大学に、2021 年度入学者選抜に関して、大学入学共通テストの活用予定も含め、2年程度前に予告することを求めていました(2018年6月)。よって各大学は2018年の段階で2021年の入試における変更点や、募集人員等を予告していました。その際、一連の入学定員の厳格化を踏まえて、特に難関私大は少なめの募集人員を予告した大学が多かったようです。

また、文科省の定員超過罰則強化によって、多くの私立大学では2018年の段階で入学者数を定員の110%未満に抑える事が必須になりました(ICUは4000人以下なので130%未満)。今のところ来年度(2021年度)はルールが据え置かれるようですが、2022年度以降にはさらに厳格化される可能性も残っています。

いずれにしても今年(2020年)になって各大学が急に募集人員を減らしたという話ではありませんし、今のところ厳格化ルールも据え置きで、ICUの定員充足率をみるとやや合格者を減らしすぎたかという状況なので、来年の募集人員に関してあまり心配しなくてもよいと思います。

(文部科学省Webサイト 平成31年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)「別添」より)

ICU教養学部の定員充足率

 

 

 

 

一般選抜

ICU(国際基督教大学)の2021年度入試の変更点に関してはすでに過去のエントリーでも触れましたが、ここでは一般入試に着目してまとめておきたいと思います。結論から言うとほとんど変更はありません。

こちらは昨年度の入試説明会等で配られた、2021年度ICU教養学部入試変更に関するパンフレットです。

2021年度のICU一般入試に関しては以下のように書かれています。

 

<A方式>

A方式は募集人数が290名から240名に変わっています。
これは昨今の大学の定員厳格化を反映したものと考えられます。

*ちなみにICUの場合、2019年度の段階で実際の入試の合格者は厳格化が適用されはじめているので、合格者の人数は現在とあまり変わらないと思います。

<B方式>

英語外部試験を利用したB方式(A方式と併願可)。
利用できる英語外部試験にCambridge EnglishとGTEC CBTが追加されています。

<入試科目など>

ちなみに2015年度入試にATLAS(総合教養)が導入された際は、その旨が2013年に公表されていました。よって2021年度では入試科目・入試問題などの大きな変更はないと思います。

世の中いろいろな事が起こりますが、一般論として、理由を付けて勉強しない人よりは早めに勉強を始めた人が合格するのが大学入試だと思います。

お知らせ

2021年度ICU対策オンラインレクチャーのお知らせは下記URLをご参照ください。
https://icu.bucho.net/icu_onlinelecture/

英語対策,英語リスニング,一般選抜,ICU入試統計倍率偏差値

ICU学生新聞The Weekly GIANTS 2020年度入試特別号(2020年1月30日発行 9面)

検証 「迷ったらC」は本当?

<「Cが多い」は都市伝説?>

ICU入試に関する都市伝説の一つとして、選択肢Cが解答である問題が多いので「もし答えが分からなければCを選べ」ということがまことしやかにささやかれてきた(らしい)。今回はICU入試ではどの選択肢が解答として多いのかを検証してみたい。

<検証方法>

 ICUは他の大学と同じく、入試問題の解答を公開していないので、今回は筆者の運営するICU入試情報サイト、「BUCHO.NET」のオンラインレクチャーの過去20年分の解答例(2000年度~2019年度)を使用した。教科は英語リーディング、英語リスニング、人文・社会科学(2014年度まで人文科学)を検証した。自然科学は筆記問題を含むため、また総合教養(リベラルアーツ学習適正)は昨年度まで問題が非公開であったため、今回は検証を行っていない。

<科目別検証結果>

・英語リーディング

英語リーディングは2000年から2019年の間に計787問出題されており、最も多かったのは選択肢C(26.4%)で、最も少なかったのはD(23.5%)であった。

・英語リスニング

英語リスニングは過去20年間で計714問が出題されており、最も解答が多かった選択肢はD(26.5%)で、最も少なかったのはA(23.4%)であった。

・人文・社会科学(2014年度まで人文科学)

人文・社会科学は過去20年間で3教科のうち最も多い803問が出題されており、解答として最も多かった選択肢はC(26.3%)、最も少なかったのはA(23.9%)であった。

<検証結果の考察>

まず目を引くのは、英語リーディングと人文・社会科学では選択肢Cの解答が最も多かった事だ。出題者心理として、受験者が容易に答えを発見できないよう、A,B,C,Dの中では、後半かつ中程の選択肢であるCを解答にしたいというものがあるのかも知れない。一方、リスニングでは選択肢Dが最も多く、その割合は今回統計を取った中では最も大きかった(26.5%)。また、リスニングの選択肢Aは最も割合が少ない(23.4%)。ICU入試のリスニングの各選択肢はリーディングや人文・社会科学と比較すると、選択肢が短く、また内容がシンプルであるため、出題者としては選択肢Aを解答とすることにためらいを感じ、選択肢Dの解答を増やすことで、問題の難度を上げたいという狙いがあるのかも知れない。

<年度別の最多解答と最少解答のギャップ>

次に年度ごとに最も解答が多かった選択肢と、最も解答が少なかった選択肢の割合の差(ギャップ)を教科ごとに検証した。一例として2019年度の英語リーディングは36問のうち、最も解答が多かったのはCの11問(30.5%)、最も少なかったのはBの7問(19.4%)であった。この場合の最多解答と最少解答のギャップは30.5%-19.4%=11.1%となる。このように年度別に最多解答と最少解答のギャップを教科ごとに集計したのが以下の図1である。

図1でみられるように、概ねどの教科も5%から15%程度のギャップで推移している様子がうかがえる。過去20年間の年度別のギャップを平均すると、英語リーディングが約11%、英語リスニングが約9%、人文・社会科学が約10%であった。つまり、各教科とも特定の選択肢に解答が偏らないように一定の配慮がなされている様子が覗える。一方で、まれに20%を超えるギャップも計測されているので、プログラム等を用いて各選択肢が均等になるように作問している訳ではないと考えられる。

*ICU OBの筆者が運営するICU入試情報サイト、「BUCHO.NET」では、ICU合格体験記を募集しております(執筆者にはギフトカードを贈呈中!) 【BUCHO】

【https://icu.bucho.net】(「ICU BUCHO」で検索!)

PDF版はこちら2020-wg-nyutoku-bucho